Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第10話「やめろ」レビュー/トリビアチェックポイントです。
この記事では、「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第10話「やめろ」のストーリーやレビュー(感想・考察・批評)、トリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。
この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第10話「やめろ」の本編鑑賞後にご覧ください。
「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2の他のチャプターのエピソード、シーズン1のエピソードガイドは、以下のカテゴリーからご参照ください。

ディズニープラス(Disney+)で独占配信の『スター・ウォーズ』実写テレビドラマシリーズ「キャシアン・アンドー」のストーリー、レビュー、隠れ要素(イースターエッグ)やオマージュなどのトリビアの解説といった、エピソードをより深く知るためのテキストをまとめたエピソードガイドです。

ディズニープラス(Disney+)で独占配信の『スター・ウォーズ』実写テレビドラマシリーズ「キャシアン・アンドー」のストーリー、レビュー、隠れ要素(イースターエッグ)やオマージュなどのトリビアの解説といった、エピソードをより深く知るためのテキストをまとめたエピソードガイドです。
「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第10話「やめろ」レビュー
デス・スターの核心に迫る情報
「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」は、このシーズン2 第10話「やめろ」からついに『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』と同じ1BBYが舞台となる。いよいよ『ローグ・ワン』直前に至るまでのストーリーが描かれていく。
とはいえ、「キャシアン・アンドー」シーズン2 第10話「やめろ」にキャシアン・アンドーは登場しない。キャシアン・アンドーを反乱へと誘ったルーセン・レイエルと、彼とともに反乱の火花をつけて回っているクレヤ・マーキの生き様が、その過去とともに語られる。
冒頭から風雲急を告げる、衝撃的な展開だ。ロニ・ヤング監査官がデドラ・ミーロを探ったところ、オーソン・クレニック長官が10年以上開発している秘密の兵器の存在をつかんでしまった。皇帝のエネルギー計画という名目は偽りであり、ゴーマンの虐殺は埋蔵された鉱物を奪うための目くらましに利用され、またジェダではパルチザンではなくカイバー・クリスタルを探しており、再判例やスカリフにも裏があるという。
『ローグ・ワン』を見ている視聴者はもちろん、この兵器とはデス・スターのことであることがわかる。
ロニ・ヤング監査官の話も、デス・スター建造について帝国が動いてきた過程として整理することができる。ゴーマンではリアクター・レンズのコーティング剤として用いられるカルカイトを採掘し、スーパーレーザーに不可欠なカイバー・クリスタルをジェダで奪取、再判例によって捕らえた囚人をナーキーナ5に収容してスーパーレーザーの部品製造の人員とし、スカリフにてデス・スターを建造したというわけだ。
そして、『ローグ・ワン』の冒頭でキャシアン・アンドーがパルチザンのティヴィックからカフリーンの輪で情報をつかみ、反乱軍にデス・スターの存在が伝えられたことを考えると、この秘密の兵器の情報はこの時点ではただちに反乱軍の知るところにはならないとわかるはずだ。
案の定、ルーセン・レイエルは情報を聞き出すと、帝国に追われる身になるであろうヤング監査官をあっさりと殺害。クレヤ・マーキにメッセージを伝えるとともに、自ら銀河古美術名品展にあるフラクタル・ラジオを破壊しに行く。
銀河古美術名品展でフラクタル・ラジオを破壊しはじめた時、ルーセン・レイエルの元にデドラ・ミーロがやってくる。キャシアン・アンドーがスティアガードから盗み出し、ルーセン・レイエルと取引を行おうとしていた「アクシス」の証拠品であるインペリアルN-S9スターパス・ユニットを突きつけ、ついに「アクシス」ことルーセン・レイエルにたどり着いたデドラ・ミーロ。
