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「キャシアン・アンドー」第8話「ナーキーナ・ファイブ」レビュー/トリビアチェックポイント【ネタバレ注意】

(C)2022 Lucasfilm Ltd.

 Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「キャシアン・アンドー」第8話「ナーキーナ・ファイブ」レビュー/トリビアチェックポイントです。

 この記事では、「キャシアン・アンドー」第8話「ナーキーナ・ファイブ」のレビュー(感想・考察)やトリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。

 この記事はネタバレがございますので、「キャシアン・アンドー」第8話「ナーキーナ・ファイブ」の本編鑑賞後にご覧ください。

 「キャシアン・アンドー」シーズン1の他のエピソードは、以下のカテゴリーからご参照ください。

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「キャシアン・アンドー」第8話「ナーキーナ・ファイブ」レビュー

『THX-1138』のような管理社会は、今だからこそリアルに響く

 キャシアン・アンドーの包囲網が狭まっていく。

 厳密には、第8話「ナーキーナ・ファイブ」はキャシアン・アンドーの周囲の人物が少しずつ帝国軍に捕捉されていくエピソードだ。もっとも、当のキャシアン・アンドー本人はすでに帝国に捕らえられており、強制労働させられているのだから皮肉である。すでに帝国の手中にあるにも関わらず、キャシアン・アンドーがいくつもの偽名を使い分けていることで捕えていることに気付かず、帝国軍が外堀から捜索しているのは滑稽だ。

(C)2022 Lucasfilm Ltd.

 リゾート地であるニアモスから一転、エピソードタイトルにもなっているナーキーナ5へと移送されたキャシアン・アンドーは、帝国の工場施設で強制労働させられることに。

 内装のすべてが純白の施設の中で、囚人全員が白い服を着て徹底した管理の中でひたすら効率を求めて作業する。帝国の「秩序」が行きつく先だ。

 これはジョージ・ルーカスの商業映画デビュー作品である『THX-1138』で描かれた管理社会を彷彿とさせる。「THX-1138」という言葉をただ用いる制作者の遊びやオマージュではなく、作品の本質からの引用だと言える。

 恐怖で脅され、生産性の向上のみを考え、機械のコントロールを受け、味気ないペーストで必要な栄養は取らされながら、作業のスコアを他者と競わされ作業に従事する姿は、人間的で幸せな姿であるとはとても言えない。

 『THX-1138』の公開から51年(!)、ジョージ・ルーカスが描いた未来のディストピアは当時よりももっと身近に感じられそうだ。

 最近は、仕事の効率はもちろん、学習の効率、またコストパフォーマンス(コスパ)やタイムパフォーマンス(タイパ)などという言葉もよく叫ばれるようになった。効率的な完全食も普及している。ゲームの要素を取り入れるゲーミフィケーションもよく聞かれるし、SNSなどのインターネット上のサービスでは、あらゆるアルゴリズムが働いて人間の承認欲求や、情報を見逃してしまうという恐怖を煽り、ユーザーがそのサービスをもっと利用して時間を使うように誘導していく(これをWEBサイトに書き、その記事をSNSで拡散させている時点で、この文章もその仕組みから逃れられていない)。

 効率の重視はもちろん大切なことだし、限られたリソースを有効に活用することは仕事だけではなく人生において重要だが、あまりに徹底し過ぎた先にあるのがこうした管理社会なのではないだろうか。

 本来は心を豊かにするための映像作品の鑑賞にも、倍速視聴といった効率を求める見かたも出ているが、こうした鑑賞方法ではストーリー上の大きなハイライトではないこのナーキーナ5での強制労働シーンは倍速にされたり、スキップされてしまいそうだ(もっとも、ディズニープラスアプリには視聴速度変更機能はないが)。

 自殺者も出るほどのこの過酷な状況の中でも、密かにハンドサインで連絡を取っている者たちをキャシアン・アンドーは目にする。管理社会の中でも止められない反乱の息吹は、キャシアン・アンドーがナーキーナ5から脱出する糸口になるか。

点をつなげるデドラ・ミーロと、正しさに執着するシリル・カーン

(C)2022 Lucasfilm Ltd.

