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「キャシアン・アンドー」第11話「フェリックスの娘」レビュー/トリビアチェックポイント【ネタバレ注意】

(C)2022 Lucasfilm Ltd.

 Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「キャシアン・アンドー」第11話「フェリックスの娘」レビュー/トリビアチェックポイントです。

 この記事では、「キャシアン・アンドー」第11話「フェリックスの娘」のレビュー(感想・考察)やトリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。

 この記事はネタバレがございますので、「キャシアン・アンドー」第11話「フェリックスの娘」の本編鑑賞後にご覧ください。

 「キャシアン・アンドー」シーズン1の他のエピソードは、以下のカテゴリーからご参照ください。

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「キャシアン・アンドー」第11話「フェリックスの娘」レビュー

家族を亡くしたドロイド

(C)2022 Lucasfilm Ltd.

 やっとのことでナーキーナ5の帝国軍の強制労働施設を逃げ出すことに成功したキャシアン・アンドーだったが、ここで大きな喪失が彼を襲う。キャシアン・アンドーの育ての親、マーヴァ・アンドーが亡くなったのだ。

 作劇としては、主人公の育ての母という重要な役であるため、死にゆく時を描いた方がドラマチックだと思える。いわゆる普通に思い付く描き方である。しかしマーヴァ・アンドーの死は、葬儀の準備という事後から語り始められる。このドライさ、構成の外し方が「キャシアン・アンドー」らしい。

 アンドー家とずっと一緒にいたB2EMOも、マーヴァ・アンドーの死を受け入れられていない反応をしているのが無機物にも関わらず、哀しみを誘う。『スター・ウォーズ』では感情を持っているかのようなドロイドが多く登場するが、B2EMOもマーヴァ・アンドーの死という事象に対して、自分の意思を伝える。それはマーヴァの家にずっといたい、ということだ。

 キャシアン・アンドーの友人であるブラッソは、主を亡くしたB2EMOを思いやって声をかけ、残ると言い張ったアンドー家に一晩一緒にいてやろうとしており、ただの便利な道具ではなく、家族のように接するやさしさでこのドロイドに応えている。

 人間型ではなく箱型で、無機質な上に経年によってどもってしまう音声を持ち、感情を表しにくいキャラクター造形のB2EMOだからこそ、長年一緒にいたマーヴァを亡くした悲哀がにじみ出て来るようだ。これはC-3POやR2-D2とはまた異なる、ドロイドの感情描写である。

シーズン1の最終話に向けて、「キャシアン・アンドー」につながる線

 このマーヴァ・アンドーの葬儀によって、帝国軍と反乱勢力のそれぞれのキャラクターたちが「キャシアン・アンドー」という謎めいた男を追ってフェリックスに集結することになる。

 第11話「フェリックスの娘」は、次回が「キャシアン・アンドー」シーズン1の最終話となる第12話の前話というエピソードらしく、最終話へのお膳立てがなされていく。キャシアン・アンドーから伸びている糸を伝って、シリーズ中で別々の場所にいた者たちがマーヴァの死とキャシアン・アンドーの帰郷をきっかけに、ついに一堂に会することが期待される。

 また、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』へとつながるシーンが多いのも特徴的なエピソードだ。

 ISB(帝国保安局)のコーヴは、変装してアンドー家の周辺に張り込んでいる。シンタ・カズもすでにフェリックスに潜入中だ。そして彼女に手を貸すため、ヴェル・サーサもフェリックスに向かう。

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 フェリックスへの出発前にヴェル・サーサは、モン・モスマに会って金策の状況を聞く。ここで視聴者も、モン・モスマが直面している金融問題を整理出来るのだ。

 ルーセン・レイエルのため、昨年に毎月10万クレジットを家族信託から引き出していたところ、シャンドリラの銀行家であるテイ・コルマからシャンドリランの口座に帝国の監査が入ると警告があり、メイン口座に資金を移動させたところ数字が合わない台帳の存在を把握したモン・モスマは、ルーセンに断った上でテイ・コルマの協力を得た。

 しかし、アルダーニの事件が起きたことで資金が凍結。帝国の監査が迫る中で、40万クレジットという大金が不足した状態となってしまった。この不自然な経理から、反乱活動への資金の流れがつかまれるのは必至だ。

 ただ、モン・モスマは解決策は見つけたと言う。

 このエピソードで描かれたように、娘のリーダ・モスマが古風な風習に熱心なタイプであるため、しきたりに従った婚姻も受け入れてくれるということだろうか。

 涙を浮かべて娘を見つめるモン・モスマは、銀河の平和のために家庭を犠牲にする覚悟をしているのかも知れない。

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 プリオックス=モーラーナにいた頃のかつての部下、モスクからの連絡によってマーヴァ・アンドーが亡くなったことを知ったシリル・カーンもまた、フェリックスを目指すだろう。

