ランド・オブ・ザ・デッド 前夜祭オールナイト<Night of the Zombies>

 ゾンビ大先生、ジョージ・A・ロメロ監督の最新ゾンビ映画「ランド・オブ・ザ・デッド」前夜祭オールナイトイベント<Night of the Zombies>に行ってきた!

 上映作は、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 最終版」、ダリオ・アルジェント監修版「ゾンビそして「ランド・オブ・ザ・デッド」のロメロ・ゾンビ3本立て!ゾンビを心ゆくまで堪能できるというわけだ。
 まぁ、本来ならリビングデッドサーガの3作目「死霊のえじき」に続いて「ランド~」を上映すれば完璧なのだが、「ナイト~」と「「ゾンビ」を続けて映画館で見れるなんてそうある事ではないし、新作「ランド~」を楽しむには最高のお膳立てといえる。

 日比谷スカラ座のロビーには、「ランド~」で使われたゾンビの衣装が展示されていた。

 映画の前に中原昌也、みうらじゅん両氏によるトークショー&ゾンビコスプレコンテストが!この2人がまた面白い!みうらじゅんさんは浪人時代のゾンビとの出会いを披露。特にすることがなく、続けて2回見てしまったという。その後も社会人と呼ばれることなく、今だゾンビ人生を続けているというから立派である。中原昌也さんは案の定てきとうでした。

 ゾンビコスプレコンテストは思ったより気合の入ったゾンビがいなかったものの、なかなか笑える企画であった(笑)

 そして「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 最終版」の上映。
 突如よみがえった死者が人間を襲い、生き残り達は一軒家に逃げ込む。それを包囲するゾンビ達・・・

 人間の肉を食い、咬まれたらゾンビとなり、頭を破壊しないかぎり死なないという、今の一般的なゾンビ像はこの映画から始まった。
 また、一軒家だけでドラマを展開していくというのも実にうまい。低予算映画の鑑といえるだろう。
 そしてこの映画はモノクロなのだ。カラーに見慣れたせいか、白黒の世界で繰り広げられる地獄絵は、なんともおぞましく不気味。

 ただ、今回鑑賞した30周年記念版の追加シーンであるオープニングとエンディングは蛇足。オリジナルエンディングのどうにもこうにも救われない陰惨な衝撃が半減してしまう。

 続いてはダリオ・アルジェント監修版「ゾンビ
 街にあふれたゾンビ達から逃れ、ショッピングセンターに立て篭もるSWAT隊員とTV局員の4人組。ゾンビを一時的に撃退し、誰もいないショッピングセンターで何でもイタダキ放題な楽園を作り上げるのだが・・・

 映画に限らず、現代の文化に多大な影響を与えた作品。ストーリー展開は、RPGやアドベンチャー、シューティングなど、ゲーム感覚を先取りしている。
 また、この作品は多くのバージョン違いが存在するが、今回のアルジェント版は全編にゴブリンの音楽が鳴り響き、かっこいいといえばかっこいいのだが、ロメロ版に慣れているのでやたらとうるさい印象は受けた。
 
 そしていよいよ「ランド・オブ・ザ・デッド」の上映。

 ほぼゾンビに制圧された世界。生き残り達はピッツバーグの川に挟まれた一帯を外界から遮断し、人間だけが住む島(ランド)を作っていた。この島を支配するのは六本木ヒルズのごとき超高層ビルに住む金持ち達。彼らはゾンビ発生以前の生活水準を保ち、金で傭兵を使って外から物資を集めていた。

 しかし、このセレブ・ビルの下では貧困層が暮らしており、金の為には傭兵に加わり、危険なゾンビ地帯に入って物資を調達するしかない。傭兵のチョロ(本当にこういう役名!演じるのはジョン・レグイザモ)は、ビルの最上階に住む街の支配者カウフマン(デニス・ホッパー)の為に働いてきたが、セレブ入りを断られ、対ゾンビ戦闘トラック「デッド・リコニング」を乗っ取り金持ちどもに宣戦布告!カウフマンはテロリスト掃討のため、ライリー(サイモン・ベイカー)らに「デッド・リコニング」奪回を命じる。

 一方、黒人オヤジゾンビ「ビッグ・ダディ」は武器を使い、仲間に指示を出すなどができるまで進化し、ゾンビ軍団を率いて人間達を襲撃すべく進軍を開始。目指すは金持ちビルだ!

