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「キャシアン・アンドー」第12話「リックス通り」レビュー/トリビアチェックポイント【ネタバレ注意】

(C)2022 Lucasfilm Ltd.

 Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「キャシアン・アンドー」第12話「リックス通り」レビュー/トリビアチェックポイントです。

 この記事では、「キャシアン・アンドー」第12話「リックス通り」のレビュー(感想・考察)やトリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。

 この記事はネタバレがございますので、「キャシアン・アンドー」第12話「リックス通り」の本編鑑賞後にご覧ください。

 「キャシアン・アンドー」シーズン1の他のエピソードは、以下のカテゴリーからご参照ください。

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「キャシアン・アンドー」第12話「リックス通り」レビュー

マーヴァの葬儀を引き金に、キャシアンを狙う各勢力が集結

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 「キャシアン・アンドー」シーズン1の最終話は、フェリックスで行われるマーヴァ・アンドーの葬儀にキャシアン・アンドーと彼を狙う各勢力が一同に会し、2人のアンドーをきっかけとしてフェリックスの民に反乱の火花が立つ。

 マーヴァの葬儀という多くの群衆が集まる式典の中で、密かにターゲットであるキャシアン・アンドーを狙う各勢力が暗躍し、当のキャシアンは囚われたビックス・カリーンをISB(帝国保安局)が支配するホテルから救い出そうとする、アクション・スリラー映画のクライマックスシーンのようなエピソードだ。

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 ナーチが密告したにも関わらず、監視網をかいくぐってビックス・カリーンを救い出すキャシアン・アンドーは、このシリーズの中で最も利他的な行いをしている。

 自身の危険を顧みず、ビックスを助け出した姿はヒーローらしいもので、シリーズを通して自身のために動いてきたキャシアン・アンドーが、誰かのために行動を起こしたことは、ラストでの反乱活動に加わる決意に影響を与えたのだろう。もう傭兵のままではいられなくなったのだ。

マーヴァとネミックの言葉が遺したもの

 マーヴァの葬儀とこれをきっかけとしたフェリックスの民衆による暴動は、かなり大規模にエキストラを動員して撮影されたように見え、スケール感も充分。音楽隊による演奏が、そのままドラマを盛り上げるサウンドトラックにもなっていることも臨場感を高めている。

 「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」第7話「チャプター7:名誉のために」でのモス・エスパの市街戦シーンでは、街中にいるのはボバ・フェットの陣営とパイク・シンジゲートの構成員のみで、すでにどこかへ避難したようで両陣営に巻き込まれた市民などはいない整然としたものだったことに対して、「キャシアン・アンドー」第12話「リックス通り」では街中での市民の蜂起と、これを鎮圧しようとする帝国軍をかなりの人員を用いて混沌としたリアルな描き方をしていたと思う。

 これは「キャシアン・アンドー」が巨大なLEDウォールを用いて撮影するステージクラフトと呼ばれるバーチャルプロダクションの手法で撮影をせず、また新型コロナウイルス対策をした上での撮影方法のノウハウが蓄積されたことも影響しているかも知れない。

 「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」がボバ・フェットやディン・ジャリンをヒーローのように描いているとしたら、「キャシアン・アンドー」の方は報道映像のような生々しさがある。

 『スカイウォーカーの夜明け』で人民の艦隊がファイナル・オーダーに立ち向かったように、蜂起した民衆たち。

 彼らを突き動かしたマーヴァ・アンドーが遺したホログラムメッセージによる最後の演説で語っているのは、NOを言わないことは、消極的な賛同と同じであるということだ。自分に何らかの利益があるから、まだ大丈夫そうだからと声を上げないことは、不自由を強いる者たちと同罪であるということなのだ。

 これはわかっていても、実際に体現するのは難しいことだ。だからこそ、大切なことである。

 このエピソードでは、もうひとつ反乱の心を奮い立たせる肉声を伴うものとしてカリス・ネミックの宣言書が登場する。これはキャシアン・アンドーの心に影響を与えたに違いない。

 いずれも、この時点では生きていない者だ。命を落とした者でも、後に続く者たちに影響を与え戦いへと目覚めさせることが出来る。これは『ローグ・ワン』にも通じるものがある。

もう傭兵ではいられない、キャシアン・アンドーの反乱への決心

 そして、「暴動」が「戦闘」となってしまったきっかけを作ったのは、帝国軍に父を連れて行かれたウィルモン・パアクの手製の爆弾だった。大事件の引き金は、往々にして個人の怒りなのだろう。

