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「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第1話「囚人」レビュー/トリビアチェックポイント【ネタバレ注意】

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

 Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第1話「囚人」レビュー/トリビアチェックポイントです。

 この記事では、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第1話「囚人」のストーリーやレビュー(感想・考察・批評)、トリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。

 この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第1話「囚人」の本編鑑賞後にご覧ください。

 「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン1、シーズン2のエピソードは、以下のカテゴリーからご参照ください。

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「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第1話「囚人」レビュー

オメガとクロスヘアーの収監生活を描く、静かな陰影のある異色エピソード

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

 「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2の最終話である第16話「プラン99」の、続きが非常に気になるクリフハンガーエピソードから約1年。

「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2 第16話「プラン99」のレビューやトリビアを、ネタバレありで解説します。

 ファイナル・シーズン第1話「囚人」は、シーズン2最終話「プラン99」で提示された続編へと続く要素のうち、まずは捕らえられたオメガとクロスヘアーのその後と、彼らを収監する帝国軍がウェイランドのタンティス山の施設で何を研究しているのか、その一部を明かしていくエピソードだ。バッド・バッチことクローン・フォース99のメンバーはオメガとクロスヘアーのみが登場し、静かで陰鬱な雰囲気漂う異色作となっている。

 カミーノを飛び出し、バッド・バッチとともに銀河の星々を駆け巡ってきたオメガは一転して、薄暗く、色彩の乏しい帝国軍施設で囚人のような生活を強いられる。

 タンティス山ではオメガの部屋(というより独房)が用意されてはいるが、マローダーのガンナー用の区画をレッカーが改造して作ってくれた、自分の家も同然だと感じられる大切な部屋にはほど遠い。

 自室で起床し、血液を採取された後にオメガの身を守るためにとナラ・セによってそのサンプルを廃棄され、ルルカ・ハウンドの世話をし、警備の目を盗んでクロスヘアーに話しかけるという、決まりきっていてそれ以上でもそれ以下でもないような、単調な日々。

 仲間に囲まれ、自由と危険がいっぱいのバッド・バッチの旅とはまるで違う生活だ。

 「バッド・バッチ」シーズン2 第1話「戦利品」が鮮やかで明るい海岸から始まり、ドゥークー伯爵の財宝を探しに行く冒険活劇だったことと比較すると、その落差は激しい。

「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2 第1話「戦利品」のレビューやトリビアを、ネタバレありで解説します。

 ケヴィン・カイナーとその子どもたちであるショーン・カイナー、ディアナ・カイナーによる音楽も、勇ましい「バッド・バッチ」の楽曲とはうって変わって、冷たくミステリアス。

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

 灰色を基調とした帝国軍基地の色調とともに、自由がなく、単調な繰り返しを強いられているオメガとクロスヘアーの陰鬱さを強めている。

 こうした画作りについては、「バッド・バッチ」でシネマトグラフィ、ライティング&VFXディレクターを担っているジョエル・アーロンが自身のXアカウントに明かしたところによると、「バッド・バッチ」ファイナル・シーズンには、1940 年代の映画の照明のようなライティングが登場するキャラクター、クリーチャー、ドロイド、宇宙船に施されているという。

 中でも、『黒水仙』の撮影監督などで知られるジャック・カーディフからは、ファイナル・シーズンの今後のエピソードにおいても影響を受けているようだ。

 冒頭のウェイランドの激しい風雨からして実写のような描き込みで、シリーズを追うごとにアニメーションの表現力の高まりも感じさせられる。

 「バッド・バッチ」ファイナル・シーズンは、この「囚人」も含めた初回3話が同時配信された。

 初回3話を同時配信することは、1エピソードでも早く見たいファンへのサービスを行い、ロイヤリティを高める効果とともに、ストーリーとキャラクターの心情を積み重ねていくことがシリーズにとって必要な時、大きなストーリーの起伏や派手なアクションシーンはないエピソードをシリーズ序盤に構成しても、続けて次のエピソードを見せることが出来るため、1エピソードの中で山場を作らずとも良いというシリーズ構成上の自由を持たせることも大きな利点だと思う。

 毎週放送されるような従来のテレビシリーズではなかなか出来ないシリーズ構成で(特に、シリーズの顔となり継続して視聴するかを決める第1話は重要だ)、配信作品であり、フランチャイズ作品であるからこそ、この「囚人」のようなエピソードも出来たのだろう。

 血液サンプルをかける遠心分離機や、ラボ内の真俯瞰ショットと、このエピソードでは円のモチーフが多用されている。遠心分離機は時計回りに動き、ラボ内にいる者たちも時計回りに動く。オメガとクロスヘアーが囚われている時間は刻まれ、クローンからストームトルーパーへの移行の時へと時が進んでいることが比喩されているかのようだ。

各シリーズを縦断して描かれていく、人為的にフォース感知者を作り出す研究

 また、シーズン2では大きな進展がなかった帝国によるカミーノアンのクローニング技術の利用やオメガに関する謎について、その一端が見え始めてきた。

 オメガの身柄を確保してナラ・セが従事させられている研究とは、遺伝工学によるM値(日本語吹き替え版ではMカウント)増強であることが明かされる。M値は「マンダロリアン」にて、グローグーを捕らえて研究していたドクター・パーシングが言及しており、その名称とフォース感知者であるグローグーのサンプルについての言及だったことから、ミディ=クロリアンとの関連が連想される事柄だ。

 人為的にフォース感知者を作り出すという研究は、「マンダロリアン」でのフォースを操る潜在能力を組み込んだモフ・ギデオンのクローン軍の構想、『フォースの覚醒』、『最後のジェダイ』でのファースト・オーダーの最高指導者スノーク、そしてそのスノークを表舞台に送り出し、自身の魂が移行出来るよう容れ物を探し求めていた(そして遺伝子を接合し、作り出した自身のクローンの中から生き延びた男はレイの父親となる)『スカイウォーカーの夜明け』でのパルパティーンにも行き着くと思われる。

