Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第11話「覚悟の時」レビュー/トリビアチェックポイントです。
この記事では、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第11話「覚悟の時」のストーリーやレビュー(感想・考察・批評)、トリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。
この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第11話「覚悟の時」の本編鑑賞後にご覧ください。
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン1、シーズン2、またファイナル・シーズンの他のエピソードについては、以下のカテゴリーからご参照ください。
目次
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第11話「覚悟の時」レビュー
「前触れ」に続く「覚悟の時」
そこも安住の地ではなかった。
前話である「バッド・バッチ」ファイナル・シーズン第10話「迷い」での静かな葛藤のドラマを破るように、シーズンの、そして「バッド・バッチ」というシリーズの終盤戦に突入する激動のストーリー展開となるのがこの第11話「覚悟の時」だ。
フィー・ジェノアによって案内され、そのほとんどの住人はクローン戦争中、または戦後の難民であるというパブーは、「バッド・バッチ」シーズン2 第13話「パブー」以降、バッド・バッチの安息の地となっていたが、「ファイナル・シーズン」第9話「前触れ」でアサージ・ヴェントレスが来訪したように、ここもまたサンクチュアリではなかったのだ。
やはり、第9話のエピソードタイトルの「前触れ」は、パブーに追っ手がやって来ることの「前触れ」を指していた。
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第11話「覚悟の時」ストーリー
フィー・ジェノアは、宇宙船のプロヴィデンスを宇宙港のドックに停泊させて燃料補給を行っていた。その影で、クローンXトルーパーのCX-2は、プロヴィデンスに侵入してナビコンピューターにアクセスし、暗号を突破してフィー・ジェノアがアウターリムの惑星に出入りしていることを確認。
偵察に向かうとスコーチに連絡すると、標的が確認され次第で師団を派遣するという。
パブーでは、ハンター、レッカー、クロスヘアーがマローダーに積み込みをしていた。オメガとリアナ・ハザードは、アーキウムで別れを惜しみ、テクのゴーグルと、レッカーのトゥーカ=キャットのぬいぐるみのルーラがアーキウムに保管することに。
クローンXトルーパーのCX-2は、CXダガー・ヴェッセルでパブーに到着。バッド・バッチとオメガがいることを確認する。
ハンターとオメガがシェップ・ハザードとリアナに別れを告げる一方で、CX-2はライフルで時限爆弾をマローダーに向けて発射。異変に気付いたレッカーはゴンキーを抱えて爆発から逃れようとするも、爆風に吹き飛ばされてしまう。
駆けつけたハンターは、元クローン候補生のモックス、ディーク、スタックにシェップ・ハザードのところまで運び、AZI-3に治療をさせるよう指示。
上空には、ヴェネター級スター・デストロイヤーが現れ、LAATガンシップが続々とパブーに上陸してクローン・コマンドーやTKストームトルーパーらがオメガを捜索。退路を断ち、船やシー・スキッフを破壊していく。
通信が妨害されているため、ハンターはガンシップを奪って島を脱出してエコーに連絡を取ることに。
帝国軍がパブーの住居の各戸を捜索する中、クロスヘアーとオメガ、バッチャーは帝国軍の目を避けて移動。しかし、バッチャーが住民に危害を加えようとする帝国軍を攻撃し、駆け出して行った。
クロスヘアーとオメガは、レッカーとAZI-3、リアナが隠れている場所まで到着。
ハンターは、帝国軍のLAATガンシップに乗り込むことに成功。気付いたパイロットがハンターを振り落とそうと激しく機体を操縦するが、CX-2はパイロットを狙撃して機体ごと墜落させる。
オメガは、自身が投降するとクロスヘアーに告げる。これまでタンティス山の施設の場所を特定出来なかったため、通信機を身に着けて追跡させようというのだ。
通信機が没収されると反対するクロスヘアーに、オメガは自身を連れ去る船に追跡装置を撃ち込むように言う。
TKストームトルーパーが住居に火をつけようとする中、オメガがCX-2らの前に姿を現した。隠し持っていた追跡装置は特定され、オメガはそれを渡す。
海から陸に上がったハンターは、バッチャーと合流。
CX-2はオメガをCXダガー・ヴェッセルに乗せ、クロスヘアーはこの宇宙船に追跡装置を撃ち込むべく狙うが…
ジェットコースターのような激動の展開
