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「キャシアン・アンドー」第2話「俺かも知れない」レビュー/トリビアチェックポイント【ネタバレ注意】

(C)2022 Lucasfilm Ltd.

 Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「キャシアン・アンドー」第2話「俺かも知れない」レビュー/トリビアチェックポイントです。

 この記事では、「キャシアン・アンドー」第2話「俺かも知れない」のレビュー(感想・考察)やトリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。

 この記事はネタバレがございますので、「キャシアン・アンドー」第2話「俺かも知れない」の本編鑑賞後にご覧ください。

 「キャシアン・アンドー」シーズン1の他のエピソードは、以下のカテゴリーからご参照ください。

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「キャシアン・アンドー」第2話「俺かも知れない」レビュー

エピソードを積み上げ、各キャラクターのディテールを掘り出す

(C)2022 Lucasfilm Ltd.

 今はキャシアン・アンドーと名乗る男は、徐々に追い詰められていく。

 モーラーナ1にてプリオックス=モーラーナの保安要員2人が殺害された事件を追うシリル・カーン捜査主任は、キャシアン・アンドーがNS-9 スターパス・ユニットを売ろうとしていたビックス・キャリーンの恋人、ティム・カルロからの密告と、モーラーナ1の店員への聞き込みが揃ったことで、フェリックスに住むケナーリ出身のキャシアン・アンドーの存在へとたどり着いた。

 ビックス・キャリーンが呼んだNS-9 スターパス・ユニットの買い手であるルーセン・レイエルもフェリックスに到着。

 一方、キャシアン・アンドーが「キャサ」と呼ばれていたケナーリでの幼少期には、墜落した宇宙船を探索しに行ったことがあった。独立星系連合のシンボルマークがデザインされた服を着用した、宇宙船の生き残りの乗員に仲間の一人をブラスターで撃たれたことで始まった戦闘に居合わせたキャサは…

 「キャシアン・アンドー」初回3話同時配信の第2話「俺かも知れない」は、ストーリーを書くと上記のようにまとめられてしまう程の37分だ。

 「キャシアン・アンドー」のここまでの大きな特徴として、キャシアン・アンドーをはじめとした各キャラクターがどのような人物であるのか、エピソードを積み上げてディテールを掘り出していくことが挙げられる。

 会話劇を中心としながらも、セリフによる説明は極力排してキャシアン・アンドーの周囲の人々を描いていくことで、観客に彼らの思惑や行動の理由を想像させていく。

 その積み重ねが、彼らが織り成すストーリーに説得力を与えていくのだ。

カメラを向けられた『スター・ウォーズ』ギャラクシーの日常

 さらに、第1話「キャサ」に引き続いてこれまでの『スター・ウォーズ』映像作品では映されなかったような、『スター・ウォーズ』ギャラクシーに生きる人々が当たり前に過ごしている日常生活にカメラが向けられることで、より観客が自身の日常生活と重ね合わせやすく、その心情を想像しやすい舞台を作り上げている。

 フェリックスの市街地に到着するまで旋回を繰り返すホバーバスの中で、乗客に話しかけられるルーセン・レイエル。

 旅客機が旋回し続け、なかなか空港に着陸しないことや、公共交通機関に乗り合わせた乗客同士で世間話をする光景など、現実世界で起こることが『スター・ウォーズ』ギャラクシーに置き換えられていると、ここで人々が暮らしていることをよりリアルに感じることが出来る。

 仕事にかかる前のリーダーからの言葉は多少グダる時もあるし、職場によっては明らかにやる気のない態度でそれを聞くメンバーもいるだろうし、仕事が終わった後、一夜をともにする恋人たちもいる(『スター・ウォーズ』映像作品の中で最も生々しいキスシーンで、海外ドラマらしい描写だと思った。個人的には、幅広い年齢層が視聴するハリウッド映画でも登場し得る描写なので許容範囲と感じたが、『スター・ウォーズ』シリーズではこれまでにない描写なので、視聴環境によっては配慮が必要かも知れない)。

 朝にはカフ(コーヒーのこと)を飲むし、仕事の合間にはテイクアウトボックスに入ったヌードルを食べるのだ(これは第1話「キャサ」の話だが)。

 それらはこれまでにも『スター・ウォーズ』ギャラクシーに存在していたが、カメラのフレームの外の出来事であった(小説など、映像とは異なる表現が出来るスピンオフの別媒体では描かれることもある)。

(C)2022 Lucasfilm Ltd.

 こうした描写によって、初登場のキャラクターばかりである「キャシアン・アンドー」の登場人物が周囲とどのように関わっているのか、またストーリー展開における心情をより細かに描くことが可能になる。

 これらのシーンは、映画では完成前に真っ先にカットされる対象となるだろう。映画よりも多くの上映時間を持つ全12話のテレビシリーズ(これまでのディズニープラス『スター・ウォーズ』ドラマシリーズで最多エピソードのシリーズだ)だからこそ、こうしたアプローチが可能になったわけだ。その意味では、「動画配信サービスの『スター・ウォーズ』シリーズ」というフォーマットにマッチした手法と言える。

 その試みは面白い。一方で第2話「俺かも知れない」は、ついにアクションシーンがないエピソードとなってしまった。

 「キャシアン・アンドー」の第1話「キャサ」に続いて、第2話「俺かも知れない」でも山場を作らない構成は普通のドラマシリーズの感覚ではチャレンジングだ。

 テレビ、配信、そして映像以外にも多様なエンタテインメントがスマートフォンを介して楽しめる現代、まず作品を見つけてもらうこと自体に苦心するし、いざ見られたとしても退屈すれば「1話切り」どころか、数分見て離脱されてしまうかも知れない。

