『最後のジェダイ』ローズ役ケリー・マリー・トランのInstagram削除に思う、SNS時代のファンのあり方

 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』でローズ・ティコ役を演じたケリー・マリー・トランが、自身のInstagramの投稿をすべて削除したことがわかりました。

 ケリー・マリー・トランのInstagramアカウント自体はまだ残っていますが、これまでの投稿が消えている状態になっており「Afraid, but doing it anyway. 🦁(怖いけど、とにかくやるしかない。)」というプロフィールテキストが残されています。

 まず、伝えておきたいこととしてはケリー・マリー・トランがInstagramの投稿をすべて削除した実際の理由は不明であることです。

 ケリー・マリー・トランのInstagramアカウントの異変に気付いた「Star Wars Facts」というファンによるアカウントが、「ケリー・マリー・トランが『最後のジェダイ』でローズを演じたことによって、数ヶ月の間に受けた嫌がらせのためにInstagramの投稿をすべて削除した」と記載したことから、ファンからの嫌がらせコメントが理由であるという印象が付き、これが各ニュースサイトでも報じられています。

 TheWrapは、ケリー・マリー・トランの代理人に対してInstagramの投稿削除の理由についてコメントを求めたそうですが、返事はすぐに戻って来なかったとのこと。

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昨年より続いてきたネット上での嫌がらせ

 ただ、ケリー・マリー・トランのInstagramアカウントに人種差別的な発言などの嫌がらせのコメントがあったことは事実です。

 ケリー・マリー・トランのInstagramアカウントでの誕生日の投稿には、「使えないキャラクター。ジャー・ジャー・ビンクスの方がマシ」、「チン・チョン(アジア系を揶揄するネットスラング」といったコメントが記載されています。

 また、すでに『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が公開された昨年2017年12月末の時点で、『スター・ウォーズ』ファンにはおなじみのWookieepediaのローズ・ティコのページの名前などが同じくアジア系を揶揄するような記述に改ざんされたことがありました。 

 この改ざんをした人物には、WookieepediaとそのほかのFANDOMのwikiの使用が出来ないようブロックする対応が取られたようです。

作品の好き・嫌いと、個人攻撃は異なるもの

 改めて、ケリー・マリー・トランのInstagramの投稿が削除された実際の理由は今のところ不明です。何らかの削除しなければならない事情があったのかも知れませんし、マネージメント上の戦略変更や、単にSNSに疲れたのかも知れません。

 しかし、上記のような経緯があったことを考えると、以下のようなとても当たり前なことを書かなければならないと感じます。

 映画そのものや、劇中のキャラクターについて好き・嫌いを表明することは、作品を鑑賞した誰にとっても自由なことです。

 ただ、その映画やキャラクターが自分の好みから外れたからといって、映画を制作したスタッフや、そのキャラクターを演じたキャストへ個人攻撃を繰り返すことはあってはなりません。個人に対して罵詈雑言を投げつけることは作品への批評とは別のものですし、人種や性別を基にした攻撃などはもってのほかです。

 『最後のジェダイ』を見て楽しんだ人がいる一方で、良いと思わなかった人がいるのは自然なことです。人それぞれ、感じ方は違って当然ですし、『スター・ウォーズ』は長い歴史を持ち、幅広い年齢、性別、様々な思い入れを持つファンがいるので、毎回新作公開の度に賛否両論となるのは、今に始まったことではありません。

 しかし、作品に対して悪い印象を持ったとしても、その作品に携わった人に対して理由なくヘイトを浴びせて良いはずがありません。これは作品そのものへの批評とは明確に異なるものです。

SNSでスタッフ・キャストとつながる時代の功罪

 インターネット上での世界中の『スター・ウォーズ』ファンのコメントの中には、近年かなり過激な言動が見受けられると感じます。

 これを感じた一例として、昨年2017年9月にライアン・ジョンソンがプロモーションで来日した頃には、海外の『スター・ウォーズ』ファンはライアン・ジョンソンに対して好意的で、「エピソード9」の監督への続投を熱望する声が上がっていました。『最後のジェダイ』をまだ見てもいないのに、すごい支持を得ていると驚いたものです。

 その数日後にJ・J・エイブラムスが「エピソード9」の監督に就任したことが発表されると、一斉に落胆の声が。

「スター・ウォーズ エピソード9」新監督はJ・J・エイブラムスに正式決定!その「帰還」に思うこと
「スター・ウォーズ エピソード9」をJ・J・エイブラムスが監督することが正式発表されました!『フォースの覚醒』に続き、J・J・エイブラムスが三部作最終章を監督する意味とは?また、発表前日の『最後のジェダイ』監督の発言は?

