Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第3話「収穫」レビュー/トリビアチェックポイントです。
この記事では、「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第3話「収穫」のストーリーやレビュー(感想・考察・批評)、トリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。
この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第3話「収穫」の本編鑑賞後にご覧ください。
「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2の他のチャプターのエピソード、シーズン1のエピソードガイドは、以下のカテゴリーからご参照ください。

ディズニープラス(Disney+)で独占配信の『スター・ウォーズ』実写テレビドラマシリーズ「キャシアン・アンドー」のストーリー、レビュー、隠れ要素(イースターエッグ)やオマージュなどのトリビアの解説といった、エピソードをより深く知るためのテキストをまとめたエピソードガイドです。

ディズニープラス(Disney+)で独占配信の『スター・ウォーズ』実写テレビドラマシリーズ「キャシアン・アンドー」のストーリー、レビュー、隠れ要素(イースターエッグ)やオマージュなどのトリビアの解説といった、エピソードをより深く知るためのテキストをまとめたエピソードガイドです。
「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第3話「収穫」レビュー
4BBYのストーリーが収斂
4BBYを描いたストーリーアークの最終編である第3話「収穫」は、前2話で描かれた一連のドラマがそれぞれに収斂していく。
ヤヴィン4を脱したキャシアン・アンドーは、連絡が取れたクレヤ・マーキが待つようにと制止するのも振り切って、帝国の供給国勢調査によって通信が途絶されたミーナ=ラウへ向かう。
ミーナ=ラウではこれまでの不安が現実となり、フェリックスの暴動を逃れたビックス・カリーン、ブラッソ、ウィルモン・パークの元へ帝国の供給国勢調査がついに訪れてしまう。
シャンドリラでのリーダ・モスマとステカン・スカルダンの結婚式もいよいよ大詰め。
モン・モスマは、リーダ・モスマに結婚を取りやめてもいいと言うが、モン・モスマの母がそうであったように酔っ払っていたら良かったのにと返され、もう引き返すことができないことを思い知らされる。
シリルの母、イーディ・カーンの訪問
コルサントでは、もう一組のカップルが重要な日を迎えていた。
前話であるシーズン2 第2話「サグロナ・ティーマ」にて、一緒に暮らしていることがわかったデドラ・ミーロとシリル・カーンが家に迎えたのは、あのシリル・カーンの母であるイーディ・カーンだった!2人のキャンセルできない用事とは、イーディ・カーンの訪問のことだったのだ。
デドラ・ミーロとシリル・カーンが食事の準備をしたり、ファッションを考えたりするシーンは、『スター・ウォーズ』ギャラクシーの暮らしが垣間見える、映画よりも長尺で描くことができるドラマシリーズの「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」ならではの魅力だ。
ブランドン・ロバーツによる音楽も、アーバンな雰囲気でこれまでの『スター・ウォーズ』にはないようなシーンとなっている。
まさかISB(帝国保安局)の監査官のプライベートが見られるとは!圧政を敷く帝国の積極的な施行者にも、個人の暮らしがあるのだ。
母のイーディ・カーンは、息子であるシリル・カーンに過干渉気味な親子関係であることが「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン1で描かれてきた。
イーディ・カーンはシリル・カーンへの否定的な言動が多く、シリルは抑圧的な家庭環境で育っていたように見え、日本で言われているところの「毒親」的な関係性が伺えていたのだ。
「キャシアン・アンドー」シーズン1ではそんな母と子の食卓のみが描かれてきたが、シリル・カーンのパートナーであるデドラ・ミーロという第三者を食卓に入れることで、親子関係の問題は顕在化される。
シリル・カーンとデドラ・ミーロ、イーディ・カーンの3人の会話シーンには、それぞれをフレームの中央で捉えてカットを重ねていく箇所がある。各キャラクターの表情をよく見せ、主にイーディ・カーンが2人にもたらす不安や緊張感、またシチュエーションのおかしさや、それぞれのよりパーソナルな面が見えてくるような感覚になる。
その最たるものが、デドラ・ミーロの出自だ。両親は犯罪者で逮捕されたため、3歳から帝国の養育施設で育ったことが明かされる。
この境遇を聞いても、母の愛がなければと言い、シリル・カーンをバカにする言動をやめなかったイーディ・カーンに対し、デドラ・ミーロは一定程度、息子の接触や連絡は保証するが、2人の生活を不安にさせるようであれば関わりは減っていくことをピシャリと告げる。
まるで意地悪な姑に反撃するドラマのような痛快さではあり、思わずベッドでダウンしてしまったシリル・カーンも戻ってきたら一変したイーディ・カーンの態度に驚いたようだ。ISB監査官にかかれば、クセのある姑問題も解決か?