 そんなキャシアン・アンドーへの執着を捨てられないのは、前話である第7話「声明」にて過去を捨て、標準局燃料純度部で新たなキャリアを築こうとしたはずのシリル・カーン。

 標準局燃料純度部で勤務を始めてからの1か月弱の間で、シリル・カーンはキャシアン・アンドーについて行方不明の燃料専門家と偽り6回もデータセンターに情報照会をしていたことから、かねてからフェリックスの事件について不明点を聴取しようと考えていたISB(帝国保安局)のデドラ・ミーロ監査官の目を惹き、これまで出会うことのなかった両者が接点を持つことに。

 新たなスタートを切るどころか、キャシアン・アンドーと「正しさ」への執着を強めていくシリル・カーン。秩序をもたらす帝国へのさらなる貢献を口にするが、デドラ・ミーロには取り合われない。しかし、シリル・カーンの執念はここで終わりそうもないが…

 またISBの会議においてデドラ・ミーロは、キャシアン・アンドーの先に「アクシス」と呼ぶターゲットを見据えていることが判明。キャシアン・アンドーがNS-9 スターパス・ユニットを売ろうとしていたルーセン・レイエルが「アクシス」であろうが、帝国軍はその存在は知っているもまだ素性を掴めず、そのネットワークがどの程度の規模なのかもわかっていない状態だ。

協力を持ち掛けるルーセン・レイエルと、拒むソウ・ゲレラ。反乱同盟の夜明け前

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 そのルーセン・レイエルは、セグラ・マイロに潜むパルチザンのソウ・ゲレラと会談。帝国のドライブ・アダプター一式、未開封のステアガード・ターゲット・デフレクター3台の提供の代わりに、スペルハウスの帝国の発電所に弱点を見つけたアント・クリーガーという人物に会うようソウ・ゲレラに依頼するルーセン・レイエル。

 ルーセン・レイエルとソウ・ゲレラの会話からは、帝国という同じ敵を前にしていても一致団結出来ない反乱グループの実像が伺える。思想の違いからなのか、協力し合えない小規模なグループでは強大な帝国には勝てるはずがない。アルダーニの作戦を行ったこともソウ・ゲレラに明かさないルーセン・レイエルの姿勢からは、信頼を築くことが出来ない各反乱グループの状況がわかる。

 ルーセン・レイエルは力を合わせることを訴えたが、反乱同盟の夜明けにはまだ遠い。

キャシアン・アンドー本人不在の中、狭まる包囲網

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 モン・モスマはパーティーの場で皇帝を止めるための票集めに試みつつ、引き続きテイ・コルマと資金移動を進めようとするが状況は芳しくない。

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 テイ・コルマは朝が早いとパーティーを後にしたようだが、本当だろうか。キャストの目線の演技が特徴的な「キャシアン・アンドー」。ペリン・ファーサが最後に投げかけた目線と、その直後のモン・モスマの不安気な表情は意味深だ。

 フェリックスでは、マーヴァ・アンドーが反乱のため無茶をして体調を悪くしている。キャシアン・アンドーの友人であるブラッソとビックス・カリーンが面倒を見るが、キャシアン・アンドーの行方を尋ねるためルーセン・レイエルと通信を取ろうとする。

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 これが仇となったか、通信機を貸していたサルマン・パアクが帝国に捕らえられてしまう。さらに、ビックス・カリーンも帝国に捕まり、ISBのデドラ・ミーロの尋問を受けることに。デドラ・ミーロは職務上、「キャシアン・アンドー」に散らばる「点」を結び付けていくようだ。

