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「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第9話「前触れ」レビュー/トリビアチェックポイント【ネタバレ注意】

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

 Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第9話「前触れ」レビュー/トリビアチェックポイントです。

 この記事では、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第9話「前触れ」のストーリーやレビュー(感想・考察・批評)、トリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。

 この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第9話「前触れ」の本編鑑賞後にご覧ください。

 「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン1、シーズン2、またファイナル・シーズンの他のエピソードについては、以下のカテゴリーからご参照ください。

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「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第9話「前触れ」レビュー

アサージ・ヴェントレスが、オメガを導く

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

 前話である第8話「危険領域」でのフェネック・シャンドに続いては、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズンの予告編が公開された際に多くのファンが驚き、話題を起こしたアサージ・ヴェントレスの登場エピソードだ!

 アサージ・ヴェントレスは、「スター・ウォーズ クローン大戦」(ディズニープラスで「スター・ウォーズ ビンテージ:クローン大戦 2D マイクロシリーズ」のタイトルで配信中)でデビューし、「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」でも引き続き、独立星系連合の司令官で暗殺者としてジェダイたちや共和国軍の前に立ちはだかった。

 しかし、ドゥークー伯爵に裏切られたことから故郷であるダソミアのナイトシスターたちとともに復讐に乗り出すも、あえなく逆襲に遭い、賞金稼ぎとなって孤高の存在となるという「クローン・ウォーズ」のシーズンを追うごとに様々な側面を得ていく、味わい深いキャラクターだ。

 アサージ・ヴェントレスが「バッド・バッチ」に登場したことへの驚きの理由は後述するとして、帝国軍に狙われ続ける要因であるM値(Mカウント)についてガイドしつつ、オメガの潜在能力を示唆する役割をファイナル・シーズンのストーリーの中で担うとともに、オメガの中にあるものを見出す師のような側面が、この「バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第9話「前触れ」にて新たにアサージ・ヴェントレスに加わったといえる。

「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第9話「前触れ」ストーリー

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

 パブーに滞在するバッド・バッチの元には、依然としてフェネック・シャンドからの連絡は来ない。

 そんな中、オメガは洞窟の中で宇宙船を発見する。おびえたバッチャーから異変に気付いたハンター、レッカー、クロスヘアーが洞窟へ向かうと、そこにはアサージ・ヴェントレスがいた。

 座標を伝えていないにも関わらず、フェネック・シャンドから送られたというアサージ・ヴェントレスは、なぜM値(Mカウント)の情報を求めているのか質問する。

 オメガは、帝国に追われている友達のために、と咄嗟に言う。帝国の実験に関連するもののようだがM値が何かはわからないと伝えると、アサージ・ヴェントレスはM値は血液の中にあるもので、誰の中にもあるがその量は様々であり、M値が高いとフォースを操る資質があると信じられていると説明する。
 
 さらに、クローンがフォース感知者であることに感心しつつ、何百万も造られれば特殊なものも生まれるだろうと推測する。

 オメガは自分が何者であるかを知りたいと、どれほどのM値であるのか調べることをアサージ・ヴェントレスに懇願。

 夕方、アサージ・ヴェントレスの元でオメガは岩場で片足で立つテストを行う。

 これを見守るハンター、レッカー、クロスヘアーは、共和国アーカイブのテクのファイルからアサージ・ヴェントレスの身元と、彼女がかつて分離主義勢力にいたことを確認。

 次のテストは、パブー上部の柱廊にある枝垂れマヤの木から白い花を日没までに取ってくるというもの。

 日没まで時間がなく、遠い場所なので、オメガはバッチャーの背に乗って上を目指す。

 アサージ・ヴェントレスの正体を知ったバッド・バッチらは、ここから去るよう告げるが、アサージ・ヴェントレスはオメガの能力テストが済んでから、またはそれ以上の滞在もあり得ることを示唆する。

 力ずくでも退去させようとするバッド・バッチとアサージ・ヴェントレスは戦闘に突入。フォースで武器を排除し、体術のみの戦いを展開するアサージ・ヴェントレスは人数が1対3でも圧倒。

 アサージ・ヴェントレスがオメガを連れて行くことを示唆したことで、クロスヘアーはブラスターを取り戻し、全員で一斉射撃。アサージ・ヴェントレスもライトセーバーで応戦する。