デドラ・ミーロとシリル・カーンが、唯一の肉親であるシリル・カーンの母とともに食事をしている一方で、リーダ・モスマとステカン・スカルダンは結婚まで辿りついているわけだが、この2人の心が通じている描写は皆無だ。
華やかな結婚式をしているカップルよりも、パートナーの良さを認め、必要以上に否定することは実の母親だろうと咎めるという態度を取ってくれるデドラ・ミーロとシリル・カーンの方が、よほど思いやりを持っているのではないかという対比になっている。デドラ・ミーロとシリル・カーンは、帝国で働く者たちであるのに。
力を背景とした蹂躙
その帝国の権力のもとでの横暴に、ミーナ=ラウにいるビックス・カリーン、ブラッソ、ウィルモン・パークは直面することになる。
やって来る帝国軍が小規模であったとしても、広大なミーナ=ラウの畑の中で人が少なく助けを求めようがないこと、また惑星全体の通信を遮断しているということも恐怖をあおる。
中でも、クロル中尉がビックス・カリーンに対して、不法移民であることを見抜いた上でこれをどう対処するかは自分次第であるという権力を持ち出し、合意なく手に触れるというセクシャルハラスメントに及んだ挙句、性的暴行をしようとして返り討ちにあうことは象徴的なシーンだ。
力を背景とした非常に侵略的な行為であり、暴力による蹂躙を表現したことは理解でき、前話の第2話「サグロナ・ティーマ」に引き続いてクロル中尉とビックス・カリーンのシーンは手持ちカメラで不安感が演出されており、さらに激しい抵抗と暴力が交わされることで、その恐ろしさや緊迫感は強烈なものとなっている。
性暴力については、レジェンズの小説「スター・ウォーズ 破砕点」でもその被害者が登場しており(加害者については、ほぼ死に直面するであろう方法で裁きが下されたことが語られている)、この作品で描かれる内戦自体がベトナム戦争を思わせるものであり、また大人を対象とした小説という媒体であることから、戦争の悲惨さと過酷な過去の描写と受け取っていた。
『スター・ウォーズ』は大雑把にいえば勧善懲悪を描いた作品であり(もちろん、もっと複雑なレイヤーはあるが)、そしてそれを楽しむファンの中には子どもたちも多く存在する。
「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」はディズニープラスにおいて12歳以上の年齢制限をかけられているが、クロル中尉とビックス・カリーンの一連のシーンについては、子どもたちに触れさせるべきか、触れさせる場合のケアなどは保護者が考える必要があると思う。
そして、描写の必然性があることは重々理解した上ではあるが、ある程度クローズドな配信プラットフォームの独占作品とはいえ、『スター・ウォーズ』の映像作品という幅広いファンが触れる媒体においてのこうした描写の是非については、その視聴前のアテンションも含め、よく考えた方が良いのではないかと感じる。
人々を踊らせる音楽は止まらない
シャンドリラでの結婚式の最中、反乱活動の結果として投資状況がきびしくなったテイ・コルマは、悪名高いダヴォ・スカルダンとすでに接触をしていることがわかり、華やかな喧騒の中でモン・モスマの緊迫感は高まっていく。
冷徹なルーセン・レイエルが、テイ・コルマに対してどのような手を打ったのか、そfれはスピーダーの運転手がシンタ・カースであることから示唆される。
前話である第2話「サグロナ・ティーマ」で、ヴェル・サルサは恋人であるシンタ・カースとはタイミングが合わなかったのだと関係の破綻を口にしていたが、非常に嫌なタイミングでの再会となった。
酒をあおったモン・モスマは、普段の彼女とはうって変わって激しく踊り続ける。それは空虚であり、しかしそれしか術がなかったように思える。