 いざ『最後のジェダイ』が公開されてみると、ライアン・ジョンソンへの壮絶かつ執拗なバッシングが本人のSNSに寄せられ、この状態は今も続いています。

 君たちは一体、何を求めていたんだ?

 昔であれば、キャストやスタッフに時間の制約などなく直接、ファンの声を届けてコミュニケーションを取ることなど出来ませんでしたが、インターネット、そしてSNSがそれを可能にしました。

 SNSがあれば、ルーク・スカイウォーカーを演じたマーク・ハミルに直接、いかにその演技を長年に渡って愛しているかを伝えることも、今見たばかりの映画の感想を監督本人に伝えることも出来ます。

 また、末期ガンで余命わずかであるファンが、SNSでの拡散を受けて『スター・ウォーズ』キャストたちにも応援され、亡くなる前に『フォースの覚醒』を特別試写で見られた出来事のように、SNSにいる大勢の善意が結集することもあります。

もし、『スター・ウォーズ』新作を見られず死んでしまったら―『最後のジェダイ』を見られなかったファンを想う
『フォースの覚醒』が見たいという最期の望みを叶えた『スター・ウォーズ』ファンのダニエル・フリートウッドさんが亡くなってから2年。ダニエルさんが見ることが出来なかった『最後のジェダイ』公開を前に、その人生に想いを馳せます。

 こうした良い方に働くことがある一方で、今回の件は悪い方に働いたと思われてなりません。言うならばダークサイドです。

思いやりと、多様性のある
『スター・ウォーズ』ギャラクシーを

 『スター・ウォーズ』自体が、新作において女性が主役になり、様々な人種のキャストを起用させるなど多様性を意識していることが感じられる一方で、これに呼応するように「女に『スター・ウォーズ』を取られた」などという一部の排他的な発言も散見されるようになった印象もあります。

 そう言う方は気付いていなかったのでしょうが、『スター・ウォーズ』は元々、みんなのものなんです。

 新シリーズにおける悪の組織であるファースト・オーダーすら、最高指導者はエイリアンで、様々な肌の色の兵士がおり、女性も重要なポストに登用しているというのに(帝国軍も、「スター・ウォーズ 反乱者」などの近年のスピンオフではエイリアンや女性が高い階級に就いています)。

 今回のケリー・マリー・トランのように、レイを演じたデイジー・リドリーも2016年にInstagramアカウントを閉鎖しています。

 その理由は、銃による暴力の被害者を支援するメッセージを投稿した後に、暴力描写がある『スター・ウォーズ』に主演しているのに偽善者であるなどといったコメントが殺到したため。

 どうも、こうした批判をするのはフィクションと現実を混同しているように思えます。繰り返しになりますが、演じた役柄とその俳優のパーソナリティーは別物です。

 海外ファンのコメントの中には、ケリー・マリー・トランを擁護しながら、本当に悪いのはライアン・ジョンソンとキャスリーン・ケネディである、というものも見られましたが、そういうことじゃないでしょう。

 ケリー・マリー・トランについては、海外ファンだけではなく日本でも主に容姿を揶揄するような発言をネット上では見受けられたので、本人のアカウントに直接投稿するという違いはあるにしろ、過激な海外ファンのやらかしと片付けることなく、日本においても自戒は必要だと感じます。

 『最後のジェダイ』でのローズのセリフ「憎む者と戦うことではなく、愛する者を救うことで勝つの」が、どうやら心に響かなかった方々もいるようです。

 これからも新しい『スター・ウォーズ』シリーズが作り続けられるうちに、次第に多様性のある銀河系は誰にとってもめずらしくないものとなり、こうした悲しい出来事も起きずに済むのでしょうか。インターネット上で発信出来るファンひとりひとりが、思いやりを持つことでそれは実現出来ると信じています。

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コメント

  1. takuan501 より:

    悲しい出来事ですね。
    正直、大好きな「スターウォーズ」の中で人権に関した問題が起こって欲しくなかっです。
    一方、好きだからこそ問題に対して向き合わなければならないとも思います。

    実際、新三部作ではかなり現代の国際社会を反映させたキャスティングがなされてるかと思われます。

    作品自体が成長しているのに、
    僕たちファンが足枷にならないようにしなければ….。