Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第9話「反乱へようこそ」レビュー/トリビアチェックポイントです。
この記事では、「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第9話「反乱へようこそ」のストーリーやレビュー(感想・考察・批評)、トリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。
この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第9話「反乱へようこそ」の本編鑑賞後にご覧ください。
「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2の他のチャプターのエピソード、シーズン1のエピソードガイドは、以下のカテゴリーからご参照ください。

ディズニープラス(Disney+)で独占配信の『スター・ウォーズ』実写テレビドラマシリーズ「キャシアン・アンドー」のストーリー、レビュー、隠れ要素(イースターエッグ)やオマージュなどのトリビアの解説といった、エピソードをより深く知るためのテキストをまとめたエピソードガイドです。

ディズニープラス(Disney+)で独占配信の『スター・ウォーズ』実写テレビドラマシリーズ「キャシアン・アンドー」のストーリー、レビュー、隠れ要素(イースターエッグ)やオマージュなどのトリビアの解説といった、エピソードをより深く知るためのテキストをまとめたエピソードガイドです。
「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第9話「反乱へようこそ」レビュー
銀河の政治の中心で起きた大事件が明らかに
戦場は、ゴーマンのパルモ広場から元老院会議場へ。
帝国の暴挙極まるゴーマンの虐殺が起きたことを受けて、ついに声を上げる時だと決断したモン・モスマは、帝国元老院にてゴーマンの虐殺の真実を告発するとともに、帝国に対して抗議の演説を行う。
表立って抗う声を上げ始めたモン・モスマを捕えようとする帝国と、助け出そうとするキャシアン・アンドーとのチェイスを描いたサスペンスフルなエピソードだ。
最終的にモン・モスマとキャシアン・アンドーがコルサントを脱出するという結末はわかっているものの、大多数の議員が帝国を支持する言動をしている帝国の中心で、その体制とパルパティーン皇帝を名指しで非難するという、口を開いてしまったら後戻りできない演説の行方と、スパイや裏切りが入り乱れての演説直後のモン・モスマの身柄をめぐる攻防戦と、全編に渡って緊迫感がみなぎっている。
「スター・ウォーズ 反乱者たち」シーズン3 第18話「極秘輸送」では、モン・モスマは「ゴーマンの虐殺」を非難して帝国から亡命し、ヘラ・シンドゥーラやエズラ・ブリッジャーらスペクターズ(ゴースト・チーム)らとともに帝国の追跡をかいくぐって、ダントゥインの軌道上から帝国への反抗と共和国再建のための同盟を呼び掛けるスピーチを銀河中に発信。
これを受けて同志の宇宙船が集結し、反乱同盟が結成されることになった。
「キャシアン・アンドー」シーズン2では、これに至るまでの銀河の情勢とその背景が描かれていき、第9話「反乱へようこそ」にて銀河の政治の中心で起きた大事件を核に据えられている。
様々な『スター・ウォーズ』作品に触れているファンにとっては、これまで語られてこなかった銀河の中央政界での教科書に載るような出来事が明かになり、「反乱者たち」との一連のつながりをまるで歴史物のように楽しむことができるだろう。
とはいえ、「反乱者たち」シーズン3 第18話「極秘輸送」の冒頭でホロネットで報じられているモン・モスマの演説や、書籍「Star Wars: The Rebel Files」での描写と、「キャシアン・アンドー」シーズン2 第9話「反乱へようこそ」にて帝国元老院を舞台とした演説の内容は異なっており、モン・モスマの衣装も異なる。
これは逃走中に録画して送ったホロメッセージと解釈するべきか、またはキャシアン・アンドーとK-2SOの出会いのように実写ドラマシリーズの方が優先されるものになるのか…
