『スター・ウォーズ』ファンを描いたコメディ映画『ファンボーイズ』がパロディしている元ネタ、小ネタ、トリビア、カメオ出演の数々を総まとめ!
『ファンボーイズ』は、多くの方々の力と熱意によって日本でファン念願の劇場公開が実現した2010年4月24日(前夜祭は4月23日)から、2020年で10周年となりました。この『ファンボーイズ』日本公開10周年を記念して、本作のパロディ元ネタ集、細かいネタやトリビア、カメオ出演を解説した記事を公開します。
『ファンボーイズ』は、『スター・ウォーズ』やルーカスフィルム関連のネタはもちろん、会話やシーンの隅々には様々な映画やテレビ、音楽、ゲームなどのネタのほか、アメリカの特有の文化なども多く含まれています。
アメリカでのお話ということで、中には日本ではあまりなじみがない元ネタもありますが、このあたりは知っているかどうかという話なので、作品そのものの面白さには変わりはありません。これまで気にしていなかったセリフが「あ~、こういうことだったのね!」となってもらえれば幸いです。
このテキストが、『ファンボーイズ』をより深く楽しんでもらうきっかけとなればと思います。
目次
- 1 『ファンボーイズ』パロディ元ネタ/小ネタ/トリビア集
- 1.1 ライトセーバーのサウンドエフェクト
- 1.2 A short time ago in a galaxy not far, far away….
- 1.3 ピカソの青の時代
- 1.4 『ロケッティア』
- 1.5 険悪ムードからの歓迎
- 1.6 パーセク
- 1.7 ウィンドウズ
- 1.8 サラ・ミシェル・ゲラーとジャニーン・ガラファロー
- 1.9 『エピソード1/ファントム・メナス』公開日までのカウントダウン
- 1.10 残っている左のタマ
- 1.11 『トップガン』
- 1.12 「見た目はボロでも感度はいいぜ」
- 1.13 Na-Nu Na-Nu
- 1.14 「マリオカート64」
- 1.15 ルークとレイアのキスについての口論
- 1.16 脱衣ジェダイ・マインドトリック
- 1.17 フェイザー銃
- 1.18 ライナスの部屋の『スター・ウォーズ』グッズの時代考証ミス
- 1.19 「メイベリー110番」
- 1.20 「サンダーキャッツ」
- 1.21 「チューイ!」と言うと助手席に座れる
- 1.22 スレーブ2
- 1.23 ラッシュ
- 1.24 『フィールド・オブ・ドリームス』
- 1.25 アイオワ州リバーサイド
- 1.26 セス・ローゲンの1人3役
- 1.27 リカルド・モンタルバンとカーン
- 1.28 バイアコム
- 1.29 ダース・ベイダーVSボーグ
- 1.30 「新スター・トレック」
- 1.31 バルカン人の耳
- 1.32 「クズと悪徳のみじめな巣窟」
- 1.33 「超人ハルク」
- 1.34 メヌード
- 1.35 『ダーティ・ダンシング』
- 1.36 「BAM!」
- 1.37 「Join me」
- 1.38 「The All-New Super Friends Hour」
- 1.39 『6デイズ/7ナイツ』
- 1.40 ジャバ・ザ・ハット(Java the Hut)
- 1.41 レッド6
- 1.42 ハリー・ノウルズ
- 1.43 T-1000
- 1.44 『バットマン フォーエヴァー』
- 1.45 These aren’t the droids you’re looking for
- 1.46 「ウィーケスト・リンク」
- 1.47 薄汚いナーフ飼い
- 1.48 ビーコン
- 1.49 『メン・イン・ブラック』
- 1.50 ハイパースペース・ジャンプ
- 1.51 ブロックバスター
- 1.52 スパイス・ガールズ
- 1.53 「特攻野郎Aチーム」
- 1.54 「スターゲイト SG-1」
- 1.55 「アルフ」
- 1.56 クリプトナイト
- 1.57 『タイタンの戦い』
- 1.58 「ゼルダの伝説」
- 1.59 ジェイミー・キング
- 1.60 『ベスト・キッド』
- 1.61 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
- 1.62 ジェリー・ライアン
- 1.63 ジャー・ジャー・ビンクスのタトゥー
- 1.64 「あなただけが頼り」「愛している」/「わかっている」
- 1.65 ルーカス・バレー・ロード
- 1.66 エレクトロバイノキュラー
- 1.67 グラップリング・フック
- 1.68 「スクービー・ドゥー」
- 1.69 『ウィロー』
- 1.70 FXライトセーバー
- 1.71 『レイダース/失われたアーク(聖櫃)』
- 1.72 『THX-1138』
- 1.73 「Never tell me the odds」
- 1.74 『ハイランダー 悪魔の戦士』
- 1.75 ゴミ圧縮機
- 1.76 「イヤな予感がする」
- 1.77 エリックが描いたコミックの表紙
- 1.78 ボバ・フェットコスプレのファンを演じたノア・セガンはその後『スター・ウォーズ』に出演
- 1.79 「駄作だったら?」
- 2 『ファンボーイズ』カメオ出演キャスト
- 3 ファンボーイズが着用しているTシャツの元ネタ
- 4 削除されたシーンの出演者
- 5 これからも『ファンボーイズ』を見る際のご参考に!