 武装していない民間人を銃撃する帝国軍のストームトルーパーたちは、やられ役としての印象が強い他のシリーズでは見られない、本来の設定の通りの非情な帝国の恐怖を象徴した姿が描かれているのも本作らしい。

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 こうした出来事により、シーズン1を通して大義なく成り行きで反乱活動に巻き込まれていただけだったキャシアン・アンドーの心に、積極的に反乱に参加する決意が固まる。

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 つまり「キャシアン・アンドー」シーズン1のストーリーを一言で言うならば、キャシアン・アンドーが自らの意思で帝国軍に抗い、反乱活動に加わるまでの話だったと言える。

 生き別れの妹を探している最中に危険を感じて体制側の人間を殺し、追っ手を盗品の売買相手とともに返り討ちにしたことをきっかけに、傭兵としてアルダーニの帝国軍施設の強盗に参加し、捕まったナーキーナ5の強制労働施設から大規模な脱走を成功させてきたが、いずれも成り行きで行ってきたものだった。

 これらの経験を経て、帝国を打倒して銀河を少しでもマシな場所にするという志を確立させるまでの話だったのだ。

 キャシアン・アンドーにとって、最後のひと押しとなったのはマーヴァの言葉だろう。

 ブラッソが言付かった、マーヴァ・アンドーがキャシアン・アンドーに遺した言葉は示唆に富んでいて、「お前のせいじゃない。既に燃えてた炎に火花を加えただけ」、「過ちを犯そうが、息子を愛している」といった言葉からは、マーヴァに伝えていなかったキャシアン・アンドーのこれまでの行いを知っていたかのようだ。

 一方、フェリックスの民衆に圧倒され、袋叩きに遭うところだったISBのデドラ・ミーロは、ここまで追ってきたまさかのシリル・カーンによって助け出される。

デドラ・ミーロとシリル・カーンの「正義」

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 デドラ・ミーロは、シーズン1を通して視聴者からの印象が大きく変わったキャラクターだろう。

 組織の中のしがらみを、仕事への努力と熱意で乗り越えるビジネスドラマのような逆転劇を最初に見せておき、デドラ・ミーロの仕事が上手くいくということは、それだけ銀河に苦しむ人々が増えるということを後から思い出させ、ある種の罪悪感を引き出させるのは巧みだ。

 調子に乗り過ぎたデドラ・ミーロが地べたを這い、ガタガタと震える様は因果応報と思えてしまい、最初のキャラクターの印象とは異なる感じ方となるのは面白い。

 シリル・カーンに助けられるあたり、彼に強硬手段を取らなかったことで自身が救われた結果に至ったのも因果を感じさせる。この2人が求める「正義」は、これからどこへ向かうのか。

次に決心するのは、モン・モスマか

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 主要な登場人物の中で、唯一フェリックスに来ることはなく、キャシアン・アンドーの存在もこの時点で知らないであろうコルサントのモン・モスマは、夫のペリン・ファーサのギャンブル癖を咎めて口論になる。

 ペリン・ファーサのギャンブルの元手となった金の情報は、スパイである運転手のクロリスによってISBに伝わる。このことが今後、モン・モスマを窮地に追いやることだろう。

 また、終盤ではモン・モスマはペリン・ファーサ、娘のリーダ・モスマとともに、ダヴォ・スカルダンの家族と顔合わせをする。

 ダヴォ・スカルダンの14歳の息子であるステカン・スカルダンとリーダ・モスマは、このまま婚姻することになりそうだ。

 「キャシアン・アンドー」では、登場人物のわずかな視線のやり取りと、それを表現するキャストの演技力が出色だが、この顔合わせのシーンでのリーダとモン・モスマの視線の投げ方も彼らの心情を感じさせるものがある。

 もし婚姻すれば、モン・モスマはあれだけ警戒していたダヴォ・スカルダンと親族ということになる。これはモン・モスマにとってかなり不本意なはずだ。

 いずれにしても、モン・モスマは今後5年の間に「キャシアン・アンドー」シーズン1の頃の生活は捨てることになる。

 キャシアン・アンドーは決意したが、モン・モスマは帝国との全面的な戦いには身を投じておらず、シーズン2でモン・モスマ自身が腹を決めなければならないエピソードが出て来るのではないだろうか。

 また、第8話「ナーキーナ・ファイブ」からその存在が語られてきたアント・クリーガーによるスペルハウスの発電所の襲撃については、攻撃の情報を持っていた帝国軍によってあっさりと制圧されてしまった。