製作総指揮のトニー・ギルロイと脚本のダン・ギルロイは、すでに発表されている作品に合わせなければならないことに制約を感じ、また他者が書いたセリフを真似ることにも興味がなかったという。しかし、逃走した後にルーセン・レイエルの隠れ家に滞在し、さらにコルサントを離れるまでの間に別のスピーチを放送することも可能ではあるため、一貫性は保たれていると考えたようだ。
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つまり、別のホロメッセージであるという解釈の方が成り立つ。
スパイはあちこちに
元老院ビルでは、ダシ・オランが元老院議員であるにも関わらずストームトルーパーによって連行されていた。ゴーマンの虐殺については帝国から正確な報道はされておらず、帝国は一線を越えたと考えたモン・モスマは帝国元老院にて声を上げ、ベイル・オーガナともども脱出することを決意。
しかしベイル・オーガナは去らず、とどまって時間を稼がなくてはならない役目があると言う。これはヨーダとオビ=ワン・ケノービから託されたアナキン・スカイウォーカーとパドメ・アミダラの子供である、レイア・オーガナを守らなければならないからだろう。また、ヤヴィン4の戦力も含めて反乱勢力は同盟の結成前であり、機は熟していないため、ヤヴィン4を率いることをモン・モスマに託す。
モン・モスマが演説する可能性を受けて、ルーセン・レイエルとクレヤ・マーキの手配によりミッドリム・ネットワークの記者であるロニ・グジャとして元老院ビルへの潜入を任じられたキャシアン・アンドーは、これを最後の任務としたいとクレヤ・マーキに吐露する。
モン・モスマのオフィスでは、アースキン・セマージが仕掛けられた盗聴器を発見。即座にモン・モスマが破壊したことにより、ISB(帝国保安局)はその異変を察知。
アースキン・セマージによって広場へと促されたモン・モスマは、ルーセン・レイエルと出会う。ルーセン・レイエルは、アースキン・セマージが自身の配下であったことを明かし、さらにベイル・オーガナが手配した演説後にモン・モスマをヤヴィン4へ送るチームが危険であると警告。
疑心暗鬼になるモン・モスマに、ルーセン・レイエルは自身が信用できる者を迎えに行かせると告げる。その人物との合言葉は、「友達はあちこちにいる」だという。
翌朝、モン・モスマにいつからルーセン・レイエルの配下であったのかと問われたアースキン・セマージは、2年前の結婚式の後からだと答える。
「キャシアン・アンドー」シーズン2 第3話「収穫」では、ルーセン・レイエルにアースキン・セマージは自身の出身や両親について話をしている。

アースキン・セマージは、既婚者だった父はシャンドリラ出身、母はゴーマン出身で自身はナブー生まれと帝国寄りではない惑星に縁があり、モン・モスマへの忠誠が高いところをルーセン・レイエルに買われたのかも知れない。
アースキン・セマージとしてはモン・モスマを守るための行動だったが、モン・モスマは即刻解雇を告げる。
キャシアン・アンドー、ルーセン・レイエル、クレヤ・マーキは元老院ビル前で合流。通じていたアースキン・セマージも解雇され、モン・モスマが本当に演説を行うかどうかはわからないものの、モン・モスマが逮捕されることがあれば希望は潰えるため、キャシアン・アンドーは予定通り元老院ビルに記者として潜入。
一方で、ベイル・オーガナが手配したモン・モスマ護衛チームであるべスカ、チャーヴァル、セルコもセキュリティゲートを通過。
ベイル・オーガナは、モン・モスマに3人組の護衛チームを用意していることを伝え、来年ヤヴィンで会うことを約束するとともに、演説を激励する。
議会が始まり、暴動を起こしたゴーマンを非難する議員が続出する中で、キャシアン・アンドーは元老院ビルの内部に詳しいアースキン・セマージと合流。
元老院ビルの内部に隠した武器を取りに行くべスカ、チャーヴァルだったが、べスカはISBのヤング監査官のエージェントであり、ラグレット監査官に緊急連絡を取ろうとしていた。その行為をあやしんだチャーヴァルを、べスカは殺害。
