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「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第10話「迷い」レビュー/トリビアチェックポイント【ネタバレ注意】

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

 Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第10話「迷い」レビュー/トリビアチェックポイントです。

 この記事では、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第10話「迷い」のストーリーやレビュー(感想・考察・批評)、トリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。

 この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第10話「迷い」の本編鑑賞後にご覧ください。

 「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン1、シーズン2、またファイナル・シーズンの他のエピソードについては、以下のカテゴリーからご参照ください。

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「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第10話「迷い」レビュー

エメリー・カーの視点で、その心の葛藤を描く

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

 全15話の「バッド・バッチ」ファイナル・シーズンも約3分の2までやってきた第10話「迷い」は、バッド・バッチことクローン・フォース99は現役・元メンバーも含めて一切登場しない唯一のエピソードで、主人公はエメリー・カーの視点に移されている。

 オメガの「姉」にあたるジャンゴ・フェットを元にしたクローンであることが明かされているほかには謎に包まれており、その心情も語られることがなかったエメリー・カーの考えていること、思っていることにフォーカスしていく。

 そのムードは「バッド・バッチ」ファイナル・シーズン第1話「囚人」のように、静かで陰鬱なものとなっており、ケヴィン・カイナーとその子どもたちであるショーン・カイナー、ディアナ・カイナーによる音楽も冷たく、重々しく、ミステリアスだ。エンディングも通常のエピソードの楽曲とは異なっており、異質さが際立つ。

 また、第8話「危険領域」でのフェネック・シャンド、第9話「前触れ」のアサージ・ヴェントレスに続き、キャド・ベインという『スター・ウォーズ』シリーズの人気キャラクターが再び「バッド・バッチ」にゲスト出演したことも大きなトピックである。

 だが、派手なアクションが用意されているわけではなく、キャド・ベインの冷酷さがより強調されている(大名になって街の人々の尊敬の元に治めたいと思ったり、自分と同じ境遇の孤児を助け出したりしない、ヒールに徹する賞金稼ぎであることがキャド・ベインの魅力である)。キャド・ベインの仕事の後には帝国軍の非道さと、引き離された家族の悲しみが残る。

 そしてストーリーの視点を変えることで、オメガが狙われる理由、帝国軍がタンティス山の施設の閉ざされた保管庫で何をしているのか徐々に明かされていく。

「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第10話「迷い」ストーリー

 キャラードの市場で、タルラファーの母親のアイリッシュが買い物をしている間に幼い子ども、バイルンの側にあった花瓶が放り投げられた。幼い子どもに大きな花瓶を投げる力があるわけがなく、周囲の人々は呪われているのだと噂する。

 その近くにいたアクアリッシュは、第一級の賞金稼ぎ向けの情報があるとその子どもについて何者かに連絡する。

 タンティス山の帝国軍施設では、ナラ・セが監禁され業務から離れてから研究が滞っているとエメリー・カーがドクター・ヘムロックに報告していた。

 エメリー・カーが、これまでに仕えた時間と実績、権限があることでさらに役立てると訴えることで、ドクター・ヘムロックは新たな主任として認め、ネクロマンサー計画に関して地下の封じ込め室にある資産と保管庫へのアクセス権を与える。

 内部の検体はネクロマンサー計画に不可欠であり、細心の注意を払って取り扱わなければならないと説明を受けて入った先には、特にM値が高い3人の子どもたちがいた。

 ドクター・ヘムロックによると、M値が適格な成人はほとんど残っていないという。手に入りやすく、ここにいる理由や自信の力を知らない子どもたちは服従させやすい。

 M値は直に複製出来ないが、オメガの血液はDNAと混ざってM値を増やす結合剤の役割を果たすという。これを知っていて、ナラ・セはオメガを逃したというのだ。

 イクトッチイの少女の挨拶に応じたエメリー・カーに、ドクター・ヘムロックは検体は科学的資産でしかなく、私的交流は控えるよう注意する。そんなドクター・ヘムロックが退出する様子を、ミリアランの少年はじっと見つめていた。

