Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第5話「友達はあちこちにいる」レビュー/トリビアチェックポイントです。
この記事では、「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第5話「友達はあちこちにいる」のストーリーやレビュー(感想・考察・批評)、トリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。
この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第5話「友達はあちこちにいる」の本編鑑賞後にご覧ください。
「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2の他のチャプターのエピソード、シーズン1のエピソードガイドは、以下のカテゴリーからご参照ください。

ディズニープラス(Disney+)で独占配信の『スター・ウォーズ』実写テレビドラマシリーズ「キャシアン・アンドー」のストーリー、レビュー、隠れ要素(イースターエッグ)やオマージュなどのトリビアの解説といった、エピソードをより深く知るためのテキストをまとめたエピソードガイドです。

ディズニープラス(Disney+)で独占配信の『スター・ウォーズ』実写テレビドラマシリーズ「キャシアン・アンドー」のストーリー、レビュー、隠れ要素(イースターエッグ)やオマージュなどのトリビアの解説といった、エピソードをより深く知るためのテキストをまとめたエピソードガイドです。
「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第5話「友達はあちこちにいる」レビュー
武器ではなく、情報を用いた戦い
ゴーマンの首都、パルモに建てられている帝国の武器庫を中心とした3BBYのストーリーアークの中編となる第5話「友達はあちこちにいる」は、身分を偽っての潜入や、盗聴、裏切りとその看破など、まさにスパイスリラーの本領発揮のエピソードだ。
デドラ・ミーロらISB(帝国保安局)が描いたシナリオを実行するシリル・カーンと、その思惑に動かされていくゴーマン戦線、そのゴーマン戦線に接触する任務へ向かうキャシアン・アンドー、ソウ・ゲレラのもとで働かされるウィルモン・パアク、そして自らが構築した情報の海におぼれ行くルーセン・レイエルと、いずれも武器ではなく情報を用いた戦場が展開される。
細かい描写が重ねられており、それぞれの登場人物が置かれている状況や心情が描かれていく。
キャシアン・アンドーは、前話でルーセン・レイエルから与えられたゴーマン戦線のリーダーであるカロ・ライランツの調査の任務のため、デザイナーのヴァリアン・スカイとしてゴーマンへと赴く。
ヴァリアン・スカイのプロフィールを覚えていくキャシアン・アンドーの姿は、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』で見られた反乱軍の情報将校らしさが出てきている。
ゴーマンへ向けて出発するキャシアン・アンドーが歩むコルサントの情景の描写は、実際に人が住んでいる現実世界の都市の手触りも残されており、一般市民の生活が活写されている「キャシアン・アンドー」ならでは。
帝国標準局のゴーマン支局では、ISB(帝国保安局)が盗聴器の設置を疑い、シリル・カーンのオフィスの捜査を開始。ゴーマン戦線は慌てて盗聴を中断する。
盗聴している者は、コルサントにも。クレヤ・マーキは、ダヴォ・スカルダンの収集品のコリオ聖杯が贋作であったことから、全収集品の再鑑定が行われることを傍受している通信で知る。再鑑定されれば、盗聴器の存在が知られてしまう。
オフィスを捜索されたシリル・カーンの元には、ゴーマン戦線のカロ・ライランツとその娘のエンザ・ライランツが接触。
シリル・カーンの職歴を調べ、ISBによってプリオックス=モーラーナを解雇された経緯を確認し、ゴーマン戦線に協力する動機があることを知った上で、カロ・ライランツは輸送船に積載されている貨物証のない荷物の内容を知りたいと言う。
ゴーマンに張られた糸を察知するキャシアン・アンドー
ヴァリアン・スカイを演じるキャシアン・アンドーは、宿泊するホテルの部屋の窓から「ターキンの虐殺」の慰霊碑を見て、当時現場におり、父を亡くしたという従業員から話を聞く。
ここで語られる出来事は、非武装のゴーマンの市民たちの上にターキンがクルーザーを着陸させたというレジェンズにおける「ゴーマンの虐殺」の設定と同様のものだ。正史(カノン)では、この事件が「ターキンの虐殺」と呼ばれているということがわかる。
「スター・ウォーズ 反乱者たち」シーズン3 第18話「極秘輸送」では、モン・モスマが「ゴーマンの虐殺」を非難して帝国から亡命することになるわけで、これからモン・モスマにそこまでの決断をさせるような、さらに決定的な帝国の暴挙が起きることが見えてしまう。
ゴーマン戦線は、シリル・カーンによりもたらされた帝国軍の輸送データから軍事機密事項(MSR)があることを知る。続いて、エンザ・ライランツはキャシアン・アンドーに接触するも、キャシアン・アンドーは相手の素性も良くわかっていないうちから軽率に対面してきたことを戒める。
「キャシアン・アンドー」シーズン2 第1話「1年後」、第2話「サグロナ・ティーマ」でのマヤ・ペイ旅団と同様だが、反乱グループは練度が様々であるとともに、数々の修羅場をくぐり抜けてきたキャシアン・アンドーの経験値の高さが際立ってくる。