 通信の問題によってモスクとの嚙み合わない会話とともに、母親のイーディ・カーンを追い払いながら会話するあたりは、実家で親とともに同居している大人ならではの気まずさがあり、シーズン1が終盤に差し掛かってシリアスな場面が続くエピソードの中にあって思わず笑ってしまうシーンだ。

ソウ・ゲレラの疑心暗鬼のオリジン

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 スパイをさせているISBのロニ・ヤングからの情報で、アント・クリーガーによるスペルハウスの発電所襲撃計画はISBに知られていることを把握し、攻撃がなければISB内部の情報を得ていることがバレてしまうため、アント・クリーガーを見捨てることにしたルーセン・レイエル。

 しかし、第8話「ナーキーナ・ファイブ」でアント・クリーガーへの協力を提案し、それに難色を示していたはずのソウ・ゲレラは、なぜかスペルハウスの発電所襲撃に乗り気になっており、ルーセン・レイエルはめずらしく本当のところを明かさざるを得なくなる。

「キャシアン・アンドー」第8話「ナーキーナ・ファイブ」のレビューやトリビアを、ネタバレありで解説します。

 ここでソウ・ゲレラは、ルーセン・レイエルがISB内部だけではなく、あちこちにスパイを置いていることを疑う。

 これから5年後、さらに数々の戦いを経て心身ともに傷つき、抜け殻となった『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でのソウ・ゲレラは、ボーディー・ルックに対しても、ゲイレン・アーソから預かって育ててきたジン・アーソにまでも、罠を疑ってしまうほど疑心暗鬼の状態だった。

 カフリーンの環でキャシアン・アンドーが会った情報提供者のティヴィックも、ソウ・ゲレラが言った通りそこらじゅうにスパイがいると発言しており、ソウは常にスパイを疑っていたことが伺える。

 ルーセン・レイエルの存在は、ソウ・ゲレラの猜疑心をより強めることなったのだろう。

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 ただ、もともとアント・クリーガーには協力しない態度だったソウ・ゲレラが突然、スペルハウスの発電所襲撃計画に乗り気になっていた理由がわからず、ややシナリオのご都合を感じてしまう。ルーセン・レイエルが言うように、ソウ・ゲレラが何をするのかわからないタイプではあると思うが…

ルーセン・レイエルと帝国軍の一触即発の駆け引き

 ソウ・ゲレラのパルチザンが潜むセグラ・マイロから帰る途上、ルーセン・レイエルはアンティーク品の商談を装ってソウ・ゲレラとの会話をクレヤ・マーキに報告する。

 さらに続けて「例の品」の仕入れについて話す2人。「例の品」とは、キャシアン・アンドーのことだ。

 「例の品」はまだテーブルにはある状況ではあるが、「代理人」による交渉が続いているものの「狙っているバイヤー」も多く、今ルーセンが関わるとややこしくなると言うクレヤに、「逃すと店を閉める」ことになると返すルーセン。

 つまり、キャシアン・アンドーはまだ誰も捕らえられておらず、シンタ・カズがフェリックスで見張っているが、帝国軍をはじめとしてその身柄は他にも狙われており、ルーセンは今フェリックスには行くなと言うのがクレヤの意見であり、キャシアン・アンドーを逃すことになれば、破滅すると恐れているのがルーセンというわけだ。

 この分だとルーセン・レイエルはフェリックスに行くのだろうが、その前にセグラ・マイロの帝国巡視隊が立ちはだかる。

 トラクター・ビームで捕らえたキャントウェル級アレスタークルーザーの艦長・エルクと、捕らえられたルーセン・レイエルがお互いの手の内が見えない状態で相手の力量を図りながら駒を進めていく、一触即発の駆け引きが面白い!

 いざ戦闘となった際のルーセン・レイエルが駆るフォンドア輸送船とタイ・ファイターのスペースバトルは『スター・ウォーズ』らしい爽快感にあふれ、中でもフォンドア輸送船が発するレーザー兵器はケレン味たっぷり!

