Disney+ (ディズニープラス)で配信中の日本のアニメスタジオによるオリジナル短編アニメ集「スター・ウォーズ:ビジョンズ」の9作品の監督より、世界のファンからの反響に対しての喜びと感謝を込めたコメントが到着しました。
コメントを発表したのは、水野貴信監督(「The Duel」)、木村拓監督(「タトゥイーン・ラプソディ」)、今石洋之監督(「THE TWINS」)、垪和等監督(「村の花嫁」)、神山健治監督(「九人目のジェダイ」)、アベル・ゴンゴラ監督(「T0-B1」)、大塚雅彦監督(「The Elder」)、五十嵐祐貴監督(「のらうさロップと緋桜お蝶」)、チェ・ウニョン監督(「赤霧」)の「スター・ウォーズ:ビジョンズ」の9作品の監督たち。
「スター・ウォーズ:ビジョンズ」に対しては世界中のファンからSNS上にて、日本と『スター・ウォーズ』の融合を絶賛する声やシリーズ化を希望する声などが多く上がっており、大きな反響を呼んでいます。これに対して、喜びの声が各監督から届きました。
「スター・ウォーズ:ビジョンズ」9作品の監督コメント
「The Duel」水野貴信監督コメント
日本人であるからこそできることはやりきったつもりですが、それが世界の『スター・ウォーズ』ファンに受け入れていただけるのかは不安でした。
公開後は徐々に気に入っていただけたようなコメントを見かけるようになり、ホッとしたと同時に世界の方々と繋がったような幸せな時間を過ごすことができました。世界同時公開ということで地球が回っていることを忘れるぐらい昼夜問わず世界中からコメントを頂けて、『スター・ウォーズ』という作品の偉大さを実感できました。
「タトゥイーン・ラプソディ」木村拓監督コメント
戦わないし元ジェダイなのにバンドで音楽してるしと、かなり思い切って新たな『スター・ウォーズ』の世界を描こうと挑戦してきたので、できたものに対して自信はありつつも見てもらうまでやはり不安はありました。
もちろん賛否はあると思いますが、この作品や音楽、キャラクター達を気に入ってくださっている声を聞くとホッとします。本作に対して海外での絶賛コメントを聞くたび、日本でアニメーションを作っていることを誇らしく思います。
「THE TWINS」今石洋之監督コメント
配信が開始され、改めて伝説的なSF映画である『スター・ウォーズ』の新たなプロジェクトに参加できた喜びを実感しました。
9本それぞれ個性豊かで魅力的なアニメーション作品が揃った「スター・ウォーズ:ビジョンズ」プロジェクト、何度も観て楽しんで頂けたら幸いです。
「村の花嫁」垪和等監督コメント
こうして多くの皆様に観て頂けて嬉しい限りです。私が初めて『スター・ウォーズ』を観た時の感動を忘れないように作りました。それが少しでも誰かに届いたことに、まずは感謝致します。
その上、沢山の賛辞やファンアートなど、とても感激しています。ありがとうございます。本当に、「ありがとう」以外の言葉が見つかりません。
「九人目のジェダイ」神山健治監督コメント
日本だけでなく、海外からも多くのコメントをいただき、それだけ多くの人が「九人目のジェダイ」を観て楽しんでくれたのだなと知り、ホッとしております。
『スター・ウォーズ』をこよなく愛する世界中のファンにどのように受け止められるのか、配信されるまで正直とても緊張していたのですが、『スター・ウォーズ』シリーズの一ファンであった自分の一つの思いが、多くのファンと共有できたことをとても嬉しく思います。
「T0-B1」アベル・ゴンゴラ監督コメント
ファンの皆さんの感想や反応を見て、とても嬉しく思っています。でも驚いてはいません。(どのエピソードにも)素晴らしい監督が揃っているので、最初から必ず良い作品が出来上がると確信していました。
それでも「T0-B1」を観て感動したファンのリアクションは少し予想外でした。キャラクターやストーリーを通じて伝えたかったアイデアや気持ちを理解していただけて、とても感謝していますし、作中で説明していないパートについての皆さんの解釈もとても楽しく拝見しています。
また、一人のファンとして、他の話数を存分に楽しみました。話数ごとに、スタイルが豊かに変化していて、どんな方が観ても、その人にとって、好きなエピソードに出会うはずです。
「The Elder」大塚雅彦監督コメント
『スター・ウォーズ』という作品の世界をアニメーションで表現するという貴重な機会を頂き、『スター・ウォーズ』が大好きなスタッフ達と共に自分たちなりの『スター・ウォーズ』を作ろうと頑張りました。完成した作品が世界中のファンの皆様に楽しんでもらえて大変嬉しく思います。