『ファンボーイズ』パロディ元ネタ/小ネタ/トリビア集
ライトセーバーのサウンドエフェクト
オープニング、制作会社であるザ・ワインスタイン・カンパニーのロゴが現れる時に、ライトセーバー起動時のサウンドエフェクトが使われている。
ザ・ワインスタイン・カンパニーは、経営者であるハーヴェイ・ワインスタインのセクシャルハラスメントが明るみに出たことで倒産会社となった。『ファンボーイズ』には、ハーヴェイ・ワインスタインとボブ・ワインスタイン兄弟もエグゼクティブプロデューサーとしてクレジットされている。この10年間での大きな変化を感じさせる…
A short time ago in a galaxy not far, far away….
『スター・ウォーズ』のオープニングといえば、「A long time ago in a galaxy far,far away….(遠い昔、はるか彼方の銀河系で)」というフレーズでおなじみだが、『ファンボーイズ』では「A short time ago in a galaxy not so far, far away….(ちょっと前、そう遠くない銀河系で)」と始まる。
続くオープニングクロールは、もちろん『スター・ウォーズ』シリーズのパロディ。サブタイトルは「エピソードⅦ RETURN OF THE SAGA」となっている。アメリカ公開当時の2009年には、まさか本当に「スター・ウォーズ エピソード7」が公開されることになるとはつゆ知らず…
オープニングクロールには、「civil war」、「a dark time for」、「hope」など、『スター・ウォーズ』のオープニングクロールで使われている言葉が多用されている。クロールの最後には「iphoneから送信」というオチが付くが、もちろん物語の舞台となっている1998年にはiphoneは存在しないので、これは単なるギャグではなく『ファンボーイズ』公開時点の現代(2009年)から振り返ったストーリーということを表しているのかも知れない…
『スター・ウォーズ』では宇宙から物語が始まって、オープニングクロールが終わるとカメラがパンするが、『ファンボーイズ』では下にパンするとアメリカ、オハイオの夜となる演出である。
ピカソの青の時代
1998年のハロウィンパーティーでゾーイが自身の仮装について言うピカソの青の時代(blue piriod)とは、画家のパブロ・ピカソの青春期の陰鬱な作風の通称のこと。生理用品を使って女性の生理のつらさを表現したということだ。
『ロケッティア』
ボバ・フェットのジェットパックについての話で言及されるのは、アメコミ原作のロケット・パックで空を飛ぶヒーローを描いた、1991年の映画『ロケッティア』。
『ロケッティア』を監督したジョー・ジョンストンは、『スター・ウォーズ』旧三部作でAT-ATなどをデザインし、『スター・ウォーズ』の世界観の構築に大きく貢献した。ボバ・フェットも、ジョー・ジョンストンがラルフ・マクウォーリーとともにデザインしたものだ。
険悪ムードからの歓迎
エリックに対して、ハッチが険悪な雰囲気から一転してハグするのは『帝国の逆襲』のハンとランドの再会の場面に似ている。
このシーンで言われている「You got a lot of nerve showing your face around here」というセリフは、このシーンでランドが言うセリフに近いが、『トータル・リコール』(1990年)にそのまま同様のセリフがある。
パーセク
エリックとの再会のシーンで、しばらくぶりだなという意味で用いられる「It’s been parsecs」というセリフは、『スター・ウォーズ』で恒星間の距離の単位として用いられるパーセクから。
ウィンドウズ
ジェイ・バルチェルが演じるウィンドウズというニックネームは、本名に由来するようだがデカいメガネを常にかけていることから『遊星からの物体X』でトーマス・G・ウェイツが演じた、常にサングラスをかけたキャラクターのウィンドウズが元ネタとなっているようだ。
また、ウィンドウズのヘアスタイルとメガネは、1970年代の若き日のジョージ・ルーカスを連想させる。
サラ・ミシェル・ゲラーとジャニーン・ガラファロー
