Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:モール/シャドウ・ロード」シーズン1 第8話「チャプター8 忍び寄る恐怖」レビュー/トリビアチェックポイントです。
この記事では、「スター・ウォーズ:モール/シャドウ・ロード」シーズン1 第8話「チャプター8 忍び寄る恐怖」のストーリーやレビュー(感想・考察・批評)、トリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。
この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:モール/シャドウ・ロード」シーズン1 第8話「チャプター8 忍び寄る恐怖」の本編鑑賞後にご覧ください。
「スター・ウォーズ:モール/シャドウ・ロード」シーズン1の他のエピソードは、以下のカテゴリーからご参照ください。

「スター・ウォーズ:モール/シャドウ・ロード」シーズン1 第8話「チャプター8 忍び寄る恐怖」レビュー
モールが向き合う苦しい過去、そして決意
前話である第7話「チャプター7 忘却への呼び声」にて、帝国に捕らわれてしまったライリー・ローソン。
「チャプター8 忍び寄る恐怖」では、ブランダー・ローソンとジェダイの師弟がライリー・ローソンを救出しようとする『スター・ウォーズ』らしい痛快な奪還とともに、モールが窮地の中で過去の傷と向き合い、葛藤する内面のドラマを描くという、動と静が対象的に配されたコントラストのあるエピソードだ。
追い詰められたモールがフォースで引き起こした洞窟の崩落から生き延びた尋問官のファースト・ブラザー(マロック)、イレブンス・ブラザー(クロウ)が、帝国軍のLAAT/iガンシップに回収される中、ルック・カスト(キャスト)らモールの一派の生き残りたちはモールを発見することが出来ず、まずはセクターから脱出してモールの合流を期待することに。
尋問官によって兄弟のスコーンを殺されたイカロスを思いやるルック・キャストの姿からは、彼らの絆も伺える。
洞窟で目を覚ましたモールは、尋問官の皇帝の望みは死だという言葉が頭の中でリフレインする。「クローン・ウォーズ」で直接対決した際にはパルパティーンはモールを生かすことにしたが、今回は抹殺を望んでいる。つまり、生かしておく価値もないとされたということであり、決定的に見捨てられたということだ。
機械の脚の不調によって岩場を這うように進むモール。モールにとって、義足の不調はナブーの戦いで失ったものを思い出させるはずだ。本当の脚の不在は、喪失感の苦しみを感じさせるだろう。
文字通り地べたを這いずるような苦境の底にあり、自身の人生の大半に影響を及ぼしたパルパティーンから価値がないとされたことから、過去のフラッシュバックに苛まれる。
まだ幼いモールを見出したダース・シディアス。弟サヴァージ・オプレスは、ついて行くなと引き留めていたことは新たな描写であり、兄弟の絆を感じさせる。
モールの修行風景と、ダース・シディアスからのフォース・ライトニングによる体罰も、モールの強さの理由と憎しみの根源を描いた描写だ。
さらに、『ファントム・メナス(エピソード1)』でオビ=ワン・ケノービがダース・モールを両断した場面を、モール視点から振り返る驚きのシーンも!クワイ=ガン・ジンの緑のライトセーバーが迫るカットは、視点を逆にすれば人生が暗転する忌まわしい記憶だ。
ここから、さらにモールの苦しい記憶は続く。ロソ・マイナーのゴミ捨て場で正気を失っていた日々、そしてマンダロアでのサヴァージ・オプレスの死。つらい修行を経たシスの暗黒卿としての自分も、故郷も家族も、弟も、すべてパルパティーンによって奪われた。
「スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ」のワンシーンと新規で制作された過去のシーンを交えてモールの壮絶な過去を振り返っていくことで、モールの主観でストーリーを捉え直していく。これにより、『ファントム・メナス(エピソード1)』では絶対的な悪だった存在が、葛藤と堕ちた理由があるという内面の広がりと心のひだが改めて伝わってくる。
これによって、モールが行ってきた悪事が精算されるわけではないし、善人として捉え直せるような単純なことにはならないが、盗人にも三分の理というような壮絶な人生を生きてきたモールの内面が再定義されていくというわけだ。
水鏡に映る自分自身に、謝罪とそれに対する許しを与えるモールは、アニメーションの演技とサム・ウィットワーの熱演によって心に残るものに。涙を流しているようなモールの姿は、このキャラクターに新たな一面と深い人物描写をもたらしている。
苦境の中で自身と向き合うことで、もうダース・シディアスにこれ以上誰も壊させはしないと誓う姿は、利他に目覚めるような瞬間だ。『ファントム・メナス(エピソード1)』ではシンプルだった悪役に、苦境を乗り越えて精神的に強くなっていくドラマが用意されることになるとは!