 オメガが白い花を取って戻って来た頃には、バッド・バッチの面々はアサージ・ヴェントレスのフォースとライトセーバーによって窮地となっていた。

 戦争犯罪者であると糾弾し、俺たちはお前とは違うと言うハンターに、アサージ・ヴェントレスは同じ戦争でどっちも駒であり、そして我々は皆負けたと返し、帝国の恐ろしさを警告しつつお前たちの敵ではないとライトセーバーを収める。

 オメガは、アサージ・ヴェントレスを信用しないバッド・バッチの面々に、時が移って人も変わること、人のいい面を見ているからこそクロスヘアーを救えたと説得し、訓練を継続することに。

 翌日、最終テストとしてパブー・スキッフで海に出たオメガとアサージ・ヴェントレス。フォースを操る者は、自然との親和力が強く、エネルギーに反応する対象とつながるということで、すべてのものに目を閉じて手を差し伸べるようアサージ・ヴェントレスはオメガを導く。

 その様子を、ハンター、レッカー、クロスヘアーは監視していた。

 変化がなく、何をすべきかもわからないオメガが諦めると、アサージ・ヴェントレスはフォースの芽があっても花開かせることはバッド・バッチでは無理だとする。

 これに、アサージ・ヴェントレスもジェダイではないのにと疑うオメガに対し、アサージも海に向けて手を伸ばして見せると、海面に緑色に発光するエイの群れが現れた。

 しかし、しばらくすると群れは逃げて行き、巨大な深海生物であるヴラセアンが現れる。パブー・スキッフで逃げ出すも、転覆させられ海へと投げ出されるオメガとアサージ・ヴェントレス。

 ハンター、レッカー、クロスヘアーは、マローダーで海へと急ぐが…

オメガに重なる弟子たちの姿

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

 「バッド・バッチ」ではシーズン1 第1話「余波」でのデパ・ビラバとそのパダワン、ケイレブ・デューム(ケイナン・ジャラス)、シーズン2 第6話「部族」でのグンジと、バッド・バッチがフォース感知者と共に並ぶ場面は登場してきたが、ここまでフォースの精神性やつながりが描かれたエピソードはシリーズでもはじめてだ。

 また、アサージ・ヴェントレスによるオメガへのフォースの手ほどきは、これまでの様々な作品におけるフォースを学ぶ弟子の姿も連想させる。

 自分が何者であるかを知りたいのに、誰も答えをくれないためアサージ・ヴェントレスによるフォースの素質を試すテストに挑むオメガの姿は、『フォースの覚醒』、『最後のジェダイ』でのレイを思わせるし、海面に手を伸ばすも反応がなく早々にあきらめてしまう姿は『帝国の逆襲』でのルーク・スカイウォーカーのようだ。

 オメガにフォースの資質があるなら、訓練で伸ばす必要があるためバッド・バッチと離れることを示唆するアサージ・ヴェントレスの言葉からは、修行を受けさせるならば親代わりの保護者と離れざるを得ないジレンマがあった「マンダロリアン」でのディン・ジャリンとグローグーを連想させる。

フォース感知者のクローン

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 M値(Mカウント)とは何かを説明するアサージ・ヴェントレスの言葉からは、M値がミディ=クロリアンの値を意味することが改めて伺える。そしてアサージ・ヴェントレスは、ジェダイは血の力ではなく訓練により育てられると語る。

 これは「スター・ウォーズ:アソーカ」において、ジェダイ・オーダーなら受け入れなかったほど素質がないと思われたサビーヌ・レンがフォースの潜在能力を覚醒させる過程を通じて、生けるものすべてに流れているフォースを操るのは本人の意思と努力と才能の掛け合わせであるとしたスタンスを踏襲し、より明確にミディ=クロリアンの高さは必要条件ではないと打ち出しているというわけだ。

 『エピソード1/ファントム・メナス』では、生命体の細胞内に共生する微生物であるミディ=クロリアンがフォースを感知する上で役割を果たしており、その量と潜在能力には相関関係があることがアナキン・スカイウォーカーの存在を通して示唆された。

 テストを経て、M値は高くないという見立てを伝えたアサージ・ヴェントレスだが、その言葉のどこかにウソがあると示唆されている。

 オメガは遺伝子に純粋な第一世代のDNA、つまりオリジナルであるジャンゴ・フェットの遺伝子から造られた存在でありながら、バッド・バッチと同じ遺伝子変異のあるクローンである。こうなるとオメガに施された改良は、M値にまつわるものだろう。