しかしフラクタル・ラジオは破壊され、ルーセン・レイエル自身もノートランの短剣で自害を図る。直ちにデドラ・ミーロは待機していた衛生兵に生存のため手を尽くすよう指示。
しかし、デドラ・ミーロはリオ・パータガス少佐の指示によってかつての部下であり、「アクシス」捜査の担当であったヒアート監査官に逮捕されることに。
ルーセン・レイエルとクレヤ・マーキの過去とその絆
厳重な警備をかいくぐり、医療従事者に変装してリナ・ソー病院に搬送されたルーセン・レイエルの病室を目指すクレヤ・マーキは、ルーセン・レイエルと出会った幼少期の記憶を思い出していた。
ルーセン・レイエルは、かつて帝国軍にてリアという名の軍曹だった。しかし、帝国軍が行う虐殺の銃声やそれに呼応して挙がる悲鳴に対して「やめろ(Make it stop)」とつぶやくほど、蛮行の数々に耐えられない状態だった。そこに、帝国の船に隠れていた生き残りの子どもと出会い、彼女を助けて軍を離れ、「ルーセン・レイエル」と「クレヤ・マーキ」という名前で各地で骨とう品を売りながら、行動を共にすることに。
帝国の虐殺の様子を見せるのではなく、兵士による指示とすさまじい速さの銃声、そして甲高い悲鳴という効果音のみで表現された演出によっておそろしさが増している。これに対して葛藤するリア軍曹を隠れながら見ているクレヤ・マーキの主観アングルによって映し出すことで、嘘にまみれた男の本当の姿が浮き彫りになる。
ここでルーセン・レイエルとともに、クレヤ・マーキが帝国軍と戦う理由、そしてその原動力となる憎しみの一端と冷徹な性格のルーツを見ることができる。説明的なセリフは廃されており、視聴者は2人の過去の断片、その瞬間のみを覗き見ていく。
幼少期のクレヤ・マーキを、エリザベス・デュローによる大人のクレヤ・マーキと遜色なく演じたのはエイプリル・V・ウッズ。クレヤ・マーキがどのような人生を辿って来たのか、説得力をもたらした。
そして、バトンは渡された
自身を救ってくれたルーセン・レイエル。クレヤ・マーキは涙を流しながらルーセン・レイエルの生命維持を止めて、その人生に幕を下ろす。ゆっくりとその幕が下りていくように、非常に長いフェードアウトによってその最期の時を表し、余韻を残しながらこのエピソードも終わっていく。
帝国に捕まり、情報が漏洩してしまうリスクがある場合には命を奪う。これはルーセン・レイエルがこのエピソードの中でロニ・ヤング監査官に対して行ったことであり、ノートランの短剣で自害を図った通り、自身が同じ状況に陥った場合にはその覚悟もできていたわけだ。
また、『ローグ・ワン』でキャシアン・アンドーがカフリーンの輪にて帝国軍から逃げられないと判断したティヴィックを殺害したのも、ルーセン・レイエルの影響が感じられる。
自身を救ってくれたルーセン・レイエルの息の根を止めるという非情な行動を、決死の覚悟で行わなければならなかったクレヤ・マーキ。帝国という巨悪と戦うために人間性までも犠牲にしなければならないという、勧善懲悪の枠に収めることができない反乱者たちの原点がここにある。
ゴーマン。スカリフ。カイバー。クレニック。ゲイレン・アーソ。超兵器。
これらの情報は、ルーセン・レイエルからクレヤ・マーキに伝えられた。この情報を携えて、クレヤ・マーキはどのように帝国の包囲を突破するのか。
「やめろ」と言い続けた男から反乱の火種はまかれ、その反撃はもう始まっている。
「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第10話「やめろ」トリビアチェックポイント
ピックス
殺害されたヤング監査官のそばに寄ったトゥーカ・キャットは、飼い主からピックスと呼ばれている。また、その名が記載された首輪も付けているという。
このピックスという名前は、視覚効果アーティストのひとりが飼っていた亡くなった犬にちなんで名付けられた。
ノートランの短剣
ルーセン・レイエルがデドラ・ミーロに、偽物と噂がある品として紹介したのはノートランの短剣だ。
ノートランは、『クローンの攻撃(エピソード2)』から登場したジェダイ・マスターのキット・フィストーの種族である。
グンガンの頭蓋骨
ルーセン・レイエルの銀河古美術名品展にて、デドラ・ミーロのそばにグンガンの頭蓋骨が展示されていることが確認できる。
このグンガンの頭蓋骨は、オーロディウムを使った象眼細工と、太古の象形文字で装飾されているという。
帝国の救急スピーダー
ルーセン・レイエルを搬送した帝国の救急スピーダーは、「キャシアン・アンドー」シーズン1に登場したプリオックス=モーラーナの機動タック=ポッド、RK-392を元に制作されている。
リナ・ソー病院