ウィンドウズがメールのやり取りをしている「ローグリーダー」の容姿は、サラ・ミシェル・ゲラーとジャニーン・ガラファローの中間だという。
サラ・ミシェル・ゲラーは、『ファンボーイズ』の舞台である1998年の時点では映画『ラストサマー』や、テレビドラマ「バフィー 〜恋する十字架〜」の主人公バフィーを演じて人気を博した女優。
また、「スター・ウォーズ 反乱者たち」ではセヴンス・シスターにて声の出演をしている。「反乱者たち」のケイナン・ジャラスを演じているフレディ・プリンゼ・ジュニアは、サラ・ミシェル・ゲラーの夫だ。
ジャニーン・ガラファローは、1998年時点では映画『恋はワンダフル!?』やテレビドラマ「フェリシティの青春」などに出演する女優で、「サタデー・ナイト・ライブ」などに出演していたコメディアン。
「フェリシティの青春」では、ケリー・ラッセル(『スカイウォーカーの夜明け』でのゾーリ・ブリス役)演じる主人公フェリシティが、カセットテープで声の文通をするサリー役をジャニーン・ガラファローが演じているので、ローグリーダーが似ているというのはここから着想を得ているのかも知れない。
『エピソード1/ファントム・メナス』公開日までのカウントダウン
『エピソード1/ファントム・メナス』公開日までのカウントダウンを確認している端末は、パームパイロットのPDAデバイス。
この時点での『エピソード1/ファントム・メナス』公開日までのカウントダウンは「6か月12日8時間と数分」と言っているので、この時点での『エピソード1/ファントム・メナス』公開日である1999年5月21日(実際には、公開2週間前に5月19日に前倒しされた)から計算すると、この日は1998年11月12日であるようだ。11月に入ってもハロウィンパーティーはやるのだろうか…
残っている左のタマ
ハッチの「残っている左のタマ」というセリフは、アメリカでDVDの発売時などのプロモーション用に制作された『ファンボーイズ』のコミックにてその経緯が描かれている。
この『ファンボーイズ』のコミックは映画本編の前日談(プリクエル)であり、舞台は『スター・トレック ファースト・コンタクト』公開時。ハッチはトレッキーとの抗争により片タマをやられるという、ちゃんと本編につながっているストーリー!
本家『スター・ウォーズ』に倣ったスピンオフ展開と言える…
『トップガン』
中古車店のCMについて「テリー・ブラッカイマーだ」という声が上がるのは、映画プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーのこと。劇中で言われているように、ジェリー・ブラッカイマーは『トップガン』をドン・シンプソンとともに製作し、以降様々なハリウッド大作をプロデュース。
『トップガン』はこのほかに、エリックの同僚についてハッチが言う「Talk to me, Goose(教えてくれ、グース)」は、トム・クルーズが演じるマーベリックのセリフに引用されている。
「見た目はボロでも感度はいいぜ」
エリックが働く中古車店での「She may not look like much, but she’s got it where it counts」というセリフは、『新たなる希望』でルークが初めてミレニアム・ファルコンを見た時に、ハン・ソロがファルコンを指して言うセリフと同じ。
Na-Nu Na-Nu
チャズがハッチとウィンドウズたちをからかう時に言う「Na-Nu Na-Nu」の元ネタは、1974年から放送の、50年代のティーンエイジャーを描いたコメディTVドラマの「ハッピーデイズ」。
「ハッピーデイズ」で主役を演じたのは、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』を監督したロン・ハワード。
この「ハッピーデイズ」シーズン5の「My Favorite Martian」に登場した宇宙人・モークの挨拶「Na-Nu Na-Nu」で、チャズはこれをマネている。このモークはロビン・ウィリアムスが演じており、スピンオフシリーズ「モーク&ミンディ」も制作された。
また、ウィンドウズは「ハッピーデイズ」の不良キャラ・アーサー・フォンジーのように「Hey!」と言っている。
「マリオカート64」
ハッチの部屋で遊んでいるゲームは、NINTENDO64のレースゲーム「マリオカート64」。