モールが自身の過去を受け入れ、単純な悪役を超えたキャラクターとなっていくという、本シリーズ「スター・ウォーズ:モール/シャドウ・ロード」が制作された理由がここにあると感じられる。
規則に縛られたドロイドが、規則を破る
モールの葛藤と並行して描かれるのが、ジャニックス警察本部でイレブンス・ブラザーに尋問されるライリー・ローソンの救出だ。
帝国軍に占拠された警察本部内で、突破のカギとなるのは2B0T(トゥー=ブーツ)である。
とにかく規則を遵守し、それによって帝国軍を招いてしまったトゥー=ブーツが、相棒であるブランダー・ローソンとその息子のライリー・ローソンのためにその規則を破って、『スター・ウォーズ』おなじみの捕虜の護送中のフリをしてライリーを救出。
ストームトルーパーを殺傷せず、スタンさせていくのはトゥー=ブーツらしい。
ブーツを履いてなくても相棒のドロイドを認識出来るブランダー・ローソンとトゥー=ブーツは、『スター・ウォーズ』にまた新たなドロイドとの名コンビが加わったと言えるだろう。
ライリー・ローソンを奪還したデヴォン・イザラがならず者から奪ったスピーダーで逃走し、帝国軍のAT-ACやスピーダー・バイクと繰り広げるチェイスシーンは、ストリートでのチェイスにふさわしい音楽が相まって痛快な展開が繰り広げられる。
LAAT/iガンシップの攻撃をかわし、イーコ=ディオ・ダキがフォースで追手のスピーダー・バイクをガンシップに激突させるなど、ジェダイが登場するからこそ実現出来る『スター・ウォーズ』ならではのアクションシーンだ!
しかし、ジャニックスからの脱出を手配していたリーナ・スルとの合流目前で、デヴォン・イザラとイーコ=ディオ・ダキはフォースを通じて罠の気配を察知する。
リーナ・スルが会話の中で発したサインを理解したブランダー・ローソンは、罠を確信。
ファースト・ブラザー、イレブンス・ブラザー、そしてブレイク中尉率いる帝国軍の部隊が待ち構える中、間一髪でエレベーターから脱出した一行。
帝国に脅されていたリーナ・スルも、ブラスターを奪って帝国軍を攻撃し、宇宙船を撃って大爆発を引き起こす。リーナ・スルの自己犠牲によって、ジェダイの師弟とローソン親子は辛くも窮地を脱することになった。
子どものため、仲間のため、身を挺して立ち向かっていくブランダー・ローソンやリーナ・スル、トゥー=ブーツの姿は、モールを見捨てたダース・シディアスとは対照的だ。
クリムゾン・ドーンからの接触
自力で這い上がったモールは、ジャニックスの路地裏でルック・キャストらと無事に合流を果たし、亡きニコ・ディーミスのアジトへと身を隠す。
そこでルーティ・ヴァリオに入った連絡は、クリムゾン・ドーンのドライデン・ヴォスがモールとの面会を求めているというもの!
ドライデン・ヴォスは「クローン・ウォーズ」ファイナルシーズン第10話「幻影の弟子」でもマンダロア包囲戦にてモールと通信していたが、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』でモールがクリムゾン・ドーンの首領となっていたことの経緯が明らかになりそうだ。
モールが語っていた帝国を倒す計画と、クリムゾン・ドーンの掌握には関係があるのか。
「モール/シャドウ・ロード」シーズン1の終盤にて、帝国の時代でのモールに関するリンクに期待が高まるエンディングだ。
「スター・ウォーズ:モール/シャドウ・ロード」シーズン1 第8話「チャプター8 忍び寄る恐怖」トリビアチェックポイント
ユアン・マクレガーの声
オビ=ワン・ケノービがダース・モールを両断した記憶のシーンで聞こえるオビ=ワン・ケノービの声は、『ファントム・メナス(エピソード1)』でのユアン・マクレガーの音声が使用されており、第8話「チャプター8 忍び寄る恐怖」のエンドクレジットではユアン・マクレガーがオビ=ワン・ケノービ役でクレジットされている。
モールのビジョンはアニメとプラクティカル・エフェクトの融合
モールが見る過去のビジョンは、ルーカスフィルム・アニメーションの照明・撮影・視覚効果ディレクターであるジョエル・アロンにより、新規で制作されたシーンと過去作のシーンを液体を霧状に噴出させるスモークマシンに投影し、撮影された映像だ。
アニメーションと物理的に制作されたプラクティカル・エフェクトの組み合わせという、アニメーションの枠を越えた制作手法によって幻想的な映像を実現させている。
サム・ウィットワーの一人三役
モールの声を演じているサム・ウィットワーは、「チャプター8 忍び寄る恐怖」にてダース・シディアスや若いサヴァージ・オプレスの声も演じており、過去のシーンでは一人三役で一人芝居のようになっている。
『アメリカン・グラフィティ』のファラオ団
デボン・イザラがホットロッド・スピーダーを強奪する3人のならず者は、ジョージ・ルーカス監督作の『アメリカン・グラフィティ』に登場するファラオ団の3人組からインスパイアされている。
この3人のならず者の声は、すべてクローン・トルーパーの声を演じているディー・ブラッドリー・ベイカーによるものだ。



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