僕も他スタジオの作品を拝見して、それぞれに違った『スター・ウォーズ』の表現があることにワクワクさせられました。日本にはまだまだ個性溢れる多彩なアニメーション作家たちがいるので「ヴィジョンズ」第二弾、第三弾があることを期待しています。
「のらうさロップと緋桜お蝶」五十嵐祐貴監督コメント
海外ファンの皆様の喜びの反応は本当に嬉しい限りです。『スター・ウォーズ』を制作する以上、まずそこに届けなければならないと思っていました。それは普段日本国内向けに作品を作っているドメスティックな仕事とは全く違った心構えでしたので、ある種かなり強い批判に晒される覚悟で作っていました。
これだけ多くの好意的な反応をもって迎えられたのは大きな驚きもありますし、ホッとする気持ちも大きかったです。『スター・ウォーズ』作品に関われましたこと、大変光栄に思っております。
「赤霧」チェ・ウニョン監督コメント
このような感想をいただき、とても嬉しく思っています。夢のようなプロジェクトにスタジオとして参加できて、とても光栄ですし、今回「赤霧」にはストーリーについてもコメントを寄せてくださる方も多く、短編作品ながら、細部まで注目してご覧いただけていて、とても新鮮で驚きました。
「赤霧」は、『スター・ウォーズ』の魅力を紐解いて、原点回帰したようなキャラクターたちの冒険を描いた作品になっているので、サイエンスSARUらしいアニメーション表現とストーリーテリングを何度でも楽しんでいただけたら嬉しいです。
各監督が明かす、「スター・ウォーズ:ビジョンズ」9作品キービジュアルへの思い
さらに「スター・ウォーズ:ビジョンズ」の9作品のキービジュアルについても、監督たちからビジュアルに込めた思いなどが明かされました。
「The Duel」
「The Duel」は、ローニンが野盗のボスが描かれた劇場看板を見つめるという、本編の斜め上を行くビジュアルが!
水野監督は「すみません!本編でもいっぱい絵を描いてくれているデザイナーに自由に描いてもらったら、こんなものが上がってきてしまいました(笑)「The Duel」のパラレルワールドで、野盗のボスがこの村で好き放題やった結果、地下アイドル劇場が作られてしまったそうです。『時代劇の世界観にさらに日本らしさとして地下アイドル文化を加えてみましたっ!』とのことで、看板にもあの台詞を彷彿とさせるコンサートタイトルがオーラベッシュで描かれています。もしローニンの到着が遅かったら…無駄な血が流れず逆に平和なのでは…と考えさせられる一枚です。」と、パラレルワールドの村を描いたものと語っています。
ちなみに、劇場にかかっている看板のオーラベッシュを読むと「IT’S BEEN A LONG TIME SINCE I ENDED A JE(ローニンに重なった部分)… CONCERT」と書かれており、「The Duel」のセリフ「It’s Been a Long Time Since I killed a Jedi.(ジェダイを殺すのは久しぶりだ)」とかけたものとなっています。
「タトゥイーン・ラプソディ」
「タトゥイーン・ラプソディ」は、バンド“スター・ウェイバー”がライブをする様子が描かれ、主人公でボーカル担当のジェイの躍動感が溢れています。
木村監督は、「絵はエロール・セドリックさん、色は岡田絵美子さんでスター・ウェイバーが楽しそうにライブをしているところを躍動感たっぷりに描いてもらいました。バンドの話なのでバンドっぽいロゴとトリミングしたらそのままCDのジャケットになりそうな雰囲気も意識して、今までにない新たな一面の『スター・ウォーズ』をこのアートでも表現しました。ライブの情熱や演者と観客との一体感が好きなので、いつか現実世界でもそんなライブが普通にできる日が来ることを願っています。」と、音楽がテーマの本作らしいデザインとなっていることを明かすとともに、スター・ウェイバーのような熱気あるライブが出来る日常も祈られています。
「THE TWINS」
「THE TWINS」は、双子の暗黒卿Am(アム)とKarre(カレ)が乗っている帝国旗艦<ツインスター・デストロイヤー>が描かれたビジュアル。
今石監督は「ポスターアートに関して僕はノータッチで、アートワークはキャラクターデザインを務めるコヤマシゲトさん、ロゴデザインはデザイナーの草野剛さんにお任せして作りあげて頂きました。本作のファーストカットと同じ<ツインスター・デストロイヤー>のシルエットを大胆に配置しつつ、スプレーノイズやグラデーションの美しさが際立つアートと、映画『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』を最大限にリスペクトしたロゴの配置含めとても気に入っています。」と、『帝国の逆襲』へのオマージュを明かします。
