デアゴスティーニ

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』レビュー【ネタバレなし】スカイウォーカーの物語の終焉はいかに描かれたか

スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け B5チラシ

 ついに本日公開!『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のネタバレなしレビューです。

 ネタバレの一般的な定義である物語上の仕掛けや結末、キャラクターの運命、またそれまで明かされて来なかった秘密、サプライズ要素など、作品の核心に触れる詳細には触れておりません。

 現時点までの日本における本作のプロモーションにて明らかになっている以外の要素には言及せずにレビューした、未見の方もご覧になれる内容にはしております。

 ただ、どの程度までネタバレを気にするかは、人それぞれの価値観によって異なる部分もあるかと思います。

 作品の印象なども含めてレビューを目にしたくないという方は、ここから先は下部へスクロールしないようご注意ください。

 『スター・ウォーズ』カルトクイズ世界大会の優勝者は、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』をどう見たのか?ネタバレなしの第一印象をお伝えします。

スポンサーリンク

「終わり」に向かって突き進む、圧倒的ドライブ感

 ーすべて、終わらせる。

 この日本版キャッチコピーの通りに、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』はその結末に向かって一気に突き進んでいくような映画だ。

 それは『スカイウォーカーの夜明け』が、『フォースの覚醒』からはじまったシークエル・トリロジーの三作目であると同時に、スカイウォーカー・サーガ九部作の完結編であるという、通常の映画にはないほどの大きな責任と役割を任されていることに起因している。多くのファンが期待しているように、いかに締めくくるかというのが本作の最大のテーマだ。

 シリーズ随一と言えるほど、目まぐるしい展開を見せるオープニングから始まって、スカイウォーカー・サーガ九部作の完結編であり、確かにスカイウォーカーの物語はこれで終わりなのだということを実感させるエンディングに向かって、ひたすら突き進むドライブ感は『スカイウォーカーの夜明け』独特のテイスト。

 『スター・ウォーズ』史上最速のテンポとも思えるほど、見せ場が怒涛のごとく続き、気が付いたらもうクライマックスになっていたという疾走感で、飽きさせない作りはさすがJ.Jエイブラムスといったところ。

 ジョージ・ルーカス以外で、唯一『スター・ウォーズ』シリーズを2作以上監督しているというだけあって、展開のテンポ感だけではなく、ファンが喜ぶポイントもしっかり押さえており、細かい演出には最初の監督作である『フォースの覚醒』の反省も踏まえているように思えた。作品全体が、幕の内弁当のようにぎっしりと密度が詰まっていると感じる。

 その一方で、初見ではその展開に追いつけないところもあるのではと思われ、人によってはせわしない展開だと感じるかも知れない。

 このスピード感は、例えば『君の名は。』が疑問を感じさせる前に多くの情報量を与え、そのノリに乗ることで後半のサプライズが楽しめるようにテンポ感や上映尺を設計し、仕掛けがわかった後もリピート視聴を獲得したことと同じように、ファンの「もう1度最初から見たい」というリピートを促進させる狙いもあるのかも知れないし、登場人物と同じように観客も騒動の渦中に飛び込ませることを図った演出というようにも感じる。

メインキャラクターの絆とドラマ、それを実現したキャストに賞賛

 シークエル・トリロジーの完結編である『スカイウォーカーの夜明け』は、この三部作の主要キャラクターであるレイ、フィン、ポー、そしてカイロ・レン(ベン・ソロ)のドラマがいよいよフィナーレを迎えるということで、その絆や葛藤、そして成長がこれまでよりもより深く描かれていく。

 本作では、レイ、フィン、ポーのレジスタンス側のメインキャラクター3人がはじめて一緒に行動する作品となり、アクションアドベンチャーの要素が高まっている。この3人がミレニアム・ファルコンで銀河の各地を冒険し、ファースト・オーダーに立ち向かう姿はシークエル・トリロジーのファンが見たかったものだし、血沸き肉躍る普遍的な冒険活劇のエッセンスを取り入れた『スター・ウォーズ』が持つ魅力そのものだ。

 『フォースの覚醒』、『最後のジェダイ』から月日が経ち、数々の冒険をともに乗り越えたであろうレイ、フィン、ポーの絆はより深まり、三作目にしてかけがえのない仲間となったということが表れる3人のセリフの掛け合いは楽しく、オリジナル・トリロジーにおけるルーク、ハン、レイアの会話劇を彷彿とさせてくれる。