 タルラファーの親子、アイリッシュとバイルンが暮らす家に、突然キャド・ベインが押し入る。同行するトド360はバイルンから血液を採取し、検査したキャド・ベインはデータを認めてそのままバイルンを連れ去っていく。情報を与えたアクアリッシュは、キャド・ベインからの報酬を受け取るのだった。

 タンティス山の帝国軍施設では、エメリー・カーがSP-54と呼ぶイクトッチイのイヴァと会話をしていた。イヴァはナラ・セがこの計画の監督者でないと聞き、自分がいつ帰れるか確認するとナラ・セが言っていたため落胆する。イヴァに確認してくれるかと尋ねられたエメリー・カーは、これを承諾する。

 続いて会った、SP-32と呼ばれるミリアランのジャックスはエメリー・カーのデータパッドを強奪して脱走しようとするも失敗。ジャックスを落ち着かせ、やって来たクローン・コマンドーを説得しようとしたエメリー・カー。だが、なおも逃亡を試みたためジャックスは気絶させられる。ジャックスを心配するイヴァに、エメリー・カーは心配なく明日には会えると告げる。

 ネクロマンサー計画について質問するためナラ・セの独房に向かったエメリー・カー。ナラ・セは、エメリー・カーが自分の役職を引き継いだことに気付く。保管庫の子どもたちは昔の自分と同じであり、同じように捨てるのかと問うエメリー・カーに、ナラ・セは帝国は子どもたちを支配下に置き続けるであろうということ、また彼らがここにいるべきではないことには同意するものの自分が選んだことではなく、オメガを守らなければならなかったと言う。

 他の子供たちについてはナラ・セは出来る限りのことをしたと答え、頼ってくる子どもたちをどうするつもりなのかと尋ねる。エメリー・カーは、自分には力がなく何も出来ないと答える。

 ドクター・ヘムロックは、新しい検体が今日届くのでコマンダー・スコーチが引き取ると告げる。今回の検体は何の危険もないとドクター・ヘムロックは言うが、エメリー・カーは引き取りへの同行を願い出る。TKストームトルーパーから、ターキン総督の連絡が求めていることを聞いたドクター・ヘムロックはこれを承諾。

 ホログラム通信で連絡を取ったターキンは、タンティスの帝国軍施設が帝国の財源に与えている影響について懸念されていた中、追加の資金が捻出されたことについて尋ねる。ドクター・ヘムロックはパルパティーン皇帝が個人的に興味を持つ計画であるためだと答える。ターキンが計画について尋ねると、ドクター・ヘムロックは機密事項だとする。ターキンは、それほどに重要なのであればと支援を提供しようと申し出つつ、もし満足な結果が出なければドクター・ヘムロックと彼の研究は窮地に陥るだろうと圧力をかける。

 続いてドクター・ヘムロックは、クローンXトルーパーのCX-2にホログラム通信で連絡。CX-2は、トランドーシャンを捕らえて尋問すると標的と接触している海賊の名前を明かしたため彼女を追っているという。ドクター・ヘムロックは他の工作員は準備が出来ていないと言うが、CX-2は1人で対処出来ると答える。ドクター・ヘムロックはさらなる失敗は許されないと、オメガを見つけずに戻るなと告げる。

 エメリー・カーはスコーチらとともに、コルサント軌道上の宇宙ステーションに向かう。そこで待ち受けていたキャド・ベインはいつもの帝国軍人ではないことを指摘すると、エメリー・カーは検体を調べるために来ており、自分が何者かは気にしないように言う。

 キャド・ベインに命じられ、トド360が連れてきたのはバイルンだった。エメリー・カーは、検体がまだ幼いことに動揺し…

伺い知れるエメリー・カーの過去

 エメリー・カーは、投獄されたナラ・セの代わりに自身が主任になるようドクター・ヘムロックに対してアピールしその座をつかんだことで、保管庫の先にいる検体の正体を知ることになる。「バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第10話「迷い」は、視聴者とともにエメリー・カーがネクロマンサー計画に触れ、動揺するその心が描かれていく。