「村の花嫁」
「村の花嫁」は対照的な逃亡者エフと花嫁ハルが、背中合わせで描かれたビジュアル。
垪和監督は「ラフスケッチ3点を描いたうちのひとつです。いろいろ印象的なシーンがあるため、どのような絵にするか悩んだのですが、『わたし』という描き手を知ってもらうにはこの案がいいと言ってもらって今回のものになりました。対照的な二人のイメージです。カスタムアートポスターはカスタムアートポスターとして見ておもしろいと思って欲しかったので、映像とはまた違った処理にしてみました。本編と比較して楽しんでもらえたら嬉しいです。」と、アートポスターならではの表現であることをコメントしています。
「九人目のジェダイ」
カーラがライトセーバーを手にする姿が描かれているのは、「九人目のジェダイ」。
神山監督は「ライトセーバーの設定がこの物語の一つ核になっているので、このイラストはそれをうまく表現していると思います。「九人目のジェダイ」を見た人にはここに描かれている主人公カーラが表している意味にも気がついてもらえると思います。シンプルでいてとても多くのことを表現しているアートだと思います。」とコメント。
「T0-B1」
「T0-B1」は、ジェダイを夢見る少年型ドロイドT0-B1に待ち受ける過酷な運命を予感させるビジュアル。
アベル監督は「メインキャラクターをレトロな『スター・ウォーズ』風の映画ポスターのように見せたいと思っていました。奥に惑星を入れて研究所を配置することで、惑星を小さく見せることが出来ました。宇宙船は、デザインが気に入っていたので入れ、メインな色は作品の前半でよく見かける青と白を使っていますが、インクイジターの辺りは、恐ろしさを表現するため赤くしました。」と、その配色やデザインについて解説しています。
「The Elder」
「The Elder」は、緑のライトセーバーを構えるジェダイマスターのタジンと青のライトセーバーを手にする若きパダワンのダン、その後ろで不敵な笑みを浮かべる老人の姿をデザインしたビジュアル。
大塚監督は「古さの中に新しさもある、今までの『スター・ウォーズ』の世界観にもはまるようなポスターを目指しました。イラストを描いてくださったキャラ原案の白浜鴎さんは『スター・ウォーズ』についての造詣が深く、こちらのオーダーをより明確にビジュアルに組み込んでくださり大変素晴らしいイラストになっていると思います。『The Elder』の本編と合わせて喜んでもらえると幸いです。」とコメント。
「のらうさロップと緋桜お蝶」
「のらうさロップと緋桜お蝶」は、ライトセーバーを手にする主人公ロップとお蝶や弥三郎などのキャラクターたちが描かれたビジュアル。
五十嵐監督は「本作は大半がオリジナルキャラなので、一目で『スター・ウォーズ』のポスターと分かるかどうかが一番苦労しました。ダイナミックな構図と、強烈なお馴染みのキャラやメカのアイコンこそが『スター・ウォーズ』たらしめている要素だと改めて分かり、あえてトム・ユングやドリュー・ストルーザン、生頼範義などが書いた、ザ・スターウォーズといったポスターアートを参考にしました。そこに作品のテーマである、ロップとお蝶の家族関係がライトセーバーと帝国を巡って衝突していくイメージを当て込み、日本のアニメらしい絵の仕上がりを目指しています。」と、歴代の『スター・ウォーズ』のポスタービジュアルからインスピレーションを得たことを明かしています。
「赤霧」
「赤霧」は手のひらの中にジェダイのツバキが描かれ、ユニークで印象的なビジュアルに。
ウニョン監督は「今回のアートポスターでは、ツバキの持つ運命や秘めた情熱や信念を表したときに一番イメージと重なるのが、赤だったので、全体のイメージカラーとしています。ツバキ自身、決められた運命に逆らおうともがき、自分が正しいと思う選択をする主人公です。制作当初から彼自身が赤い霧の中を歩みながら葛藤しているイメージを持っていたので、「赤霧」とつけました。アートポスターのご依頼をいただいた際にそのことを思い出し、そんなツバキの運命を握られている姿をイメージしてコンセプトを決めました。」と、ビジュアルに込めた思いを語っています。
「スター・ウォーズ:ビジョンズ」は、Disney+ (ディズニープラス)にて独占配信中。
2005年より「スター・ウォーズ ウェブログ」を運営。「『スター・ウォーズ』究極のカルトクイズ Wikia Qwizards<ウィキア・クイザード>」世界大会優勝者。ディズニープラス公式アプリ「Disney DX」のオリジナル動画や記事など、様々な出演/執筆も行っています。2010年、『ファンボーイズ』日本公開を目指す会を主宰しました。