 つまり、カミーノのクローン技術の流れも汲みつつ、このタンティス山の帝国軍施設がクローニングや遺伝子操作などを施された人工生命体、ストランド=キャストにフォース感知能力を持たせる研究の源となったのであろう。様々な時代設定の各シリーズを縦断して描かれていくクローンとストランド=キャストの源流は、遺伝子操作されたクローンたちを主人公とした「バッド・バッチ」が明かしていくことが適任となりそうだ。

自由のためにあきらめないオメガ

 そんな大きな陰謀が渦巻く研究施設に囚われる中でも、オメガは脱走をあきらめず、クロスヘアーもあきらめず、処分されかけていたルルカ・ハウンドのバッチャーの生命もあきらめない。味気なく単調な生活の中にも、自由な意思を絶やさない精神は宿る。

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 オメガと同じジャンゴ・フェットの遺伝子を用いられた姉妹であるエメリー・カーによって処分されたと思いきや、藁のようなものでオメガが作ったトゥーカ人形も戻ってくるなど、オメガとクロスヘアーの脱出にはエメリーの存在も重要となるだろう。

 自然の中では生きられないと言われていたにも関わらず、自由になったルルカ・ハウンドのバッチャーの遠吠えがウェイランドに響く。それは抑圧された中でも、あきらめないオメガの精神を現しているようだ。

「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第1話「囚人」トリビアチェックポイント

タイ・ファイター パイロットの前身

 ウェイランドでタンティス山の帝国軍施設に着陸する最中、墜落したニュー級攻撃輸送シャトルのシャトル135を操縦しているのは、ウォー・マントル計画によってクローン・トルーパーに代わり、銀河中から集められた新兵のトルーパー パイロットだ。

 これまでの「バッド・バッチ」に登場したTKトルーパーのパイロット版となり、これが初めての登場となる。TKトルーパーのヘルメットに生命維持装置のパイプが付いたようなデザインだ。

 このTKトルーパー パイロットが、後のタイ・ファイターパイロットへとつながることになる。

帝国軍医療技術者のユニフォーム

 タンティス山の帝国軍施設でオメガが着用しているユニフォームは、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」第16話「カミーノ滅亡」に登場した帝国軍医療技術者のユニフォームと同様のもので、『エピソード2/クローンの攻撃』や「クローン・ウォーズ」などに登場するクローンたちの衣服の袖にデザインされていたマークがデザインされている。

 この帝国軍医療技術者のユニフォームは、「マンダロリアン」でドクター・パーシングが着ていたもの。カミーノのクローン技術の名残が、共和国軍から帝国の終焉まで見受けられるようだ。

レイのように日数を刻むオメガ

 オメガは、独房の壁に傷を刻んで日数を数えている。

 『フォースの覚醒』では、レイがジャクーで住処としていたAT-ATの隔壁に日数を刻み続けていた(ちなみにこれは、J.J.エイブラムスの妻であるケイティ・マクグラスのアイデアであることが特典映像「J.J.エイブラムス監督の音声解説」にて明かされている)。

 StarWars.comの「囚人」エピソードガイドのページによると、オメガが刻んでいる日数から「囚人」は、オメガがタンティス山の帝国軍施設に到着してから21日後から始まり、エピソードの終わりには164日目頃が描かれていることになるという。

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 つまり、「バッド・バッチ」シーズン3 第1話「囚人」は、シーズン2 第16話「プラン99」の21日後となり、このエピソードの中では143日程度が経過していることになる。この間に、オメガは髪が伸びて結ぶようになっている。

M値(Mカウント)

 カミーノアンのクローン技術者であるナラ・セによると、帝国軍は遺伝子工学によるM値(日本語吹き替え版ではMカウント)の増強を試みているという。

 「マンダロリアン」シーズン2 「チャプター12:包囲」では、ドクター・パーシングがグローグーと思われるドナーの血液について説明する際に、これ以上のM値を持つ者はいないと言及されている。

 グローグーというフォース感知者の血液、そして「M」というアルファベットから思い浮かぶのは、フォースの感知能力と関係する共生微生物である、ミディ=クロリアンだ。

 タンティス山の帝国軍施設では、クローンではない被験者に対してこの遺伝的にM値を増強させる研究が続けられているが、まだ成果が出ていないようだ。何らかの移植は成功しているものの、移植先のM値は激減してしまい、移植元のM値と同じか超過させることが成功なのだとドクター・ヘムロックは発言している。

 前述のように、人為的にフォース感知者を作り出す研究は、「マンダロリアン」でディン・ジャリンらによって食い止められたフォースを操るモフ・ギデオンのクローン軍、スノーク、また『スカイウォーカーの夜明け』でのパルパティーンへを連想させられる…

オメガが作ったトゥーカ人形

 オメガは、ルルカ・ハウンドの飼育作業の際に手に入れたと思われる藁のような素材で、トゥーカの人形を作っている。

 これはレッカーが持っているトゥーカ=キャットのぬいぐるみ、ルーラを再現しようとしたのだろう。

バッチャーの声はディー・ブラッドリー・ベイカー

 ルルカ・ハウンドのバッチャーの声を担当しているのは、「クローン・ウォーズ」でのクローン・トルーパー役、またバッド・バッチのすべてのメンバーの声を演じているディー・ブラッドリー・ベイカーだ!

 また、バッチャーというネーミング(Bather)は、オメガがバッド・バッチ(Bad Batch)にちなんで名付けたと思われる。

 「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」はDisney+ (ディズニープラス)で配信中。

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