映画『ようこそ映画音響の世界へ』レビュー!『スター・ウォーズ』をはじめとした映画の「音」を紐解くドキュメンタリー

ようこそ映画音響の世界へ

 ジョージ・ルーカスや、『スター・ウォーズ』の効果音を手掛けたベン・バートが出演した映画の「音」に迫るドキュメンタリー映画『ようこそ映画音響の世界へ』をレビューします。

 本作では『スター・ウォーズ』 についても1977年の製作当時の時代背景から、チューバッカの鳴き声などの印象的な映画効果音が作られた裏側などを取り上げており、『スター・ウォーズ』のみを題材にしたドキュメンタリー映画ではありませんが、『スター・ウォーズ』ファンにとっての見どころを中心にご紹介。

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映画音響の歴史と、音作りの裏側を明かすドキュメンタリー

 人間の五感の中でも、最も原初的な感覚が「音」。

 視覚効果と比較して、音響効果はあまりにも自然に映像の世界へ没入させてくれる要素で、ジョージ・ルーカスをして「映画体験の半分は音だ」と言わしめるほど、多くの観客が思っている以上に映画にとって重要なものである。

 『ようこそ映画音響の世界へ』は、声、効果音、音楽といった映画を彩る「音」が、映画の中でどのような役割を果たし、またどのように作られているのか、映画の歴史を辿りながら、音に魅せられた映画製作者やスタッフの言葉をまとめたドキュメンタリー映画だ。

 本作の前半では、エジソンの蓄音器の発明や、楽団の演奏と共に上映していた初期の映画からはじまり、革命的なトーキー映画、モノラルからステレオ、そしてサラウンドへと変遷する映画の音響の歴史を、数々の作品とともに振り返っていく。

 そんな中でも、『地獄の黙示録』の音響デザイナーのウォルター・マーチと、『スター・ウォーズ』のベン・バートが語る1970年代のハリウッド・ルネッサンスの時期は多くの時間が割かれている。

 アメリカ映画を語る上で、当時の若い世代の潮流は避けて通れない。ジョージ・ルーカスについては、『フィアンニの虹』でフランシス・フォード・コッポラと出会い、共にアメリカン・ゾエトロープを設立して『THX-1138』を製作するという『スター・ウォーズ』以前の動向から紹介されており、『スター・ウォーズ』に至るまでの道のりも語られている。

 『スター・ウォーズ』が出来るまでを追うことが出来るとともに、ジョージ・ルーカスがアメリカ映画の歴史の中で外すことが出来ない足跡を歩んできたことも感じられるはずだ。

 『ようこそ映画音響の世界へ』で例に出される映画の中でも、『スター・ウォーズ』とベン・バートは一章設けられて紹介されている。

 チューバッカやR2−D2、ライトセーバーの効果音の制作過程はもちろん、映画館のスクリーンで1977年公開当時の『スター・ウォーズ』のフッテージを見たいならば必見だ!

 ベン・バートは、『スター・ウォーズ』制作時に効果音を収録しに行くロケーションマップを作成し、各所に音を録りに行った。ワイヤーを叩いた音をブラスターに、「プー」と名付けられたクマと共に過ごしてチューバッカの声の素材を集めていった。

 『スター・ウォーズ』以前のSF映画に多かったシンセサイザーによる効果音は排除して、採集してきた音を元に効果音を作ったからこそ、リアルな異世界の音が出来たのだ。

 R2−D2の電子音は、抑揚がついた音が言語であることに気付いたことで、まるで感情を持っているかのように印象的な音となったことが明かされる。

 また『スター・ウォーズ』制作当時に目指していたのは「スター・トレック」のようにコンベンションが開かれるような作品だと語られており、単独コンベンションの「スター・ウォーズ セレブレーション」が開催される今は、成功するとは思われていなかった当時からすると夢のような話だろう。

 そして訪れた、『スター・ウォーズ』の成功。ベン・バートがプレゼンターであるマーク・ハミルから、C-3POとR2-D2が見守る中でアカデミー賞を受賞する映像も見ることが出来る。

 意外だったのは、これだけ映画のサウンドにおける第一人者であるベン・バートが、その名声にプレッシャーを感じて仕事をセーブしていたこと。仕事は幸せになるためにすること、という彼の発言は実にうなずけるところだ。

 その他、『スター・ウォーズ』ゆかりの人物では「マンダロリアン」の音楽を担当したルドウィグ・ゴランソンが登場。民族音楽を取り入れた、『ブラックパンサー』の楽曲について紹介している。

 また、『エピソード1/ファントム・メナス』にカメオ出演したソフィア・コッポラは、監督作『ロスト・イン・トランスレーション』にて、主人公が東京で包まれる異国の雑踏の音により、観客と主人公の感覚が一体となる効果を紹介。

 映画の後半では、「声」、「効果音」、「音楽」という「才能の輪」を実際に作り上げている音響技術者たちが、それぞれどのような役割を持つパートなのか、またいかにして音と向き合い、作り上げているかが紹介される。

 それぞれの要素を分解して説明することで、観客にとって自然に感じる映画の音が、実は多くの知られざる努力の上に成り立っていることがわかる。

 本作は、モノラルからステレオ、そしてサラウンドといった映画音響の進化の歴史や、劇中での音の使用方法を、実際の劇場の音響で観客が体感する仕組みになっているため、上映館数が少ないのだがぜひ映画館での鑑賞をおすすめする。

 『ようこそ映画音響の世界へ』を観賞した後は、映画を観た際に聴こえてくるあらゆる「音」に、より意識が向かうはずだ。もしかしたら、今後の映画鑑賞においての意識の向け方を変えてくれる1本になるかも知れない。

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