Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「マンダロリアン」シーズン1 第4話「チャプター4:楽園」のエピソードガイドです。
このエピソードガイドは、「チャプター4:楽園」のストーリー、隠れ要素(イースターエッグ)やオマージュなどのトリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストをまとめています。
この記事は「マンダロリアン」シーズン1「チャプター4:楽園」のネタバレを含んでいます。本編鑑賞後にご覧ください。
「マンダロリアン」シーズン1全体のネタバレなしレビューは、以下のエントリーをご参照ください。
目次
「チャプター4:楽園」ストーリー
惑星ソーガンの村では、村人たちが青い海老のような生物であるクリルを採り、子供たちは遊びに興じていた。
そんな平和で穏やかな時間を、鳴り響く足音とブラスターの発砲が打ち砕いた。クラトゥイニアンの盗賊たちが村に押し寄せ、収穫物を略奪していく。オメラとウィンタの親子は、かごを被って水中に身を潜めることで難を逃れたが、村は荒らされてしまった。
レイザー・クレストのコックピットでは、あちこちを触るザ・チャイルドをマンダロリアンは注意しながら、宇宙港や産業集積地がなく人口密度も高くない辺境の過疎地であるソーガンを見つける。追われる身にとっては、理想的な場所だ。
ソーガンに着陸したマンダロリアンはザ・チャイルドをレイザー・クレストに置いていこうとするが、後をついてきてしまうため一緒に食事が出来る店までやって来る。
ロズ=キャットに吠えられて驚きがらも、よちよち歩いてきたザ・チャイルドにマンダロリアンは骨スープを注文しながら、離れた席に座る装甲服を着た女の客について主人に尋ねる。クレジットを払ったマンダロリアンに、店の主人は大至急で骨スープと、店のおごりでクリルから作られる飲み物のスポチュカの大瓶を用意すると言う。
席を立ち、さらにクレジットを渡して主人にザ・チャイルドを見ているよう頼んだマンダロリアンは、店の外に出て装甲服を着た女を探す。マンダロリアンのヘルメットのセンサーを通して見える足跡をたどって探していると、突然装甲服を着た女に攻撃される。
格闘の末、ブラスターを突きつけ合う2人を、いつの間にか現れたザ・チャイルドが骨スープをすすりながら見つめる。
店内に戻り、マンダロリアンはその女傭兵、キャラ・デューンの話を聞く。
元反乱軍のショック・トルーパーだったキャラ・デューンはエンドアの戦いの後、元帝国軍の軍将を一掃する任務を与えられた。新共和国軍はドロップシップで空挺兵として、各地に何の援護もなく彼女を送り込んだようだ。
しかし軍将を一掃した後、政治闘争が起きて平和維持や要人の護衛、暴動鎮圧といった当初から離れた任務にあたることになったため、「早期退役」することにしたのだと言う。
キャラ・デューンがマンダロリアンを攻撃したのは、自分を追う者だと思ったためだった。そして、再戦したくなければどちらかがここを出て行った方が良いが、自分の方が先にいたと主張する。
夜、レイザー・クレストの修理をしているマンダロリアンに2人の男が乗ったスピーダーが近づく。彼らはスポチュカの原料となるクリルを養殖する農民で、マンダロリアンの民族の武勇伝を読んでいたため、収穫物を盗る盗賊退治を依頼しに来たのだ。
全財産を払うと言うが、にべもなく断るマンダロリアン。しかし、クリル農民たちが1日がかりでここまでやって来たほどの辺境の村にいると知ったマンダロリアンは、身を隠せる宿を求めて彼らの話に乗り、同じ立場であるキャラ・デューンも仕事に誘う。
一行が村に到着すると、歓迎する子どもたちが駆け寄ってくる。マンダロリアンは、オメラの家の納屋に滞在することに。娘のウィンタが背後から現れると、マンダロリアンは思わず警戒した行動を取り、驚かせてしまう。
ウィンタはザ・チャイルドに食べ物を与え、一緒に遊びに行く。オメラはマンダロリアンに、人前でヘルメットを脱いだことがあるか質問すると、村の子どもたちを指してあのくらいの頃が最後で、それ以来顔を見せていないと言う。両親が殺され、マンダロリアンたちに育ててくれたのだと身の上を明かすと、オメラが去ってから食事の前にヘルメットを取るのだった。
マンダロリアンとキャラ・デューンは、森で村を襲う盗賊たちについて検証する。巨大な何かによって折れた枝、土に残る足跡からAT-STが使用されたと断定。想像よりもやっかいな相手だった。