 これを確かなものにしているのは、デイジー・リドリー、ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザックの演技。来日時に見せてくれたようなキャスト同士の仲の良さが、そのままスクリーンにも表れているかのようだった。

 クスリと笑えるシーンだけではなく、レイとカイロ・レンが対面するシーンでは2人の葛藤や共感、心の共振がよく表されているし、特にライトセーバーでの決闘をはじめとしたアクションシーンは圧巻。まだ粗削りであるという『フォースの覚醒』でのキャラクターから、お互いに超人的な域に達するまでの身のこなしを見せ(もちろん尋常ではないフォースの力も)、ライトサイドとダークサイドの最後の戦いを充分に演出している。

 本作でのアダム・ドライバーの演技は、カイロ・レン=ベン・ソロの大きな心の揺れ動きをよく表していると感じられ、必見。

 ただ、メインキャラクターをしっかりと描くことで、前作までに登場してきた他のキャラクターたちがその分、割りを食ってしまったという印象もあり、扱いに困ってしまったのではと感じる。

ありがとう、ジョン・ウィリアムズ

 そして、『スカイウォーカーの夜明け』の大きな見どころは音楽!スカイウォーカー・サーガ歴代のテーマを次々に用いた組曲のようで、『スター・ウォーズ』音楽の大きな特徴であるライトモチーフ(特定の人物やシチュエーションと結び付けられたテーマ)をここぞとばかりに多用。

 サーガの最終章にふさわしく、あらゆるキャラクターのテーマが次々と奏でられていく様は、歌っていないがまるでオペラやミュージカルのよう。ジョン・ウィリアムズの素晴らしい編成が、『スカイウォーカーの夜明け』でも堪能出来る。映画音楽の伝説的巨匠の楽曲を、リアルタイムで聴けるすばらしさ…

おなじみの要素が多数登場!ファンへのご褒美満載

 数々の急転直下の展開や、サプライズが散りばめられ、中盤以降からは『スター・ウォーズ』ファンおなじみの要素が多数登場し、これまで『スター・ウォーズ』シリーズを見てきたファンへのご褒美のような映画だ。

 『スター・ウォーズ』シリーズが好きなファンならば、きっとすぐに気づくものばかりだし、まさにサーガの最終作にふさわしいプレゼントの数々が用意されている。

サーガ全体、トリロジーとしての整合性

 一方で「エピソード1」~「9」までをひとつの物語とした時に、つながりが悪いと感じられる部分もある。サプライズについても(製作上の都合があるとはいえ)、唐突な印象は否めないし、大きな謎はすっきりとするものの、そこに至るまでの過程が解明されたと感じないために消化不良を感じる。

 ファンにとってはスピンオフで描かれれば…というところもあるだろうが、大多数の観客にとっては映画がすべてなのでそこは映画で描くべきでは、と思う(もっとも、プリクエル・トリロジーの時もそんなことはあったが)。繰り返し咀嚼するうちになじんでくるところはあると思うが、そこまでリピートしないライトなファンがどう感じたのかは気になるところだ。

 いずれにしても、『フォースの覚醒』からもう1度見返してみたいと思わせるサプライズはある。ここはぜひ、事前情報は入れずに映画館に行くことをおすすめしたい。映画館は答え合わせをしに行く場所ではなく、色々なことを豊かに感じられる場所なのだから。

スカイウォーカーの物語の終焉と、新たなはじまり

 42年の年月を重ねた2019年に『スター・ウォーズ』が伝えようとするメッセージは、すべての人にあなたは1人ではないと気付いてもらうこと。

 民衆の集まりともいえるレジスタンスが立ち上がり、自由を奪う者に対しての団結や結束の大切さを描いた本作は、これまでの『スター・ウォーズ』がベトナム戦争や、イラク戦争へと至ってしまう過程を背景にしてきたように、この2010年代だからこそ作られ、時代を映し出していると感じられる。

 スカイウォーカーの物語は語られ、帰結した結末となった。「The Rise Of Skywalker」というサブタイトルに込められた意味が実感出来るとともに、一方で新たなはじまりも感じさせるようなストーリーでもあるが、スカイウォーカーの物語の普遍性はきっとこれから長い年月が経っても、繰り返し振り返られることだろう。

 まずは多くのファンが「夜明け」にたどり着き、多いに語り合える日が来ることを願うばかりだ。