 登場する前に退場してしまったアント・クリーガーだが、描き方によってはスペルハウスの発電所に攻撃して来た反乱勢力を圧倒する帝国軍のシーンを描くという選択肢もあったと思うが、すべてをセリフで処理してしまうのも潔く、語るべきものに集中していると感じた。

映画では出来ない、ドラマならではの『スター・ウォーズ』

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 「キャシアン・アンドー」シーズン1を振り返ると、積み重ねたエピソードによって時間をかけてキャラクターの心情を細かに描いていき、隠し事や駆け引きのある会話劇、またこれを成り立たせる演技、そのスリリングなストーリーを楽しめるシリーズだった。

 ディテールを掘り出すことで、『スター・ウォーズ』ギャラクシーの中で生きる人々の手触りが感じられるのは、これまでカメラのフレームの外にあって映っていなかった『スター・ウォーズ』ギャラクシーを垣間見られたようだ。

 戦闘やアクションシーンがなくても成立するエピソードを展開しながら、シリーズの山場では、大規模な戦闘やアクションシーンが盛り込まれたエピソードを置いており、シリーズ構成も含めて映画では出来ないことを目指した、配信ドラマならではな『スター・ウォーズ』だったと思う。

 ただ、大きなアクションシーンが比較的少なく、淡々とディテールを積み重ねていくテイストは好みが分かれるところかも知れない。東京コミコン2022でお会いした海外から来場された『スター・ウォーズ』ファンの方の中にも、途中で眠くなってしまったとお話されていた方もいらっしゃった。

 コアなファンでもこうした声があるということは、シリーズへの好感度や理解の深さが本作の評価を左右するとは言い切れない。合う/合わないという好みの問題かも知れないし、実際、ストーリーがドライブするまで時間がかかる『スター・ウォーズ』であると思う。
 
 またシーズン2があるため、シーズン1のエンディングとはいってもまだまだストーリーの途上という印象が当然ある。

 この物語の発端となった、生き別れの妹のエピソードについてはシーズン2での掘り下げてもらいたいところだ。

より『ローグ・ワン』へと近付く、「キャシアン・アンドー」シーズン2

 「キャシアン・アンドー」シーズン2では、より『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のテイストを色濃くしていき、K-2SOといったおなじみのキャラクターの登場があり、ひいては『エピソード4/新たなる希望』の銀河へと近付いていくことだろう。

 また、「スター・ウォーズ 反乱者たち」と同時代であり、並行していく点も見逃せない。「キャシアン・アンドー」シーズン1の舞台である5BBYは、「反乱者たち」の物語がスタートした頃でありエズラ・ブリッジャーがロザルでゴーストのメンバーたちと出会っている。

 「キャシアン・アンドー」シーズン2で触れて欲しいところとしては、2BBYのモン・モスマによる反乱同盟の設立宣言のホロネットによるスピーチだろう。モン・モスマが登場しており、反乱同盟軍の成立を描くとあれば、これは触れられてしかるべきだと思われ、アニメシリーズとのクロスオーバーに期待したい。

 「キャシアン・アンドー」シーズン2が、『ローグ・ワン』や『エピソード4/新たなる希望』をより強く感じさせるであろうことは、第12話「リックス通り」のエンドクレジット後の映像を見ればわかるはずだ。

「キャシアン・アンドー」第12話「リックス通り」トリビアチェックポイント

ゼータ級重貨物シャトル

 デドラ・ミーロがフェリックスまで乗って来たラムダ級シャトルの奥に停泊しているのは、ゼータ級重貨物シャトルだ。

 ゼータ級重貨物シャトルは、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』にてローグ・ワンのメンバーがスカリフへ向かう際に使用したシャトル、SW-0608と同型機。

 「オビ=ワン・ケノービ」の「パート3」では、マプーゾから飛び立ったゼータ級重貨物シャトルをオビ=ワンが見ていた。

デス・トルーパー

 ラムダ級シャトルから降りたデドラ・ミーロが引き連れているのは、デス・トルーパーだ。

 デス・トルーパーは、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』に初登場。『ローグ・ワン』ではオーソン・クレニック長官をデス・トルーパーが護衛していた。

 また、デス・トルーパーは「スター・ウォーズ 反乱者たち」ではスローン大提督に、「マンダロリアン」ではモフ・ギデオンに付き従っていた。モフ・ギデオンはデドラ・ミーロと同じく、ISBに所属していた将校でもある。