第3話「収穫」は、総じてカメラワークとカット割りが美麗だ。
リーダ・モスマとステカン・スカルダンの結婚の儀式は、はじめて見る儀礼でも人物の位置関係やその全容がわかるようになっており、また美しいロケーションや衣装、小道具の輝きもしっかりと映されているし、「Niamos!」で踊るモン・モスマらも絵画のようなショットだ。
ミーナ=ラウの畑の中を、ブラッソがスピーダー・バイクで駆けていくショットも『エピソード6/ジェダイの帰還』とはまた異なるリアルなスピード感がある。
友人のブラッソが命を落とす中、キャシアン・アンドーとビックス・カリーン、ウィルモン・パークは辛うじてミーナ=ラウを脱出。タイ・アヴェンジャーの試作機は、再び銀河をさまようことになる。
そして、ミーナ=ラウにはB2EMOが残されてしまったが…キャシアンと再会できるのはいつになるのか。ストーリーは、さらに1年後へと続く。
「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第3話「収穫」トリビアチェックポイント
ボウキャスターのおもちゃ
ミーナ=ラウでB2EMOと追いかけっこをしている子どもは、チューバッカなどのウーキーが使用するボウキャスターのおもちゃを持って遊んでいる。
AT-ST
ボウキャスターのおもちゃを持っていた子どもは、ビックス・カリーンの隣で食卓についているシーンではAT-STのマリオネットで遊んでいる。いろいろなおもちゃを持っているようだ…
ブラッソのスピーダー・バイク
ブラッソが使用するスピーダー・バイクはVFX合成ではなく、車両の上に作られているものとなり、実際に走行して撮影されている。
帝国軍の兵員輸送車
ミーナ=ラウで帝国軍が使用している兵員輸送車は、実は「キャシアン・アンドー」シーズン2のシリーズ後半のエピソードのために制作されたもので、最初のストーリーアークは順撮りではなかったために、ミーナ=ラウのシーンでも流用されている。
ラカタ
ダヴォ・スカルダンは、2万5000年前にラカタによってシャンドリラが侵略された際に盗まれた寺院の12体の像のうちのひとつであるシャンディ・マールを、リーダ・モスマとステカン・スカルダンの夫婦に贈る。
レジェンズのゲーム「Star Wars: Knights of the Old Republic」では古代種族ラカタが登場しており、ハイパースペース航行を最初に開発してラカタン無限帝国を築いたとされていた。
「キャシアン・アンドー」シーズン1 第4話「アルダーニ」でも、ルーセン・レイエルがキャシアン・アンドーに仕事の頭金としてクアッティ・シグネットを渡し、ラカタンの侵略者への蜂起を祝うものだと説明している。

ダヴォ・スカルダンによると、シャンドリラがラカタに侵略されたのは2万5000年前だという。
2万5000年前というと、今後公開の新作映画としてジェームズ・マンゴールド監督の作品は、オリジナル・トリロジーの2万5000年前に遡ってフォースを操る最初のジェダイについての物語を描くと言われていることが思い起こされる。
ジェームズ・マンゴールド監督作では、ラカタによる侵略の時代が背景となるのだろうか…
Niamos!
リーダ・モスマとステカン・スカルダンの結婚式で参列者が踊るシンセポップは、「キャシアン・アンドー」シーズン1で使用された「Niamos!」だ。
また、このシーンは「キャシアン・アンドー」シーズン2の最後の撮影であり、それは2024年1月のことだったという。
「キャシアン・アンドー」シーズン2は、Disney+ (ディズニープラス)で配信中。

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