対戦が熱い「マリオカート」を、ボンクラ仲間で集まって遊ぶ姿にすごく親近感を覚える…
ルークとレイアのキスについての口論
エリックとライナスがアツく語っている中で、ハンを嫉妬させるためにレイアがルークにキスをしたのは2回目、1回目は死にそうになっていた時だと話しているのは、もちろんそれぞれ『帝国の逆襲』と『新たなる希望』での場面のこと。
『帝国の逆襲』でワンパに襲われたルークの見舞いの場での出来事と、『新たなる希望』のデス・スター内のシャフトをグラップリング・フックで渡るシーンを指している。
脱衣ジェダイ・マインドトリック
ハッチがゾーイにしつこくかける「お前はシャツを脱ぎたくなる(You want take yor shirts off)」のジェダイ・マインドトリックは、ゾーイのセリフによると中学2年(eighth grade)の時からやっていたらしい。
リアル中二というわけだ!
フェイザー銃
ウィンドウズが働くコミック店にやってきた2人組のオタクが値段を尋ねたのは、「スター・トレック」に登場する武器であるフェイザー銃。この2人のトレッキーが登場する時には、「スター・トレック」っぽい音楽が流れる!
この2人組の役名は、サイモンとガーファンクルとなっている(ハッチも「Sorry, Garfunkel」と言っている)が、これはもちろんフォーク・デュオのサイモン&ガーファンクルが元ネタ!
ちなみに、ウィンドウズがパソコンを閉じるとジャワの声、コミック店に入店した時にはウーキーの声がする。
ライナスの部屋の『スター・ウォーズ』グッズの時代考証ミス
ライナスの部屋に置いてある『スター・ウォーズ』グッズのうちのいくつかは、1998年当時にはないアイテムがあるという時代考証ミスがある。
ライナスが食べているパルパティーンのPEZ(ペッツ)、またベッドの後ろにある大型のC-3POのPEZは当時まだなく、2005年発売のもの。また、12インチのトーントーンのフィギュアも2002年発売の商品だ。
「メイベリー110番」
「そこにいるオーピーと一緒に行きたくないだけだ」というセリフのオーピーは、1960年~68年に放映されたホームコメディドラマ(シットコム)で保安官一家とその周囲の人間模様を描いた「メイベリー110番」でロン・ハワードが演じた息子のオーピーからの引用。
「サンダーキャッツ」
「ThunderCats, HO!」というセリフは、1985~87年にアメリカで放送された、ネコ科のヒューマノイドの活躍を描いたSFTVアニメシリーズ「サンダーキャッツ」からの引用。
アメリカでは根強い人気があり、2011年には日本のSTUDIO4℃がワーナーブラザースと組んだリ・イマジン版がカートゥーンネットワークで放送され、2020年にも新シリーズ「ThunderCats Roar」が放送されている。
「チューイ!」と言うと助手席に座れる
ハッチの車「スレーブ2」には、「チューイ!」と最初に言った人が助手席に座れるというルールがある。
これは、「ショットガン!」と最初に言った人が助手席に座れるという、大人数で車に乗る時のアメリカの慣わしをアレンジしたもの。チューバッカはミレニアム・ファルコンの副操縦士だから、チューイ=助手席というわけだ。
助手席を英語でShotgunと呼ぶのは、西部開拓時代に馬車の運転席の隣にはショットガンを持って守る人物が座っていたことから来ている。
スレーブ2
ハッチの愛車の名前「スレーブ2」は、もちろんボバ・フェットの宇宙船スレーブⅠが元ネタ。
また、レジェンズとなったコミック「ダークエンパイア」では、『ジェダイの帰還』以降にボバ・フェットが乗る宇宙船としてスレーヴIIが登場している。
スレーブ2は、ミレニアム・ファルコンのエンジン起動時の音がするほか、叩くと電飾が点いたり、トレッキーから逃走する時もウーキーの声を出すなどギミック満載。サイドドアには『スター・ウォーズ』ギャラクシーの言語であるオーラベッシュが書かれており、その意味は「ファンボーイズ」である。
写真は、いずれも「スター・ウォーズ セレブレーション シカゴ 2019」で展示されていたもの。
ラッシュ
ハッチが車の中ではラッシュだけと言っているのは、カナダのロックバンドのラッシュのこと。