 エメリー・カーの動揺の理由は、ナラ・セとの会話から自身もこの囚われた子どもたちと同じ境遇であったことが推測される。同じクローンであるが、オメガよりも成長している姿のエメリー・カーだが、そのセリフから自身は捨てられたと感じているようだ。

 この「迷い」というエピソードタイトルの原題は、「Identity Crisis」。自身の過去の経験と、幼い子どもを誘拐して捕えている行為に加担していることに罪悪感を覚えているエメリー・カーは、まさにアイデンティティ・クライシスで自己が引き裂かれるような葛藤の中にいる。

 自身もネクロマンサー計画についてすべてを知るわけではない中で、かつての自身のような子どもを傷つけながら、それでもオメガが残したトゥーカ人形を密かにイヴァへ与えるエメリー・カーの中には、子どもたちのために何かをしてあげるという希望が残されているようだ。

仕事人、キャド・ベイン

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

 一方で、ただの仕事として子どもを捕らえて家族から引き離していくというキャド・ベインの悪逆非道さは対照的で、求められている悪役に徹している。

 キャド・ベインは、「クローン・ウォーズ」シーズン2 第3話「フォースの子供たち」でも強奪したジェダイ・ホロクロンの情報から、フォース感知者の子どもたちの誘拐を実行していた。「フォースの子供たち」の際には、無垢な子どもたちを誘拐するというダース・シディアスの依頼に多少の違和感を感じていたようだが、この「迷い」の時点ではすでにそうした感覚もなくなっているようだ(「フォースの子供たち」でも、最終的には金さえ払ってもらえれば文句はないとしている)。

 キャド・ベイン自身は気付いていないだろうが、フォース感知者の子どもたちの誘拐というパルパティーンの仕事を再度引き受けたことになる。この手の仕事はお手の物というわけである。

オメガの重要性の理由と、迫る危機

 ネクロマンサー計画に必要なものは、その検体と呼ばれる子どもたちだけではなくオメガも同様であるが、その理由も明らかになった。M値をそのまま複製することは出来ないが、オメガの血液はDNAと混ざってM値を増やす結合剤の役割を果たすのだという。

 例えば「マンダロリアン」でフォース感知能力を持ったモフ・ギデオンのクローン軍が実現まであと一歩だったこと、またこの頃にもネクロマンサー計画が潰えておらず、新たな指導者の擁立のためにあることが示唆されている状況を考えると、何らかの形でオメガの血液はこれに利用されてしまうことは確定となりそうだ。

 この第10話「迷い」と続く第11話「覚悟の時」は、「バッド・バッチ」ファイナル・シーズンにおいて、最後の2話同時配信エピソードとなる。CX-2が捕らえたトランドーシャンは、もちろんオード・マンテルでバッド・バッチに仕事を手配し、最終的には裏切ったシドのことだろう。自業自得とも言えるが、シドも無事では済まされていないようだ。

 そしてシドの情報から、フィー・ジェノアに危険が及んでいることがわかる。静かな葛藤が描かれた第10話「迷い」に続く第11話「覚悟の時」では、ファイナル・シーズン後半のストーリーにさらなる変動がもたらされることになりそうだ。

「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第10話「迷い」トリビアチェックポイント

タルラファー

 フォース感知者の子どもであるバイルンと、その母親のアイリッシュの種族は『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』にて、ハン・ソロとランド・カルリジアンのサバックの勝負を見ていた観客のワモスと同じ種族のタルラファーだ。

 バイルンは、タルラファーのぬいぐるみも持っている。

ホログラムゲーム

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 保管庫でフォース感知者の子どもがプレイしているジェンガに似たホログラムゲームは、制作中に「インポッシブル・スタック」という愛称で呼ばれていた。

 他にも、円筒形を作る「タワーパズル」という愛称のゲームもある。

 「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」はDisney+ (ディズニープラス)で配信中。

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