カント・バイト

 モン・モスマは、ペリン・ファーサがギャンブルに手を染めている疑う際に、「カント・バイトにでも行って好きにやってちょうだい」と言う。

 カント・バイトは『最後のジェダイ』に登場した惑星カントニカの都市。フィンとローズ、BB-8がカント・バイトのカジノにコード破りの達人を探しに来た。
 
 「マンダロリアン」「チャプター6:囚人 」では、メイフェルドがレイザー・クレストを見てカント・バイトのスロットマシンみたいだと言っている。

クバーズ

 マーヴァ・アンドーの葬儀と、それに続く暴動の群衆の中にゴーグルと長い鼻を持ったクバーズがいる。

 クバーズは、『エピソード4/新たなる希望』のモス・アイズリー宇宙港でルーク・スカイウォーカーらを帝国軍に密告したガリンダンの種族だ。

C.R.C

 キャシアン・アンドーが触れたクレム・アンドーの葬儀の石と、ブラッソが抱えていたマーヴァ・アンドーの葬儀の石には、フェリックスの街中でよく見られる文字が彫られている。これは、StarWars.comのエピソードガイドにてバジーズ文字とされた。

 それぞれの葬儀の石には、このバジーズ文字で名前と数字が彫られている。

 クレムは、「7896.39.5 7959.318.3」、マーヴァは「7895.330.9 7972.216.4」となる。この数字から、上下の位置に刻まれているのはC.R.Cと呼ばれる暦の年月日と考えられる。例えばマーヴァの場合は、C.R.C7895に生まれ、C.R.C7972(劇中現時点)に没したことになる。

 C.R.Cは、書籍「Star Wars: Scum and Villainy: Case Files on the Galaxy’s Most Notorious」にて設定された暦法で、この書籍以外で使用されたのは「キャシアン・アンドー」が初となる。ホズニアン歴とも呼ばれ、『エピソード4/新たなる希望』の出来事はC.R.C7977とされており、『エピソード4/新たなる希望』公開の西暦1977年に6000を足した数字だと考えればわかりやすい。

 このC.R.Cが使用されているのは、まだ銀河を揺るがすヤヴィンの戦いが起きていない頃のため、基準点がまだ起きていないABY(After Battle of Yavin)-BBY(Before Battle of Yavin)暦法は使用されるはずがないためだ。

 「キャシアン・アンドー」第1話「キャサ」冒頭のテロップでは「5BBY」と表示されたが、これはあくまで視聴者向けの演出ということになるだろう。

ブレオン・デイヴァン

 終盤で、ジェジ、ビックス・カリーン、B2EMO、ブラッソ、ウィルモン・パアクがフェリックスを飛び立つ際に乗った宇宙船は、「キャシアン・アンドー」第1話「キャサ」でキャシアン・アンドーがモーラーナ1からフェリックスまで乗って来たものと同じ宇宙船だ。

 ブレオン・デイヴァンという正式な船名は、StarWars.comの「キャサ」エピソードガイドにて明かされている。

建造中のデス・スターとスカリフ

 「キャシアン・アンドー」第12話「リックス通り」では、エンドクレジットの後に映像が入っている。

 ここで明かされるのは、ナーキーナ5でキャシアン・アンドーたちが作らされていた部品は、デス・スターに用いられるものだったということだ!デス・スターのスーパーレーザーのディッシュにあたる部分の一部を制作しており、デス・スターがいかに多くの強制労働によってこうして建造されたものか、実感することが出来る。

 デス・スターが軌道上にある青い惑星はスカリフだ。

 スカリフは、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でデス・スター設計図が保管されていた帝国軍のシタデル・タワーがある、熱帯の惑星。

 「キャシアン・アンドー」第4話「アルダーニ」では、ISBのヤング監督官がスカリフへの建材輸送が増えていると報告している。ナーキーナ5をはじめとした各施設で製造された建造資材が、こうして集められてきたというわけだ。

 9BBYにデス・スターはジオノーシスからスカリフに移送され、その建造が続けられた。

 「キャシアン・アンドー」から5年後、キャシアン・アンドーは自身もそのごく一部を作らされていたデス・スターの存在を確認し、デス・スター設計図を奪取するためジン・アーソらローグ・ワンとともにスカリフへ潜入することになる。

 その行動は、ナーキーナ5をはじめとした多くの人々の血や涙、死を、人生を犠牲にした建造物を破壊することにつながる。

 「キャシアン・アンドー」はDisney+ (ディズニープラス)にて独占配信中。

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