これだけハッチが愛しているということで、『ファンボーイズ』の劇中でも「Limelight」と「Tom Sawyer」が使用されている(いずれもアルバム「MOVING PICTURES」収録)。
『フィールド・オブ・ドリームス』
ハッチのセリフ「Some say heaven, I like to call it Iowa」は、『フィールド・オブ・ドリームス』での「Is this heaven?」、「It’s Iowa.」というセリフを元にしたもの。
アイオワ州リバーサイド
アイオワ州リバーサイドは、ハッチが言う通り「スター・トレック」のU.S.S.エンタープライズ船長ジェームズ・T・カークの出身地とされている。
劇中ではカークの出身地はアイオワとしか言及されていないが、リバーサイドの住民の動きにより、ついに原案のジーン・ロッデンベリーがカークの出身地をアイオワ州リバーサイドと認めることになった。
2009年の映画『スター・トレック』では、カークが生まれたのは宇宙空間のシャトル内となったが、育ったのはアイオワ州リバーサイドとなっており、カークの地元には変わりなかった。
セス・ローゲンの1人3役
トレッキーを率いるシーショルツを演じているのは、『グリーン・ホーネット』(2011年)の主役を演じ、『ライオン・キング』(2019年)でプンバァの声を担当したセス・ローゲン。セス・ローゲンは、『ファンボーイズ』でシーショルツのほかにローチとエイリアンの3役を演じている。
ちなみに、シーショルツという役名は『ファンボーイズ』の脚本のアーネスト・クラインの友人のシャーピー・シーショルツから来ており、シャーピー・シーショルツはファンボーイズとトレッキーの抗争シーンでトレッキーのひとりとして出演もしている。
リカルド・モンタルバンとカーン
リカルド・モンタルバンは、「スター・トレック」TVシリーズのエピソード「宇宙の帝王」と映画『スター・トレック2 カーンの逆襲』に登場したカーンを演じた俳優。
『ファンボーイズ』ではカークとカーンの銅像が建てられており、この像の前でファンボーイズの面々とトレッキーの壮絶な戦いが繰り広げられる。
また、セス・ローゲン演じるトレッキーのシーショルツが、破壊された銅像を持って「カーン!」と叫ぶのは、『スター・トレック2 カーンの逆襲』でカークが「カーン!」と叫ぶシーンのパロディだ。
バイアコム
銅像が似ていないと言われたことに対して、シーショルツはバイアコムが訴えると脅してきたからだと言う。
バイアコムは世界的メディア企業であり、当時の「スター・トレック」の権利を有していた。2005年にはバイアコムがCBSと分離し、制作・版権はCBSが持っていたが、2019年に再び統合することになった。
ダース・ベイダーVSボーグ
「ダース・ベイダーは1体のボーグ・ドローンに同化されるぞ」、「ダース・ベイダーはボーグ集合体を念じるだけで握りつぶせる」などと、小学生レベルの言い争いをしているファンボーイズの面々とトレッキー。
ボーグは「スター・トレック」シリーズに登場する、ヒューマノイドを同化する半機械生命体。
また、シーショルツは「ベイダーはぜんそく」と言っているが、自分がぜんそくにかかっていることがわかる。
「新スター・トレック」
そんなボーグが登場するのが1987年から始まった「新スター・トレック」。
ハッチがゲイだと言うピカードは、「新スター・トレック」でパトリック・スチュワートが演じるエンタープライズDの艦長、ジャン=リュック・ピカードのこと。「スター・トレック」シリーズの艦長と副長は、カークとスポックの時代からやおい的な見られ方をしているためなのだろうか…
ピカードを演じたパトリック・スチュワートはイギリス人だが、ピカードはフランス出身の設定なのでシーショルツがイギリス人と言うのは誤り。また、オペラ調でマネされる「Make it so」は、ピカードのセリフで「そうしたまえ」という意味。
バルカン人の耳
長い耳を持つバルカン人である、スポックのコスプレをしたキャラクターの耳が取れ、「My ears!(耳が!)」と叫ぶシーンは、1976年に放送された「サタデー・ナイト・ライブ」のコント「The Last Voyage of the Starship Enterprise」で同様のシーンがあることを連想させる。