前話である第10話「迷い」で語られていたように、クローンXトルーパーのCX-2はおそらくシドであろうトランドーシャンを捕らえ、バッド・バッチと接触している海賊の情報を得た。それはもちろんフィー・ジェノアのことで、冒頭ではフィー・ジェノアに危険が迫る。
ここでフィー・ジェノアの宇宙船であるプロヴィデンスに潜入して情報を奪取し、気付かれないうちにパブーに侵入してバッド・バッチに攻撃を仕掛けるクローンXトルーパーのCX-2の手際の良さは、小気味良いとすら感じる。
編集のテンポが良く、全体的にスピーディーな上に、ストーリー自体もバッド・バッチが急に追い込まれる激動の展開のため、ハラハラするうちに終盤となっているジェットコースターのようなエピソードだ。
希望は潰えたように見えるが…
レッカーは倒され、ハンターによるガンシップの乗っ取りはCX-2の狙撃に阻まれ、オメガは自ら投降する。オメガを乗せて離れる宇宙船、CXダガー・ヴェッセルへのクロスヘアーによる追跡装置の撃ち込みも失敗した。
希望は、何もつながらなかった。
前話であるファイナル・シーズン第10話「迷い」と同様に、エンディングも通常のエピソードの楽曲とは異なって重々しい雰囲気でこの第11話「覚悟の時」は幕を閉じる。
オメガはタンティス山の帝国軍施設に戻され、状況は再び「バッド・バッチ」ファイナル・シーズンの冒頭に戻ってしまったかのようだ。一見、『エピソード5/帝国の逆襲』のようにヒーローたちが完全に敗北するエピソードに見える。
しかし、今回はクロスヘアーがバッド・バッチに復帰している。バッチャーもバッド・バッチとともにいるはずだ。元クローン候補生のモックス、ディーク、スタックの3人もいる。
そしてオメガは戦略を立てることに優れている。ファイナル・シーズンのエピソードでも、カードゲームのバラーンスで勝利していた。
大局を見るように言ったオメガには、何らかの策があるのだろう。
もう戻れない場所
しかし、この「覚悟の時」というエピソードタイトルの原題は、「Point of No Return」(ちなみに「クローン・ウォーズ」シーズン5 第13話「惨劇へのカウントダウン」と同じ原題である)。この先に進めば戻れない、回帰不能点という意味で、事態が好転したとしても帝国軍にパブーの存在が知られてしまった以上、そこは安息の地ではなくなる。
パブーでの安らかな日々や、ここで兵士以外の生き方を模索することは、もう叶わない。
戻ることが出来ない地点を経て、「バッド・バッチ」ファイナル・シーズンは終局に向けて進んでいく。
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第11話「覚悟の時」トリビアチェックポイント
銀河のガソリンスタンド
フィー・ジェノアが停泊した宇宙港のドックには「燃料プラス」や「プレミアム」などの表記があり、現実世界でのガソリンスタンドのようだ。
「クローン・ウォーズ」アナキン・スカイウォーカー役のマット・ランターが出演
その宇宙港のドックでフィー・ジェノアを接客しているドロイドのオリーの声を演じているのは、「クローン・ウォーズ」のアナキン・スカイウォーカー役のマット・ランターだ!
磁気吸引チューブ
フィー・ジェノアのパワー・ドロイド、MEL(メル)を宇宙船のプロヴィデンスに出入りさせるために使用された装置は、『エピソード4/新たなる希望』にてジャワがR2-D2をサンドクローラーに収容するために使用した磁気吸引チューブに似ている。
R2-D2をサンドクローラーに吸い込んだ磁気吸引チューブとは逆に、MELはプロヴィデンスから宇宙港に降りる際に使っていた。
パブーのクローン候補生たち
パブーでアイスコーンを買っているのは、「バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第2話「未知の道」に登場したクローン候補生のモックスたちだ。
生物兵器が手に負えなくなったため爆撃されたセトロンの帝国軍施設から脱出して、ジャングルで生き延びていたモックスたちはハンターとレッカーに出会い、自分で新たな道を切り拓くようパブーへと救い出された。
モックスたちはすっかりパブーでの暮らしになれたようで、温暖で海に囲まれた島にふさわしい服を着ている。
また、CX-2の攻撃によるマローダーの爆破で倒れたレッカーの救助の際には、モックス、ディーク、スタックの3人がハンターの指示にてレッカーを助け出している。
今後、クローン候補生たちがバッド・バッチにさらに力を貸す展開もあるかも知れない。
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」はDisney+ (ディズニープラス)で配信中。
2005年より「スター・ウォーズ ウェブログ」を運営。「『スター・ウォーズ』究極のカルトクイズ Wikia Qwizards<ウィキア・クイザード>」世界大会優勝者。ディズニープラス公式アプリ「Disney DX」のオリジナル動画や記事など、様々な出演/執筆も行っています。2010年、『ファンボーイズ』日本公開を目指す会を主宰しました。