ホディ代表のアーヴィーン元老院議員は、先任議員としてオルデランの先任議員であるベイル・オーガナに発言権を譲り、ベイル・オーガナはさらに緊急時に他の先任議員にさえぎられることなく発言権を譲渡する条項17-252を発動し、モン・モスマに発言の機会を与える。
民主主義で生み出した怪物
モン・モスマは演説で、広く語られていることと真実との間に深い溝ができており、客観的に現実を見る目が喪失していることが最も深刻であるとし、真実を守ってきた元老院の力はゴーマンの広場でついに失われたと元老院の形骸化を非難。
さらにゴーマンで起きたことは正当な理由のない大虐殺であり、やがて我々を襲うであろう怪物こそがパルパティーン皇帝であると告発。
独裁的な指導者は、民主主義にて選ばれている。
モン・モスマはパルパティーン皇帝を我々自身が生み出した怪物だとしており、『ファントム・メナス(エピソード1)』で選挙の上で最高議長となり、『クローンの攻撃(エピソード2)』で非常事大権を与え、『シスの復讐(エピソード3)』で共和国から帝国へと再編してその皇帝としたのも、いずれも議会で起きたことだ。
プリクエル・トリロジーで描かれてきた、民主主義のあやうさの総括ともいえるような言及だ。
ゴーマンで多くの民衆が殺されたという真相が覆い隠され、ゴーマンが蛮行を働いたことで帝国の愛国者が殉職したことが強調されている中、これは大虐殺であると声を上げることがどれだけ勇気のあることなのか、このモン・モスマの演説は非常に力がこもったセリフであり、ジュネビーブ・オライリーの熱演はシリーズ中の大きなハイライトだ。
遠い昔、はるか彼方の銀河系の出来事ではなく、今も進行形で行われている殺戮に対して、実際の状況が正しく伝えられ、それに対して手を差し伸べられているのか。ゴーマンと同じ状況であるのではないか。
モン・モスマの告発からは、視聴者にも様々な疑問が投げかけられている。
演説を終えたモン・モスマの元にやってきたキャシアン・アンドーは、合言葉である「友達はあちこちにいる」を告げて合流。
ISBのエージェントであるベスカがブラスターを突き付けてモン・モスマの身柄を逮捕しようとしてきたが、アースキン・セマージの機転によって隙を作り、キャシアン・アンドーが射殺。
元老院ビルが封鎖される中、警備の帝国軍から逃れながらキャシアン・アンドーとモン・モスマは脱出を図る…
緊迫感をあおる音楽に、各所の状況をめまぐるしくつないでいく編集がシークエンス全体を高揚させていく。
また、プリクエル・トリロジーでおなじみの元老院ビルのこれまで描かれてこなかった内部が見られることとともに、建築デザインが洗練されていることは、逃走劇の舞台として強い印象を残す美術となっている。
「キャシアン・アンドー」では夫のペリン・ファーサ、娘のリーダ・モスマと、モン・モスマの家族が描かれてきたが、別れのあいさつもできないままに突然に帝国から亡命することになったようだ。演説の準備をしていたことから、嫁いだリーダ・モスマはともかくペリン・ファーサには伝えられそうなものだが、そもそも信頼していないため帝国の方に事前に情報が入ってしまうことを恐れ、伝えなかったのだろう。
反乱のための別れ、そして新たなパートナー
機転を効かせ、なんとかモン・モスマを救助することに成功したキャシアン・アンドーだが、反乱のための任務にはもう疲れてしまったようだ。
キャシアン・アンドーは反乱勢力での暮らしを離れ、ビックス・カリーンとの生活を選ぼうとしたが、しかしビックス・カリーンはキャシアン・アンドーの元から去ってしまった。ビックス・カリーンと共にいるためにキャシアン・アンドーが反乱のための戦いをあきらめてしまうこと、これを避けるための選択というのだ。
帝国に勝利するためには、キャシアン・アンドーが必要。これは「キャシアン・アンドー」シーズン2 第7話「メッセンジャー」でフォース・ヒーラーから使命を持っているべき場所があるメッセンジャーであるとされたこと、また現実問題としてデイヴィッツ・ドレイヴンらから評価され、リーダーとして昇格させたいと求められていることが、その決断に影響したのだろう。
録画したデータパッドのカメラのアングルで、何もかもが終わり勝利を手にしたら、やりたかったこと、できなかったことを全部やりましょう、あなたを見つけるからと正面から語りかけるビックス・カリーンのショットは、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』をすでに見ている視聴者は、これが起き得なかったことを知っており、あまりにせつない。