「クズと悪徳のみじめな巣窟」
一行の車のタイヤがパンクし、助けを求めにバーに入る時のセリフ「クズと悪徳のみじめな巣窟(Wretched Hive of Scum and Villainy)」は、『エピソード4/新たなる希望』でオビ=ワンがモス・アイズリー宇宙港をルークに教えるシーンの引用。
また、「What in Greedo’s name is that?」というセリフはカンティーナに登場するグリードと掛けている。
「超人ハルク」
ハッチが言う「僕を怒らせるなよ(You won’t like me when I’m angry)」というセリフは、マーベル・コミックを原作に1977年から放送されたテレビドラマ「超人ハルク」からの引用。
メヌード
「メヌードで脱がなきゃならないのか?」「メヌードじゃ出来ないって言うのか?!」のセリフに登場するメヌードは、1980年代に中南米からアメリカで人気を誇ったプエルトリコ発のボーイズグループ。リッキー・マーティンもかつてのメンバーで、16歳になるとグループを脱退・メンバーチェンジしながらグループを継続。この手法は、モーニング娘。も取り入れたと言われている。
この酒場のシーンで流れる楽曲は、メヌードのFuego Fuego。
『ダーティ・ダンシング』
「誰もベイビーを離したりしないさ(Nobody puts Baby in a corner)」というセリフは、ハッチがパトリック・スウェィジに言及しているように、パトリック・スウェィジ主演のダンス青春映画『ダーティ・ダンシング』から。
「BAM!」
ダニー・トレホ演じるチーフが「テレビで覚えた 材料はアボカド、オニオン、ニンニク…BAM!」と言うのは、有名シェフのエメリル・ラガッシの料理番組「エメリル・ライブ」からで、その決めゼリフの引用だ。
このトリップシーンでは、ウィンドウズが『ジェダイの帰還』のサレシャス・クラムの声になったり、イウォークが腰振っていたり、ハイパースペースやオープニングクロール、フォースを彷彿とさせるなど、『スター・ウォーズ』ネタも満載だ。
「Join me」
トリップしたエリックの幻覚の中で、父がエリックの腕をライトセーバーで切り落とし「Join me son. Come to the darkside」と言うシーンは、もちろん『帝国の逆襲』でダース・ベイダーがルークの手をライトセーバーで斬り「私がお前の父だ」と告白するシーンからの引用。
「The All-New Super Friends Hour」
ハッチとチーフが拳を合わせる時に「Wonder Twin powers, activate!」と言うのは、1977年から放送されていた、スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンといったDCコミックキャラクター大集合のハンナ・バーベラプロダクション制作のTVアニメ 「The All-New Super Friends Hour」に登場する、双子の宇宙人ヒーロー・ワンダーツインズの変身時のセリフが元ネタ。
『6デイズ/7ナイツ』
「ハン・ソロとインディアナ・ジョーンズ、デッカードを演じた役者だ! 駄作なんか1本もないぜ!」とハリソン・フォードは映画史上最高の名優だと談義する後方に、看板が大写しになる映画はハリソン・フォード主演の1998年の作品『6デイズ/7ナイツ』。
『6デイズ/7ナイツ』のよろしくない評判を元にした、イヤミなギャグだ!ただ、『6デイズ/7ナイツ』はアメリカで1998年6月公開なので、秋の時期まで看板が残っているのだろうか…
デッカードはもちろん『ブレードランナー』でのハリソン・フォードの役名だ。
ジャバ・ザ・ハット(Java the Hut)
ウィンドウズがメル友のローグリーダーと会うのは、「Java the Hut」というジャバ・ザ・ハットがコーヒーカップを持ったマークのコーヒーショップ。
「Java the Hut」は、ジャバ・ザ・ハットのパロディでもあり「ヴェロニカ・マーズ」でクリスティン・ベル(ゾーイ役)が演じたヴェロニカ・マーズが働いているコーヒーショップと同じ名前でもある。
また、ルーカスフィルムには「Javva the Hutt」というコーヒーショップもある!