 帝国とはまた別の追っ手もいる。アルダーニの作戦でともに戦ったキャシアン・アンドーを、秘密保持のため葬るよう命じられたヴェル・サーサとシンタ・カズはフェリックスでビックス・カリーンを見張っていたが、肝心のビックスが帝国に捕らえられたことで手がかりはなくなることになりそうだ。シンタはこの先、フェリックスでどのような役割を果たすのだろうか。

 任務のため、シンタと再び別れたヴェル・サーサの次の動きも気になるところ。明確なセリフで説明するのではなく、2人がカップルであることを会話の中で感じ取れるようにし、またヴェルの生い立ちも想像させるダイアローグが自然だ。

 10秒スキップしてはわからない、わずかな機微が描かれているのも「キャシアン・アンドー」というシリーズの魅力だと実感する。

「キャシアン・アンドー」第8話「ナーキーナ・ファイブ」トリビアチェックポイント

ベルサヴィス

 ニアモスから移送される際に、キャシアン・アンドーの前にいたタック・ハイベックスが送られた先はベルサヴィス。ナーキーナ5とは別の移送先だ。

 ベルサヴィスは、レジェンズでは氷河により分断された火山性の地溝帯から成る惑星で、ジェダイの隠れ家があった。帝国の成立後、ジェダイたちは住民の記憶から自分たちの存在を消し去って誰も知らない場所へと旅立っている。

 エンドアの戦いの8年後を舞台にした小説「スター・ウォーズ ジェダイの遺児」ではハン・ソロとレイア・オーガナがベルサヴィスを訪れ、「皇帝の手」でありこの地に潜んでいたロガンダ・イズマレンと遭遇。ロガンダ・イズマレンの新共和国を倒す陰謀を暴いた。

 正史(カノン)では、小説「スター・ウォーズ ハイ・リパブリック ジェダイの光」にて、通常のナビゲーションシステムでは不可能なハイパースペース・ルートを見出す「経路(パス)」がアスガー・ローによりもたらされる以前の略奪者グループのナイヒルは、ベルサヴィス(邦訳ではベルサビスと表記)のそば、サルズ・シュラウドに近いリムの片隅で細々と活動していたと言及されている。

タンクストイド

 ナーキーナ5にて、帝国軍の看守は電気ショックを与えてから床がタンクストイド製であると説明する。

 タンクストイドは、レジェンズの小説「Fate of the Jedi: Abyss」にてコルサントの銀河同盟警備拘留センター81のブラスト・ドアに用いられていた非常に重い物質だ。

 正史(カノン)では「キャシアン・アンドー」にて、タンクストイドが初めて登場することになった。

アンディ・サーキス

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 ナーキーナ5の帝国の工場施設のユニット52Dの監督係であるキノ・ロイを演じているのは、なんとアンディ・サーキスだ!

 アンディ・サーキスは、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』、『最後のジェダイ』にてパフォーマンスキャプチャーで最高指導者スノークを演じた。大きな役柄を演じたにも関わらず、同じシリーズにて別の役柄を演じるとは!スノーク役では素顔は見せていないという、モーションアクターならではのキャスティングだろう。

 先日は、2022年11月25日(金)~11月27日(日)に幕張メッセで開催される「東京コミコン2022」のためアンディ・サーキスが来日することも発表されており、アンディ・サーキスの「キャシアン・アンドー」出演は日本のファンにとっては特にサプライズとなった!

「東京コミコン2022」に最高指導者スノークを演じたアンディ・サーキスと、ボバ・フェットを演じたダニエル・ローガンが来場!写真撮影会、サイン会が行われる予定。「STAR WARS POP UP STORE/TCC2022」先行販売アイテム情報も発表。

メルシ

 ナーキーナ5の帝国の工場施設のユニット52Dにて、キャシアン・アンドーが加わることになった作業台5のメンバーのひとりに、メルシという囚人がいる。そう、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』に登場したルースコット・メルシだ!