夕景の海辺で、亡き親に誇れる自分に

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 ニアモスに戻って来たキャシアン・アンドーは、フェリックスのザンワンに通信をして育ての母であるマーヴァ・アンドーに伝言を頼む。

 自分は元気にやっていること、いつもマーヴァのことを思っていること、キャシアンのことを誇りに思うだろう(「She’d be proud of me」)ということ、そして出来る限り早く帰って来るということ。

 しかし、ザンワンからマーヴァが亡くなったことを聞かされるキャシアン。

 理不尽な帝国の支配を良しとせずに戦う晩年のマーヴァの気持ちに火を付けたアルダーニの事件で、キャシアン・アンドーが活躍したと知ったら、ナーキーナ5の帝国の労働施設から囚人を解放させたと知ったら、マーヴァは何と声を掛けたのだろう。

 育ての親すらも、本当のことを永遠に伝えることが出来なくなったキャシアン・アンドーの心に去来するのは、後悔なのだろうか。

 生き延びて帝国の悪行を広める確率を高めるため、ルースコッド・メルシと別れるキャシアン。育ての母の死を聞いた悲しみを押し殺しながら見送る、複雑な感情を抑えた芝居で表現するディエゴ・ルナの演技が絶妙だ。

 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でキャシアン・アンドーは、デス・スターのスーパーレーザーの砲撃で閃光を放つスカリフの海辺で、ジン・アーソに「お父さんは君を誇りに思っていたことだろう、ジン(Your father would have been proud of you, Jyn)」と言っている。

 キャシアン・アンドーがこのセリフをジン・アーソに告げた時、5年前の同じ夕景の海辺を、マーヴァ・アンドーのことを思っていたのだろうか。

 「キャシアン・アンドー」のこのシーンによって、『ローグ・ワン』でのこのセリフはキャシアンが自分に言い聞かせているようにも思え、新たな意味が加わった。

「キャシアン・アンドー」第11話「フェリックスの娘」トリビアチェックポイント

タイ・リーパー

 ナーキーナ5の断崖でキャシアン・アンドーとルースコット・メルシが身を隠している相手は、タイ・リーパーだ。

 タイ・リーパーは『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』に登場し、スカリフの前線へとデス・トルーパーの部隊を送り込む際に用いられた。

 タイ・リーパーという名称は、スマホアプリゲーム「スター・ウォーズ/銀河の英雄」で初めて設定された。

ケレディアン

 ナーキーナ5で、キャシアン・アンドーとルースコット・メルシを捕らえたエイリアンはケレディアンだ。

 ケレディアンは、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』ではソウ・ゲレラのパルチザンのメンバーであるサイサイド・オックの種族。

「スター・ウォーズ:フォース・アリーナ」より「ケレディアン遊撃兵」

 ケレディアンという種族名は、スマホアプリゲーム「スター・ウォーズ:フォース・アリーナ」(2019年にサービス終了)のキャラクターカード「ケレディアン遊撃兵」で初めて設定された。

クワッドジャンパー

 ナーキーナ5にて、ケレディアンのデウィ・パムラーとフリーディ・パムラーの宇宙船を指して、キャシアン・アンドーはクワッドジャンパーだとルースコット・メルシに教える。

 クワッドジャンパーは、『フォースの覚醒』にて初登場した宇宙船。ジャクーでファースト・オーダーから逃げるレイとフィンがクワッドジャンパーを見つけて乗ろうとするものの、直前でタイ・ファイターに破壊されてしまったシーンが印象深い。

監視用ホロカメラ

 独房でビックス・カリーンを見張っているのは、監視用ホロカメラ。

 監視用ホロカメラは、『エピソード4/新たなる希望』にてデス・スターの監房ブロックに配備されており、ルーク・スカイウォーカーとハン・ソロがチューバッカに捕虜のふりをさせた侵入した際に、ブラスターで破壊されていた。

キャントウェル級アレスタークルーザー

 セグラ・マイロでルーセン・レイエルが遭遇した帝国巡視隊の宇宙船は、キャントウェル級アレスタークルーザーだ。

 キャントウェル級アレスタークルーザーは、『エピソード4/新たなる希望』のためにコリン・キャントウェルが描いたコンセプトアートを用いたデザインの宇宙船だ。

 キャントウェル級アレスタークルーザーが初登場したのは、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』にてコレリアのコロネット宇宙港でハンが見た帝国軍勧誘コマーシャル内である。もちろん、キャントウェル級アレスタークルーザーという名称はコリン・キャントウェルにちなんだものだ。

 他にもキャントウェル級アレスタークルーザーの登場シーンはあったのだが本編からはカットされており、ブルーレイやDisney+ (ディズニープラス)で視聴出来る特典映像の未公開シーンである、ハン・ソロの帝国軍新兵パイロットの頃を描いた「夢を断たれる」にて、キャントウェル級アレスタークルーザーが登場している。

 「キャシアン・アンドー」はDisney+ (ディズニープラス)にて独占配信中。

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