ルーセン・レイエルが搬送された病院の建物には、オーラベッシュで「リナ・ソー」とある。Star Wars.comのデータバンクによると、この病院の名称はリナ・ソー病院である。
リナ・ソーは、スカイウォーカー・サーガの200年前の時代を舞台にした書籍シリーズ「スター・ウォーズ ハイ・リパブリック」に登場する、当時の共和国議長だ。実際の病院と同様に、歴史的な偉人の名前を名付けているのだろう。
リナ・ソー病院内の装飾について、セット装飾のレベッカ・アレウェイは実在の様々な施設をリサーチ。その中でも、照明やグラフィック、ライトボックスのようなものについては日本の病院を参考にし、それをグラフィックチームがさらに発展させたという。日本人の目から見ても、病院内であることが感覚的にわかる美術となっているのはこうした要素の影響もあるかも知れない。そのほかリナ・ソー病院内の装飾は、1930年代~1950年代の装置もインスピレーション源となっているようだ。
バクタ・タンク
リナ・ソー病院内に医療者の変装をして潜入したクレヤ・マーキが、ISB(帝国保安局)の士官がターボリフトで上がっていくところを目撃したシーンでは、『帝国の逆襲(エピソード5)』でルーク・スカイウォーカーがホスのエコー基地で収容されていたバクタ・タンクを背景に見ることができる。
バクタは様々なケガの治療に用いられる万能薬で、バクタで満たされたバクタ・タンクは『スター・ウォーズ』ギャラクシーの医療施設にあるべきものだ。
バクタ・タンクのほか、「クローン・ウォーズ」などでは患部に付けるバクタ・パッチが、「マンダロリアン」ではIG-11がディン・ジャリンの治療にバクタ・スプレーを噴霧し、「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」ではボバ・フェットが患者が横たわるタイプのバクタ・ポッドを使用するなど、バクタは様々な用法がある。
ニアモスのエイリアン
病院に潜入したクレヤ・マーキが、医療者にカモフラージュするためにそのホバー・チェアを押したエイリアンは、Star Wars.comのデータバンクによるとファイザという(リナ・ソー病院の医療者からはグラニーという愛称を付けられているそうだ)。
このファイザの種族は、「キャシアン・アンドー」シーズン1 第7話「声明」にて登場しており、ニアモスのベンチに座っている。
スワンプ・トルーパー(マッドトルーパー)
ルーセン・レイエルが本名と思われるリアという名の帝国の軍曹であった頃の回想シーンでは、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』に登場したスワンプ・トルーパー(マッドトルーパー)の装備が見られる。
マイケル・ウィルキンソンによるコスチューム部門は、このシーンのためにスワンプ・トルーパー(マッドトルーパー)のコスチュームを一から作り直したという。
デヴァロニアンの勝利の首飾り
ルーセン・レイエルが商人に80クレジットで売っていたのは、デヴァロニアンの勝利の首飾りだ。
デヴァロニアンは、『エピソード4/新たなる希望』のモス・アイズリー カンティーナのシーンにいる悪魔のような角と尖った耳を持った、カーデュサイマロックことラブリアの種族である。
「キャシアン・アンドー」シーズン1 第6話「目」では、ルーセン・レイエルとクレヤ・マーキがデヴァロニアンの出身惑星の名がつけられているデヴァロン・ブルーを客に紹介している。

ナブー
クレヤ・マーキの回想シーンで、ルーセン・レイエルがカフェから橋の上の帝国軍を爆破を行ったのは、パドメ・アミダラやシーヴ・パルパティーン、またジャー・ジャー・ビンクスらの出身惑星であるナブーだ!
このナブーの撮影は、『ファントム・メナス(エピソード1)』の本編からカットされたクワイ=ガン・ジン、オビ=ワン・ケノービ、ジャー・ジャー・ビンクスがボンゴが滝に落ちた後、シード宮殿の敷地に入るシーンを撮影したイギリスのケント州にあるヒーバー城にて行われた。
このシーンは、ディズニープラスにて『ファントム・メナス(エピソード1)』の特典映像「滝のシークエンス」として配信されている。
また、『クローンの攻撃(エピソード2)』でナブーのロケ地となったイタリアのコモ湖の周辺では、このナブーのシーンの背景のための素材が撮影されたほか、ヘリコプターを用いたゴーマンの空撮ショットが撮影された。
「キャシアン・アンドー」シーズン2は、Disney+ (ディズニープラス)で配信中。

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