マンダロリアンとキャラ・デューンは、村人たちにAT-STの話は聞いておらず、2人では対応出来ないと断ろうとする。しかし村は捨てられず、一緒に戦うと食い下がる村人たち。マンダロリアンは、村人たちに戦い方を教えてみようと提案する。
マンダロリアンとキャラ・デューンは、AT-STに対する落とし穴の罠や、木で出来たバリケードの準備を村人に指示。オメラをはじめとしたブラスターを撃てる者には射撃訓練を、それ以外の者には木の槍での戦闘訓練を行う。中でもオメラは高い射撃精度を見せた。
陽が落ち、マンダロリアンとキャラ・デューンはクラトゥイニアンの盗賊たちの野営地へ忍び込む。スポチュカを飲みながらたき火を囲む盗賊たちを横目に、スポチュカの大桶があるテントにデトネーターを仕掛ける。
しかし盗賊たちに発見され、デトネーターのタイマーが鳴る中で戦闘となる。なんとか爆発前に脱出したマンダロリアンとキャラ・デューンだったが、そこにAT-STが迫り、砲火の中で2人は村へと逃走。
AT-STを村まで誘い込むことに成功するが、AT-STは落とし穴の前で停止してしまう。投光器で周囲を見回した後、突然発砲し始めるAT-ST。さらに、クラトゥイニアンの盗賊たちも追って来て、防衛線を張っていた村人たちとの間で戦闘が始まる。
AT-STの火力に圧倒される中、作戦変更としてマンダロリアンからアンバン・フェーズ=パルス・ブラスターを借りたキャラ・デューンは、AT-STまで接近して池の中から射撃。わずかに見えたコックピットの中に撃ち込み、AT-STは崩れ落ちる。さらに、マンダロリアンがデトネーターを投げ込んで追い打ちをかける。村人たちの奮闘もあり、AT-STを失ったクラトゥイニアンの盗賊たちは退散。
翌日、平和が戻った村では、ソーガン・フロッグを丸飲みにしようとするザ・チャイルドを囲んで子どもたちが騒いでいた。それを見て、ソーガン・フロッグを吐き出すザ・チャイルド。
子どもたちとザ・チャイルドの様子を見ながら、オメラはマンダロリアンになじんでいると言う。キャラ・デューンは、ヘルメットを脱ぐとどうなるのか尋ねると、2度と被ることが出来なくなると答える。ここでオメラと一緒になって子どもを育てたらと言うキャラ・デューンにマンダロリアンは、村を戦場にしたため噂はすぐに広まるとし、ザ・チャイルドもここに置いていった方が安全だと話す。
オメラからもここにずっといて欲しいと言われるが、マンダロリアンは残れないと言う。
森には、トラッキング・フォブを持ったクバーズの賞金稼ぎがザ・チャイルドを狙撃しようとしていた。村に響く銃声。賞金稼ぎを背後からキャラ・デューンが撃って、ことなきを得たのだ。
居場所が知れてしまっている以上、村にザ・チャイルドを残していくわけにはいかず、マンダロリアンとキャラ・デューンは別々に村を去る。オメラとウィンタは、マンダロリアンとザ・チャイルドにそれぞれ別れを告げた。
「チャプター4:楽園」トリビアチェックポイント
『スター・ウォーズ』と『七人の侍』
「チャプター4:楽園」は、盗賊によって苦しめられている小さな村の農民が、村を守るため強い戦士を雇い、その戦士が村人に戦闘を教えることで、力を合わせて盗賊を撃退するというあらすじだ。
これはもちろん黒澤明の『七人の侍』と同様のストーリーであり、「チャプター4:楽園」は207分に及ぶ『七人の侍』を40分ほどでやったようなエピソードである。
ジョージ・ルーカスは多くの黒澤映画に影響を受けており、『エピソード3/シスの復讐』でヨーダが志村喬演じる島田勘兵衛のような仕草で頭をなでるシーンや、『エピソード1/ファントム・メナス』で霧の中からグンガン軍が現れるシーンから『七人の侍』へのオマージュが見受けられる。
また、映画以外の『スター・ウォーズ』作品では『七人の侍』のストーリーラインが用いられることが多々あり、「チャプター4:楽園」で3作品目だ。
「クローン・ウォーズ」シーズン2 第17話「七人の傭兵」は、ホンドー・オナカーが率いる海賊に襲われるフェルーシアの村を、雇われた4人の賞金稼ぎと、オビ=ワン・ケノービ、アナキン・スカイウォーカー、アソーカ・タノ、そしてジェダイが戦闘方法を教えた村人たちが力を合わせて守るというストーリーとなっている。
冒頭には黒澤明に敬意を表したクレジットが記載され、ラストのアナキンのセリフも『七人の侍』のエンディングを彷彿とさせるものだ。