レッド6
ウィンドウズがローグリーダーに名乗っていたと思われるハンドルネームはレッド6。
レッド6は、『新たなる希望』でジェック・ポーキンスのコールサインだ。ウィンドウズはジェック・ポーキンスが好きだったのだろうか…
ハリー・ノウルズ
一行の前に姿を現すハリー・ノウルズは実在の人物で、劇中で言及されるようにアメリカの映画オタクサイト「Ain’t It Cool News」の運営者。よくリーク情報が入ることで、ハリウッドでも一目置かれていた。『ファンボーイズ』では物理的にメッチャ強い!
T-1000
ハリー・ノウルズが、「姪っ子に今度ちょっかい出したらT-1000で抹殺する」と言ったのは、。ジェームズ・キャメロン監督、アーノルド・シュワルツネッガー主演『ターミネーター2』で、ロバート・パトリックが演じた液体金属のターミネーター、T-1000から。
『スター・ウォーズ』と縁が深いILMが制作したT-1000のCGは当時画期的で、1991年のアカデミー視覚効果賞を受賞した。
『バットマン フォーエヴァー』
ハリー・ノウルズが「そいつはバットマンの乳首よりも笑える」と言うのは、『バットマン フォーエヴァー』で全作からリニューアルされたバットスーツに乳首が付いていることが元ネタ。
These aren’t the droids you’re looking for
ハッチがハリー・ノウルズに対してジェダイ・マインドトリックの手つきとともに言う「These aren’t the droids you’re looking for」は、『新たなる希望』でオビ=ワンがモス・アイズリー宇宙港でサンドトルーパーにかけたジェダイ・マインドトリックのセリフと同じ。
「ウィーケスト・リンク」
ハリー・ノウルズとのクイズ対決で、ハリーがエリックに言う「ウィーケスト・リンク」とは、世界各国で放送されているクイズ番組「ザ・ウィーケスト・リンク」から。
1チーム、1人1問ずつ答えていく形式のクイズで、日本でも伊東四朗の司会で「ウィーケストリンク☆一人勝ちの法則」として2002年に放送された。
薄汚いナーフ飼い
ハリー・ノウルズが教えてくれる「Scruffy Nerf herder」というパスワードは、『帝国の逆襲』でレイアがハン・ソロに言った「Scruffy looking Nerf herder(薄汚いナーフ飼い)」に由来。ナーフとは、『スター・ウォーズ』世界の家畜動物で、「ナーフ飼い」は侮蔑の言葉となる。
ビーコン
パトカーに追跡され、帝国のビーコンが付けられたと言うのは『新たなる希望』でデス・スターを脱出したミレニアム・ファルコンにビーコンが付けられ、ヤヴィン4の反乱軍基地まで追跡されたことから。
ちなみにチーフからもらってヴァンに積んでいたペヨーテは、サボテン由来の幻覚剤。
『メン・イン・ブラック』
パトカーに追われ、ハッチの「スレーブ2」の押してはならない赤いボタンを使用するのは、ウィル・スミス、トミー・リー・ジョーンズ共演の『メン・イン・ブラック』の赤いボタンのパロディ。
ハイパースペース・ジャンプ
この赤いボタンを押すと、「スレーブ2」は一気に加速!
「チューイ、ハイパースペース・ジャンプの準備をしろ」といったセリフや効果音、起動が失敗するミレニアム・ファルコンのお約束、またR2-D2の悲鳴の電子音や、『新たなる希望』でYウィングパイロットのポップスが言っていた「Stay on target(照準を維持)」のセリフ、ハイパースペース突入時の軌跡など、ミレニアム・ファルコンのハイパースペース・ジャンプの要素が多数登場。
さらに、「スレーブ2」が衝突する警察の看板「JOIN THE POLICE FORCE(警察に入隊しよう)」がベイダーの形にくり抜かれ「JOIN THE FORCE」になってしまった上に、ダース・ベイダーの呼吸音まで使用!