さらに、翌日には任務の目標であるカロ・ライランツと面会するキャシアン・アンドー。カロ・ライランツは、ゴーマンの首都パルモに建造されている建造物は武器庫であると考えており、内部に信頼できる情報源(シリル・カーンのこと)を得て、武器輸送を行っている帝国の輸送船を特定できたため襲撃し、その事実を暴くとともに武器を強奪する計画を用意していた。
しかし、キャシアン・アンドーがここで指摘し、またここまでのストーリーを見てきた視聴者にはわかるように、これはあえてシリル・カーンを介して情報を流したISB(帝国保安局)の思惑の一環だ。
コルサントでは、シリル・カーン、デドラ・ミーロがリオ・パータガス少佐に進捗を報告しており、ゴーマン戦線により輸送船襲撃が成功した際には反乱分子を増長させるために制裁を手加減するよう手を回すなど、余念がない。
パータガス少佐に認められたシリル・カーンは、人生最良の日を口にするほど有頂天だ。
革命家の条件
ディカーでは、ウィルモン・パアクからライドニウム抽出装置の使い方をレクチャーされているプルティが、修得が終わったら知り過ぎたウィルモン・パアクを始末しようとしているソウ・ゲレラに対して、バリエーションを覚えることが難しくひとつのバリエーションに絞るために事前に襲撃場所はマーケズの月のニーン・ヴァレーであることを確認していた。
その後、ソウ・ゲレラはウィルモン・パアクに対してプルティが技術を修得してひとり立ちできているか、ブラスターを突き付けて問いただすも、撃たれたのはプルティの方だった。プルティは帝国に襲撃場所の情報を流していたのだ。これでマーケズの月で待ち伏せている帝国軍は空振りに終わり、パルチザンは別の場所でライドニウムを得ることになるのだ。
パルチザンにも情報を盗み出す者がおり、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でソウ・ゲレラが疑心暗鬼に陥っていたことに説得力が加わった。
パルモに降りしきる雨の中、ゴーマン戦線の面々とともに輸送船襲撃の下見をしたキャシアン・アンドーは、現地の住民であるゴーマン戦線は強奪した後の逃走ができず、盗んだ武器で活動することは自白も同然であることを指摘。カロ・ライランツはキャシアンを革命家ではないと評し、失望させる。
結局、ウィルモン・パアクはスパイであったプルティに代わって自らライドニウムの奪取を行うことに。ソウ・ゲレラは自身がオンダロンの収容所の囚人であった際に、ライドニウムの漏洩の場にいたことを語る。
そして有害なライドニウムを吸い込み、革命家であるから正気ではなく、今ここで戦おうとウィルモン・パアクを扇動する。その危険な自由を語るソウ・ゲレラのカリスマ性に魅せられたウィルモン・パアクは、自らもマスクを外してライドニウムを吸い込んでしまう。ソウ・ゲレラは、我々は摩擦が激しくなると爆発するライドニウム燃料であると言う。
革命家ではないとされたキャシアン・アンドーと、自らを正気ではない革命家であると宣言したソウ・ゲレラ。
革命とは、今ある秩序をひっくり返すこと。
反乱軍は、現体制である帝国からかつての共和国への政変を狙う組織であるため、そのメンバーは革命家と言えるので、キャシアン・アンドーもソウ・ゲレラも同様である。ただ、この第5話「友達はあちこちにいる」の終盤では、慎重を期して行動するが、冷静な判断をするが故に扇動には至らないキャシアンと、過激な言動を取るが故に優れたアジテーターであるソウという、2人の革命に対するスタンスの違いが対比となっているようだ。
ライドニウムだけではなく、ソウ・ゲレラにも魅せられたウィルモン・パアクは、ルーセン・レイエルのもとから離れてこのままパルチザンの一員となりそうだ。キャシアン・アンドーのフェリックスからの仲間がまたひとり、離れていく。
そのルーセン・レイエルは、ダヴォ・スカルダンの収集品のティニアン写本に仕掛けた盗聴器の存在が発覚してしまう危機を認識する。パーティーにて盗聴器を外す必要があるが、それ以前にあちこちに仕掛けたスパイ網によってすでに情報過多に陥っていたようだ。
全体的にはISB(帝国保安局)が描いたシナリオの中で事態は進行しているが、ゴーマン戦線がキャシアン・アンドーやルーセン・レイエルの協力を得られなかったことで、思惑通りにいっていない箇所もある。ルーセン・レイエルもISBも、計算外の事態により摩擦が発生し、ドラマ上で大きな爆発が起きそうだ。
危険と隣り合わせのライドニウムのように。
「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第5話「友達はあちこちにいる」トリビアチェックポイント
コレリア/ライロス
オープニングでクレヤ・マーキが傍受している通信にて、「コレリア2-2-2」、「ライロス7-4-8」と、ハン・ソロの故郷であり宇宙船の造船で知られるコレリアと、トワイレックの母星であるライロスの名を聞くことができる。
ロイヤル・ナブー・ヘッドドレス
古美術ギャラリーの店内では、『エピソード1/ファントム・メナス』の冒頭のナブーのシード宮殿内のクイーン・アミダラが着用していたロイヤル・ナブー・ヘッドドレスと同様のデザインのヘッドドレスが見られる。
シスの香炉
古美術ギャラリーではさらに、『エピソード3/シスの復讐』でパルパティーン最高議長が執務室に飾っていたものと似たシスの聖杯もある。かつて古代のシスが儀式に用いていた香炉だ。
パルパティーンの執務室にあったシスの香炉は、マラコアで発見されたものだ。ルーセン・レイエルがいかにして、シスの遺物という危険な品を手に入れたのかは不明である…
スタースピーダー1000
コルサントのニキ=ボン・トラベルエージェンシーの窓をキャシアン・アンドーが叩く際に、店内には「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」に登場するスタースピーダー1000の模型が見える!