また、このエピソードで初登場し、他の多数のエピソードでも活躍する賞金稼ぎのエンボはキューゾという種族で、これは『七人の侍』で宮口精二が演じた久蔵が由来となっている。キューゾは「マンダロリアン」にも登場。
『七人の侍』をベースにした作品は、さらにさかのぼること『スター・ウォーズ』が公開された1977年にマーベルより刊行されたコミック「Star Wars #7」から始まるストーリーにて、アドゥバ3の水分農夫に村を守るべく雇われたハン・ソロとチューバッカが、緑のウサギのようなジャクソンや、自分をジェダイだと思い込んだドン=ワン・キホテイといったゆかいなならず者たちとともに、村を襲うクラウド=ライダーズに立ち向かう。
ちなみに『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』に登場したクラウド=ライダーズは、このコミックに登場したグループが名前の由来となっている(「Star Wars #7」はレジェンズで、正史(カノン)とレジェンズのクラウド=ライダーズの間に関連性はなく同じ名称を用いただけ)。
ブライス・ダラス・ハワード
「チャプター4:楽園」のエピソード監督は、『ジュラシック・ワールド』シリーズのクレア役などで知られる女優で、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』を監督したロン・ハワードの娘であるブライス・ダラス・ハワード。
前述の通り、「チャプター4:楽園」は『七人の侍』をベースとなっているが、本作のメイキングを描く「ディズニー・ギャラリー/スター・ウォーズ:マンダロリアン」では、父であるロン・ハワードとジョージ・ルーカス、そして黒澤明との日本での会食の場に、幼少期のブライス・ダラス・ハワードも居合わせたことが明かされている(ただし、ほとんど寝ていたとのこと)。
クリル
ソーガンで育てられている青い海老のような生き物はクリル。「チャプター4:楽園」で登場する、青白く光る飲み物のスポチュカはクリルから作られるものだ。
このクリルは、日本では2002年に発売されたシミュレーションゲーム「スター・ウォーズ ギャラクティック バトルグラウンド」にてナブーに棲む生物として登場。すごいところから持ってきたものだ…
ウォンプ・ラット
マンダロリアンがザ・チャイルドに「ウォンプ・ラット君(Little Womp rat)」と呼ぶが、ウォンプ・ラットはタトゥイーンに生息する生物。
『新たなる希望』でルーク・スカイウォーカーは、ヤヴィンの戦いのブリーフィング中にデス・スターの排熱口のターゲットが2メートルと聞いて、タトゥイーンではT-16スカイホッパーで2メートルもないウォンプ・ラットを狙い撃ちしていたことを話していた。
ロズ=キャット
ロズ=キャットは、「スター・ウォーズ 反乱者たち」にて登場したロザルに生息する猫のような生物だ。ロザルが主要な舞台であるということもあり、ロズ=キャットは「反乱者たち」のシリーズを通して多く登場した。
また、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』では幼少期のジン・アーソがロズ=キャットの人形を所有している。
まさかロズ=キャットを実写で見ることが出来るとは…
「チャプター4:楽園」サウンドトラック収録曲
「マンダロリアン」のサウンドトラックは、本作がディズニープラスで独占配信のシリーズということもあってか、そのサウンドトラックもCDは発売されず、音楽配信サービスでのデジタル販売のみとなっている。
各エピソードごとにアルバム形式で販売されるとともに、各楽曲ごとに単品で購入することも可能。
シーズン1の第4話「チャプター4:楽園」の収録曲は、以下の通り。
- 1. The Ponds of Sorgan
- 2. Off the Grid
- 3. Can I Feed Him?
- 4. Training the Plebs
- 5. Camp Attack
- 6. Spirit of the Woods
- 7. Stay
- 8. Mando Says Goodbye
2005年より「スター・ウォーズ ウェブログ」を運営。「『スター・ウォーズ』究極のカルトクイズ Wikia Qwizards<ウィキア・クイザード>」世界大会優勝者。ディズニープラス公式アプリ「Disney DX」のオリジナル動画や記事など、様々な出演/執筆も行っています。2010年、『ファンボーイズ』日本公開を目指す会を主宰しました。