ビックス・カリーンが去ってしまう一方で、キャシアン・アンドーには新たなパートナーが現れる。ゴーマンで殺戮をしてまわっていたKXシリーズ・セキュリティ・ドロイドを再プログラムした、K-2SOだ。
冷たく、皮肉屋のドロイドをパートナーにしたキャシアン・アンドーの前には、戦いの道しかない。
「スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー」シーズン2 第9話「反乱へようこそ」トリビアチェックポイント
来年ヤヴィンで
帝国元老院での演説の直前、モン・モスマにベイル・オーガナは「来年ヤヴィンで」と言う。
「キャシアン・アンドー」シーズン2 第7話「メッセンジャー」から第9話「反乱へようこそ」にかけてのストーリーは、第7話「メッセンジャー」の冒頭で示されるように2BBYが舞台となっており、1BBYの『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の前年の出来事となる。
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』では、ベイル・オーガナはモン・モスマがいるヤヴィン4のグレート・テンプルに滞在しており、「来年ヤヴィンで」の約束は実現している。
ジン・アーソらの報告を受けて、ベイル・オーガナは戦いが避けられない事態となったことを伝えるべくオルデランへ向かうとともに、オビ=ワン・ケノービの助けを得るべくレイア・オーガナを送り出すことにした。
アキ=アキ
元老院ビルのセキュリティゲートを、ベイル・オーガナが手配したモン・モスマ護衛チームであるべスカ、チャーヴァル、セルコが通過するシーンにて、セキュリティゲートに並ぶ列の中に『スカイウォーカーの夜明け(エピソード9)』でパサーナにて登場した種族であるアキ=アキの姿が見える。
アキ=アキは、「キャシアン・アンドー」シーズン1にも登場している。
メルシのブラスター
ヤヴィン4のグレート・テンプルに到着した兵士たちが提出した武器の中に、プリオックス=モーラーナのエンブレムがデザインされたブラスターを見つけたヴェル・サルサ。
誰のものかと尋ねると、名乗り出たのはルースコット・メルシだった。
ルースコット・メルシは、「キャシアン・アンドー」シーズン1では第8話「ナーキーナ・ファイブ」から登場し、ナーキーナ5の帝国の工場施設に収監されたキャシアン・アンドーが出会った囚人で、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』ではウォバニにある帝国軍の労働キャンプからジン・アーソを奪還、スカリフの戦いにも参加していた。
キャシアン・アンドーとルースコット・メルシはともにナーキーナ5からの脱出に成功。ニアモスで隠していた所持品を回収し、生き延びて帝国の悪行を広める確率を高めるため別れて行動する際に、キャシアンはメルシにプリオックス=モーラーナのブラスターを渡していたのだ。
このプリオックス=モーラーナのブラスターは、もともとシリル・カーンが所持していたもので、「キャシアン・アンドー」シーズン1 第3話「報いの音」にてシリル・カーンを拘束した際にキャシアンが盗んだ。

そのままルーセン・レイエルとともにフェリックスを発ち、アルダーニの任務に就いたため、キャシアンはプリオックス=モーラーナのブラスターを所持しており、ヴェル・サルサはこの時にキャシアンのブラスターとして認識していたというわけだ。
レッド・シジル
負傷したウィルモン・パアクがヤヴィン4に到着し、グレート・テンプルに運び込んだ衛生兵の衣服や腕章にある赤いマークは、「クローン・ウォーズ」などに登場した医療を表すマークであるレッド・シジルで、『スター・ウォーズ』ギャラクシーにおける赤十字にあたるマークだ。
「キャシアン・アンドー」シーズン2は、Disney+ (ディズニープラス)で配信中。

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