 フォース感知者のクローンを量産することは、「マンダロリアン」でフォースを操る潜在能力を組み込んだモフ・ギデオンのクローン軍の構想を彷彿とさせる。

 また、アルファと呼ばれるボバ・フェットは、ジャンゴ・フェットが自身の純粋なクローンを欲したことから生まれているが、ではオメガは誰が何のために造り出したのか。フォースの潜在能力の可能性があるとなると、その出生は改めて気になるところだ。

アサージ・ヴェントレスの新たなストーリーが、ここからはじまる

 「バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第9話「前触れ」は、ファイナル・シーズンの他のエピソードと同様にライティングが絶妙だ。

 アサージ・ヴェントレスの表情が夕陽の逆光でよく見えないシーンでは、視聴者にとって、また対峙するバッド・パッチにとっても謎めいたアサージ・ヴェントレスが、何を考えているのかわからないことを効果的に演出している。

 このエピソードの鍵となるキャラクターであるアサージ・ヴェントレスは、「バッド・バッチ」への登場が予告編で判明した際、大きな話題を呼んだ。それは、アサージ・ヴェントレスはなぜ生きているのか、という疑問からだ。

 未邦訳小説「Star Wars: Dark Disciple」のネタバレになってしまうが、これを避けては説明が出来ないため、ご容赦頂きたい。端的に書くと、「Star Wars: Dark Disciple」でアサージ・ヴェントレスはその身を挺して恋仲であったクインラン・ヴォスを守って自己犠牲により、命を落とすのである。

 そのため、「バッド・バッチ」ファイナル・シーズンにてどのようにしてアサージ・ヴェントレスが登場するのか、注目が集まっていたというわけだ。

 結局、この第9話「前触れ」では、アサージ・ヴェントレスが生存していることに対しての明確な答えは用意されておらず、複数の命があることを示唆するセリフがあるのみだった。

 StarWars.comによると、アサージ・ヴェントレスが「バッド・バッチ」に登場する案はデイブ・フィローニが出したもので、「Star Wars: Dark Disciple」がある中でアサージ・ヴェントレスのストーリーをどのように続けていくことが出来るか議論を重ねたという。

 そして、アサージ・ヴェントレスがどのようにして生き延びたのかについては、今後の作品にて語られていくことが明かされている。

 この第9話「前触れ」が、アサージ・ヴェントレスの新たなストーリーの第一歩となるというわけで、それが語られる別の機会にも期待したい。

激動の「前触れ」

 エピソードタイトルの「前触れ(The Harbinger)」は、このアサージ・ヴェントレスの新たなストーリーのはじまりや、オメガが持つフォース感知者としての芽のことも指しているかも知れないが、どちらかというと安全なはずのパブーに外部から来訪者がやって来た、ということにかかっているように思える。

 アサージ・ヴェントレスも、ここは思うほど安全ではないと警告している。

 第9話「前触れ」の次回である第10話、第11話は2話同時配信であり、シーズン終盤に向けた前編・後編構成の激動の展開が待ち受けていることが予測出来るため、その「前触れ」を指していると思われる。

 『スター・ウォーズ』のセリフで言えば、「イヤな予感がする」のだ。

「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第9話「前触れ」トリビアチェックポイント

髪を伸ばしたアサージ・ヴェントレスが映像化

(C)2024 Lucasfilm Ltd.

 大人となり、髪を伸ばしている状態のアサージ・ヴェントレスは「バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第9話「前触れ」が初の映像化。

 「クローン・ウォーズ」シーズン3 第12話「ダソミアの魔女」では、ジェダイ・マスター、カイ・ナレックの弟子だった頃のアサージ・ヴェントレスが髪を伸ばしている様子が回想シーンで見ることが出来る。頭の右半分は刈り上げており、ライトサイドのフォースを学んでいた時点でパンクなヘアスタイルとなっている…

 オメガに対してジェダイの手法を知っていると言っているのは、アサージ・ヴェントレスがカイ・ナレックの元で学んでいたことからだ。

 また、アサージ・ヴェントレスの肩のポールドロンに黒いヘビがデザインされていることは、「クローン・ウォーズ」にて賞金稼ぎとなった際にも見られた。ヘビはアサージ・ヴェントレスと同じく、誤解されている生き物であるためこのデザインが選ばれたという。

 「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」はDisney+ (ディズニープラス)で配信中。

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