その後、キャシアン・アンドーが店内に入った後のカットでもスタースピーダー1000の模型の後ろ側が確認出来る。
「キャシアン・アンドー」では模型での登場だったが、「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第3話「航行に問題のあるとても面白い星」では、ポート・ボーゴでスタースピーダー1000が見られる。

トグルータの壺
ダヴォ・スカルダンのアート・コンサルタントであるミシュコに、クレヤ・マーキが展示会のお祝いとして贈ろうとしていたと言っている壺には、アソーカ・タノの種族であるトグルータの像が蓋に付いている。
クレヤ・マーキはトグルータの壺の搬入・設置の際に、ティニアン写本に仕掛けた盗聴器を回収しようとしたが、ミシュコに今は遠慮すると断られてしまう。
グッド・モーニング・コルサント
ビックス・カリーンがぼんやりと眺めている番組「グッド・モーニング・コルサント」のネーミングは、アメリカのABCで放送されている朝の情報番組である「グッド・モーニング・アメリカ」のパロディだ。
ABCは、ウォルト・ディズニー・カンパニーが持つ放送局であり、「グッド・モーニング・アメリカ」は『スター・ウォーズ』を番組内で紹介することも多い。
ルビー・ワックス
「グッド・モーニング・コルサント」の司会を務めているトフィとモフィは、イギリスのシットコム「ガールズ・オン・トップ」や数々のトークショー番組などで知られるルビー・ワックスが演じている。
マッシフ
ソウ・ゲレラのパルチザンが丸焼きにしているのは、マシッフだ。
マシッフは、四本足で背中にトゲが生えた爬虫類型の生物で『エピソード2/クローンの攻撃』でアナキン・スカイウォーカーが母のシミを救うため乗り込んだタスケン・レイダーのキャンプ地にて初登場。「マンダロリアン」シーズン2「チャプター9:保安官」でもタスケン・レイダーとともに登場している。
また、「クローン・ウォーズ」ではホンドー・オナカーの海賊団や共和国軍で、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」第14話「ウォー・マントル」では、帝国軍のクローン・トルーパーが捜索に用いているほか、「キャシアン・アンドー」第7話「声明」ではマシッフをひもなしで散歩させたと罪状の中で言及されている。
ちなみに、このマシッフの丸焼きのプロップにはフードスタイリストによって実際の肉が取り付けられており、食べることが出来たという!
ボバ・フェットのコンセプトアートデザインのバイザー
クレヤ・マーキが通信を傍受している、ルーセン・レイエルの古美術ギャラリーの奥の部屋にあるアーマーには、『エピソード5/帝国の逆襲』の制作の際にラルフ・マクウォリーによって描かれた、ボバ・フェットの初期のコンセプトアートにあるヘルメットのバイザーが付いている。
このバイザーは、「クローン・ウォーズ」シーズン4 第16話「疑惑の賞金稼ぎ」に登場するラコ・ハーディーンのヘルメットのベースにもなっている。
ホロネット・ニュース
クレヤ・マーキは、ルーセン・レイエルに盗聴によって得られた情報としてホロ・ニュースの買収を挙げている。これは日本語字幕、日本語吹き替えでは収められていないセリフだ。
ホロネット・ニュースは、銀河にニュースを発信している通信社。『エピソード2/クローンの攻撃』の公開に合わせ、雑誌「スター・ウォーズ インサイダー」の誌面や公式サイトにて、ホロネット・ニュースの記事という形で様々なクローン戦争中の出来事が紹介されていたことでも知られる。
大宰相
ダヴォ・スカルダンの骨とう品に盗聴器を仕掛けたことが露見しそうになっている危機について、クレヤ・マーキはダヴォ・スカルダンが大宰相と親密であることが盗聴器によってわかったと、ルーセン・レイエルに言う。
帝国の大宰相とは、『エピソード1/ファントム・メナス』、『エピソード2/クローンの攻撃』、『エピソード3/シスの復讐』に登場し、元老院副議長を務めていたマス・アミダのことだ。
もともとパルパティーンの正体を知る数少ない人物だったマス・アミダは、当初からパルパティーンが有利になるように動いており、共和国から帝国になった際にも大宰相の地位を得て帝国統治評議会を率いていた。
「キャシアン・アンドー」シーズン2は、Disney+ (ディズニープラス)で配信中。

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