 視聴可能なコンテンツに対して可処分時間は少ないから、視聴者は損をしたくない。映像を倍速視聴する声も多く聞くようになった。

 せっかく多くの予算を掛けて、大掛かりなセットを建築し、細部の美術にもこだわり、一流のパフォーマンスが出来るキャストを呼び寄せ、ILMが最新のビジュアルエフェクトを凝らしても、10秒スキップされてしまっては形無しである。

 まったくの新作シリーズであれば、このエピソード構成では視聴者を惹きつけることは至難の業だろう。『スター・ウォーズ』というシリーズ作品であり、ディズニープラスという月額会員になったほどのコアなファンが集まるプラットフォームに配信される作品だからこそ、出来たことではないか。

 これは「キャシアン・アンドー」の第1話「キャサ」のレビューにも書いた通り、『スター・ウォーズ』ファンへの信頼とも言えるし、ファンへの甘えとも言えるだろう。いずれにしても、「キャシアン・アンドー」というタイトルで、ディズニープラスというプラットフォームだから出来たことなのは間違いない。繰り返しになるが、映画ではこの構成は難しい。

(C)2022 Lucasfilm Ltd.

 このように第1話「キャサ」と第2話「俺かも知れない」を積み重ねて、キャシアン・アンドーはいよいよ新たな旅立ちへと臨む。

 周囲の人間と、彼自身の過去が丁寧に描写されていくほど、キャシアン・アンドーという人物そのものは空洞のようにわからない部分が多いことに気付く。

 じっくりと点描された要素がつながりを見せた時、我々はキャシアン・アンドーのことをどこまで知ることが出来るのだろうか。

「キャシアン・アンドー」第2話「俺かも知れない」トリビアチェックポイント

フェスト

 プリ=モー保安本部にて、ティムからの密告によりキャシアン・アンドーの情報を確認していた職員は、登録情報ではフェスト出身となっており、ケナーリ出身ではないことを指摘する。

 このフェストは、本作「キャシアン・アンドー」が発表される以前までキャシアン・アンドーの出身地と設定されていた惑星だ。

 「キャシアン・アンドー」によって、キャシアン・アンドーの出身地はケナーリであることが明かされて設定が改変されたことになるが、これまでのフェストが出身地であるという設定は詐称された登録情報であったという解釈が出来るようになっている。

カフ

 ティム・カルロがビックス・キャリーンに淹れたカフは、『スター・ウォーズ』ギャラクシーでのコーヒーの呼び名のことだ。

 カフは「スター・ウォーズ 反乱者たち」など様々な作品の中に登場。ドロイドのように、異世界の中で使われている言葉として設定されたものと思われる。

クリック

 ルーセン・レイエルが、自身の宇宙船の着陸地点からシャトルの乗船場所を尋ねた際に、宇宙船のドロイドは2.3クリック離れていると言う。

 このクリック(Klick)は、キロメートルのこと。つまり、着陸地点から2.3キロメートル歩くとシャトルに乗れるというわけだ。

 クリックは『スター・ウォーズ』ギャラクシーでの用語ではなく、アメリカ軍で使われていたスラングだ。

 一方、『スター・ウォーズ』ギャラクシーでの用語としてのクリックは「Click」があり、これは時間の単位のことで「スター・ウォーズ クローン・ウォーズ」シーズン2 第4話「元老院のスパイ」にてアナキン・スカイウォーカーが用いている。

 そのため、『スター・ウォーズ』ギャラクシーでは距離の単位の「Klick」と時間の単位の「Click」の両方が存在することになる。

フォンドア

 そのルーセン・レイエルの宇宙船で、音声を発しているのは英語字幕を見ると「FONDOR DROID MOD」であることがわかる。

 フォンドアとは、造船所で知られている惑星。レジェンズでは、スーパー・スター・デストロイヤーのエグゼクターが建造された場所となっていた。

 この字幕から、ルーセン・レイエルの宇宙船にはフォンドア製のドロイドの改造型が内蔵されているものと思われる。

キラン・シャー

 ザンワンの貨物輸送店で働いているグラニクというエイリアンを演じているのは、多くの『スター・ウォーズ』作品に出演しているキラン・シャー。

 キラン・シャーは、『エピソード6/ジェダイの帰還』ではストームトルーパーのヘルメットを太鼓のように叩くブレサップなどのイウォークや、ジャバの宮殿で拷問されているパワー・ドロイドを演じたほか、『フォースの覚醒』、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』、『最後のジェダイ』、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』に出演し、『スカイウォーカーの夜明け』ではレイと交流するアキ=アキのナンビ・ギマを演じるなど、多数の印象的な役柄で知られている。

独立星系連合

 ケナーリに墜落した宇宙船に乗っていた乗員は、独立星系連合のシンボルマークがデザインされた服を着用している。

 独立星系連合といえば、クローン戦争で共和国と戦っていた勢力だ。独立星系連合は主にドロイド軍を用いているが、この墜落した宇宙船にはヒューマノイドの乗員が搭乗している。

OI-CT

 キャシアン・アンドーがフェリックスのスクラップ作業場を歩いてくるラストシーンで、遠景に4本脚のクレーンが付いたウォーカーの姿が見える。

 これは『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』のコレリアの港に登場した、OI-CT(Outsized Industrial Crane Transport)だ。

 「キャシアン・アンドー」はDisney+ (ディズニープラス)にて独占配信中。
 

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