『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』レビュー【ネタバレなし】破壊と混沌、そして希望

スター・ウォーズ 最後のジェダイ B5 チラシ

 ついに本日公開!『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のネタバレなしレビューです。

 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は、破壊と混沌、そして希望と再生を、充分なエンタテイメント性とともに描いた作品だ。思い込みや既成概念も混沌の下に破壊し、その瓦礫を用いてかろうじて輝く希望の灯りをともす、そんな映画だ。

 『スター・ウォーズ』の世界観の中でも主要な要素である善悪の対決。その境界は比較的わかりやすいものだったが、『最後のジェダイ』では絶対的な正しさというものは、実はこの世界にはなかったのだということがわかってくる。

 ライトサイドとダークサイド、ジェダイやシスと二分していくことが出来るのは、わかりやすい価値観だ。しかし、味方の中にも敵がいるかも知れないし、ある者の善意の行動は行き過ぎた独りよがりなのかも知れず、平和を守る守護者たちですら気付かない間に過ちを重ね、やがて滅びてしまうのかも知れない。

 何が正しく、何が間違っているのか?

スポンサーリンク

ツイストの効いたストーリーと
巧みな脚本、これまでにない制作技法

 この描き方はサスペンスフルで、ストーリーテリングは非常に捻りがある。まさか『スター・ウォーズ』で『羅生門』スタイルを見ることになるとは思わなかった。『スター・ウォーズ』という世界中にファンがいる作品でこれをやるのは、かなり勇気のいることだったはずだ。

 さかんに宣伝コピーに使われている「衝撃」は確かにあるが、『帝国の逆襲』のような事実の暴露というよりも、思いもよらぬ方向へと急展開するようなイメージだ。いずれにしても、初見時のグイグイ興味を引っ張られていく力強いドライブ感を楽しめるので、物語の内容は知らずに見ることをおすすめする。

 これを支えているのが脚本の巧みさ。複数の舞台で同時進行していくストーリーを無理なく構成させ、停滞する場がない。

 シリアスなシーンが多くなりがちであっても、ケレン味の効いたヒーローの大活躍に加えて、「ファンがキャラクターのどんなところが好きか」をよく理解している笑える要素も多い。ファンの間で、本作でより人気が高まると思われるキャラクターが多数いるほど、それぞれの個性がよく描かれている。

 映画の技法としても、これまでのシリーズにはなかったようなモノローグや回想シーン、スローモーションの使用などにより、より登場人物の情感をたっぷりと感じられるものになっている。また、画面の色調も陰影が効いた印象的なものとなっており、時代劇を彷彿とさせる構図も見受けられ、『帝国の逆襲』とも違う深みのある画作りが心に残る。

 さらに、ルーク・スカイウォーカーを演じるマーク・ハミルの演技は複雑な役どころを見事にこなしているし、本作が遺作となってしまったキャリー・フィッシャーも歳月を感じさせる味のある演技を見せる。さまよえるレイとカイロ・レンを演じたデイジー・リドリーとアダム・ドライバーも、役柄に説得力を加える熱演だ。

誰も見たことのない新たな『スター・ウォーズ』

 これまでのどの『スター・ウォーズ』映画とも違う(もちろん、『帝国の逆襲』が下敷きになっていたり、『ジェダイの帰還』に似たシーンはある)。それが『最後のジェダイ』。

 思えば、『フォースの覚醒』の大まかなストーリーは『エピソード4/新たなる希望』がベースだったし、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は物語の大まかな終着点は見えていて、「ファンが見たい『スター・ウォーズ』」をある程度提供していたと思う。だから、本当の意味で「誰も見たことのない新たな『スター・ウォーズ』」と言えるのは、『最後のジェダイ』なのかも知れない。

 振り返ってみると、オリジナル・トリロジーの中間部となる2作目の『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』は、今でこそシリーズ最高傑作であると多くファン/批評家の支持を得ているが、初公開時には「誰も見たことのない新たな『スター・ウォーズ』」であり、当時は今ほど高い評価で迎えられてはいなかった。

 どうしても1作目の『スター・ウォーズ』と比較し、大人が好むトーンで深みのあるドラマ、示唆に富んだテーマがすぐには受け入れることが出来なかったということもあるが、三部作としての着地点が見えない中で、次作に問題を持ち越す結末を正当に評価することが出来なかったとも思う。

 次作の『ジェダイの帰還』で大団円を迎えることがわかっているからこそ、困難の中のドラマを描く『帝国の逆襲』の良さが実感出来るのではないだろうか。

 だから、『最後のジェダイ』もその次作であり、『スター・ウォーズ』スカイウォーカーサーガの最終章である「エピソード9」が公開されるまでは、最終的な評価は出来ないとも言える。

 後年、『最後のジェダイ』がどのように評価されているかは気になるところだが、現時点では『フォースの覚醒』以降の数々の予想に冷や水をかけ、ファンの願望の先を行くような展開は賛否両論を呼ぶだろう。

 それでも、何かを変えようとしたい、変わりたいと考えたことが伝わってくる。古い伝統は燃やしてしまい、過去に縛られず、「今」のことを大切に生きていく。

 信頼していたものから見放され、それぞれの居場所を求めて困難と絶望の中で震えながら、なんとか灯りをともそうとする人たちのストーリーは、今、現実に困難に直面している人たちにも障害を打ちのめすだけではなく、愛する人たちを守り、生き延びて希望をつなぐことが大事であると本作は教えてくれるかのようだ。

 また、ヒーローは伝説であるがために苦悩することもあるが、その物語が語り継がれる限り、それは永遠のものとなって人々のあこがれの存在であり続ける。そう、それは僕たちと『スター・ウォーズ』の関係のことだ。

 そんなラストシーンでは、比喩でも誇張でもなく涙が流れ、『スター・ウォーズ』を好きでよかったと、心から思った。

スポンサーリンク
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』レビュー【ネタバレなし】破壊と混沌、そして希望
この記事をお届けした
スター・ウォーズ ウェブログの最新記事を、
いいねしてチェックしよう!
関連記事

コメント

  1. senoboo より:

    「羅生門」私も見終わって考えていると、この映画を思い出しました。
    見たすぐ後は考えが纏まらなかったのですが、時間が経ってくると色々と考えさせられる所があるなと分かってきました。

    ますますEp.9がどうなるのか、J.J.へのプレッシャーは厳しいなぁ〜と感じながら、また2年楽しんで待つ事が出来ますね。