 近年、あらゆるゾンビ映画が登場し、ゾンビブームが巻き起こってきたわけだが、ここで本家家元が意地を見せた!もちろん残酷描写にぬかりなし!そして「ゾンビ」のリメイク「ドーン・オブ・ザ・デッド」では装甲チェーンソーバスが登場したが、それならこっちは戦闘トラックだ!といわんばかりに「デッド・リコニング」が大活躍!この手の戦闘装甲車が出てくるのは信用できるバカ映画の証だ!

 「デッド・リコニング」は重火器、ミサイルなどに加え、花火まで搭載!なぜ花火・・・?かというと、今作から「ゾンビは花火を打ち上げると見とれてしまう」という設定が加わり、マヌケなんだか物悲しいんだか、とにかく新たなゾンビ像を生み出した。「日本の夏、ゾンビの夏」というだけのことはある。

 「ランド~」は今までの作品に比べて、「バーン!物陰から突然ゾンビが!ギャー!」というようなショッカー・ホラーの要素が強い。だからゾンビ映画ファンでなくてもお化け屋敷感覚で楽しめ、万人受けしやすいのではないだろうか。

 ロメロのゾンビ映画はどれも製作当時の社会を色濃く反映している。
 60年代に作られた「ナイト~」の残酷描写や衝撃的なラストからは、ベトナム戦争や人種差別、公民権運動を想起させる。この映画を印象付けているモノクロ撮影は、当時の公民権運動やデモなどのニュース映像からヒントを得ているのだ。また、ゾンビとなった娘が母親を殺すシーンは、ジェネレーション・ギャップを象徴すると評価された。

 70年代の「ゾンビ」は、ショッピングモールで好き放題商品をあさる人間の姿や、生前の習慣によりショッピングモールに集まってきて、何も考えずに消費するだけの存在であるゾンビ達に大量消費社会への風刺がみられる。

 80年代の「死霊のえじき」は東西冷戦や、当時のレーガン政権下のアメリカを反映し、シェルターに立てこもった人々を軍人が支配する話となった。

 そして今回の「ランド~」は、ストーリーからわかる通り、そのまんま911以降の社会を象徴している。  

 カウフマンはチョロが脅迫してきた時、「テロリストとは交渉しない」と言う。各国首脳のお決まりのセリフだ。
 ビルの周囲で暮らす貧困層は傭兵となってゾンビと戦わなければならないが、実際のアメリカでは貧乏人は兵役に応じないと大学にも入れない。
 「ランド~」では貧乏人とゾンビが戦う。これも貧乏人と貧乏人が殺し合う戦争を表しているのでは、と考えると、どんなショックシーンよりも恐ろしい。その上でバカな権力者とくそったれ金持ちどもは笑っているのだ。

 しかし、笑っていられるのもそれまでだ!ゾンビ軍団がハイソなセレブビルへと突撃!ついに逆襲が始まった!ムシャムシャ、ウマウマと金持ちを貪り食う!いいもん食ってるから金持ちの肉はうまいなぁ!セレブビルは一転して大惨劇の舞台に・・・六本木ヒルズも今にこうなる!
 ラストシーン、いずこかへと向かうビッグ・ダディ率いるゾンビ軍団。それを見つめる「デッド・リコニング」の面々。どちらにも行き場所はなく、彷徨う事になるのは同じだ。

 オールナイト上映が終わり、映画館の外に出ればもう夜明け。ゾンビのようにワラワラと観客達が出てきて、フラフラと家路に着く。
 駅前の24時間営業のスーパーに行くと、ガランとしていて店員以外ほとんど誰もいない。その光景は、さっき見てきた「ゾンビ」のショッピングモールのようだった。

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