 メルシは、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でウォバニにある帝国軍の労働キャンプからジン・アーソを奪還する作戦を実行。

 メルシたち救出チーム・ブラボーにより反乱同盟軍に身柄を移され、協力することになったジン・アーソは、ゲイレン・アーソによりデス・スターに仕掛けられた弱点と設計図の存在をつかんだものの、反乱軍最高司令部はデス・スター設計図があるというスカリフへの攻撃の実行をまとめ上げることが出来なかった。

 しかし、キャシアン・アンドーはジン・アーソに賛同して志願兵を集めた。この時に、キャシアンから声を掛けられて共に部隊を招集したのがメルシだ。

「ローグ・ワン」として知られる即席部隊はスカリフへと潜入し、ジン・アーソ、キャシアン・アンドー、K-2SOがシタデル・タワーでデス・スター設計図を奪取しに行く間に、メルシは本隊を率いてシタデル・タワーの外で陽動作戦を展開し、可能な限り帝国軍を引き付ける役割を担った。

 メルシは帝国軍との戦闘にて命を落としたが、スカリフの戦いにおける作戦は成功し、デス・スター設計図は最終的にヤヴィン4の反乱軍基地まで届けられ、デス・スターの破壊へとつなげられることになる。

 第8話「ナーキーナ・ファイブ」の時点では、帝国の囚人であるキャシアン・アンドーとメルシ。2人はどのように反乱軍へと加わるのだろうか?キャシアンとメルシの出会いが、これからのストーリーでどのように影響してくるのか気になるところだ。

 ルースコット・メルシを演じたのは、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』と同じくダンカン・パウ。

ベンシック

 セグラ・マイロのソウ・ゲレラ率いるパルチザンの隠れ家を見張っているのは、2本のチューブが付いたマスクを装着しているトグナスのベンシックだ。

 ベンシックは、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』にて同じくパルチザンの一員として登場。また、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』よりも10年前にあたる『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』では、ベンシックはエンフィス・ネストのクラウド=ライダースのメンバーだった。

 デス・スターによるジェダ攻撃を生き延びたベンシックは『ローグ・ワン』の後、コミック「Star Wars」にてルーク・スカイウォーカー、レイア・オーガナ、ハン・ソロといった反乱同盟軍のメンバーと会っている。

モロフ

 セグラ・マイロのパルチザンの隠れ家の入口付近を見ていると、白い毛の巨体を持つモロフが歩いていることが確認出来る。ベンシックが登場する隠れ家の外観のカットと、ルーセン・レイエルとソウ・ゲレラの会話を入口側を背景に撮ったカットの2か所の遠景にモロフがいる。

 モロフは、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でパルチザンの一員として登場していたギゴーランだ。

ソウ・ゲレラ

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 第4話「アルダーニ」ではアーヴェル・スキーンのセリフの中で言及されたのみだったソウ・ゲレラ本人が、ついに「キャシアン・アンドー」に登場!上記のベンシック、モロフといった自身が率いるパルチザンのメンバーとともに登場するので、いよいよ『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』と直結するストーリーであることを実感させられる。

 演じているのは、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』と同じくフォレスト・ウィテカー。これまでのシリーズと変わらず、日本語吹替版は立木文彦がソウ・ゲレラを演じている。

 ソウ・ゲレラは、「クローン・ウォーズ」シーズン5「オンダロン支援作戦」にて初登場。分離主義者についてしまったオンダロンの王政に対抗したオンダロンの反乱軍で、アナキン・スカイウォーカー、アソーカ・タノ、キャプテン・レックスの戦闘訓練を受けた。

 クローン戦争が終結した後は帝国との戦いに乗り出して反乱軍の過激派組織、パルチザンを率いたソウ・ゲレラは「スター・ウォーズ 反乱者たち」、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」にも登場。

 「キャシアン・アンドー」はDisney+ (ディズニープラス)にて独占配信中。

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