ブロックバスター
父とのことがあり、センチメンタルになるエリック。この場所で暮らしてみたらと思いにふける時に、500マイル以内にブロックバスタービデオもないだろうというセリフがある。
このブロックバスターは、アメリカにあったビデオレンタルチェーン店のこと。1998年当時、オタクな彼らにとってはレンタルビデオ店がないことはかなりツラいはずで、日本で言えばTSUTAYAもないエリアに住むことを想像するようなものだろう。
ブロックバスターは、オンラインへの対応が遅れて2010年に倒産してしまった。
また、この時のエリックは「カーボナイト凍結されたみたいに動かない」と形容されている。
スパイス・ガールズ
ハッチがエリックに「お前のデス・スターを見つけろ」とイイことを言った後に、ゾーイが男たちに言う「スパイス・ガールズ!一日中レシピ交換でもしてるの?」というセリフにあるスパイス・ガールズは、1990年代に一世を風靡したイギリスの女性グループ。
サッカー選手のデビッド・ベッカムの妻、ヴィクトリアもスパイス・ガールズの元メンバー。
「特攻野郎Aチーム」
ハッチのバンの中で葉巻をくわえるゾーイは、テレビドラマ「特攻野郎Aチーム」のリーダー、ハンニバルのマネ。
「スターゲイト SG-1」
「ファンボーイスタイルでベガスを楽しむぜ!」と言って、ラスヴェガスのホテルでウィンドウズが見ていたのは「スターゲイト SG-1」。1994年のカート・ラッセル主演映画『スターゲイト』の後日談を描いたTVドラマシリーズだ。
世界最長SFドラマとしてギネスブックにも登録されているので、『スター・ウォーズ』や『スター・トレック』が好きなSFオタクならばやはり見ているのかも知れない。
劇中で放送されていたのは、シーズン1 第8話「四次元の妖精(The Nox)」、シーズン4 第67話「レプリケイター地球侵入(Small Victories)」、第87話「コピー・ロボット(Double Jeopardy)」の3本。
「アルフ」
ハッチがあまりにも毛むくじゃらなので、「アルフの上に転んだの?」と言われるのは、宇宙人アルフが居候になるホームコメディドラマの「アルフ」が元ネタ。日本ではNHK教育でも放送されていた。
クリプトナイト
ウィンドウズが女性が苦手と話す際の「Female Kryptonite」は、「スーパーマン」でのスーパーマンの弱点・クリプトナイトにかけてウィンドウズが女にはからっきしというのを表現している。
『タイタンの戦い』
ゾーイが好きな映画として挙げられるのは、2010年にリメイクもされ、2012年にその続編も公開された『タイタンの戦い』(1981年)。レイ・ハリーハウゼンの特撮が光る作品で、これが好きだと言うゾーイのオタクっぷりがわかる。
また、ゾーイは『007』シリーズの悪役も全部知っているという。
「ゼルダの伝説」
同じくゾーイが全作をクリアしているというのは、任天堂のアクションRPGシリーズの「ゼルダの伝説」。
ファミコン、スーパーファミコン、ゲームボーイ、NINTENDO64、Wii、ニンテンドーDSなど、任天堂の歴代ハードに渡ってシリーズを展開している。1998年までなら、まだタイトル数は多くないので全作クリアは出来そうだ。
ジェイミー・キング
ラスベガスのシーンに登場するアンバーを演じるのは、ジェイミー・キング。
ジェイミー・キングはモデルとして活躍し、映画では『パール・ハーバー』や『シン・シティ』などに出演。『ファンボーイズ』のカイル・ニューマン監督の妻である。
また、「スター・ウォーズ クローン・ウォーズ」ではオーラ・シング役で声の出演も果たしており、カイル・ニューマン監督作『ベアリー・リーサル』にも出演。
『ベスト・キッド』
ハッチがラスベガスのカジノでアンバーたちを口説こうとするシーンで、ハッチが言った「オルデランで恋をお探し?」に「オルデランはデス・スターに破壊された惑星で…」とウィンドウズがオタク知識をかぶせてきたのをごまかすために言う「ダダダダダダ!ダニエルさん!」は、『ベスト・キッド』(1984年)のミヤギ(パット・モリタ)がダニエル(ラルフ・マッチオ)を呼ぶ時のモノマネだ。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
ハッチがアンバーに、車はベントレーでフラックス・キャパシター付き、1.21ジゴワットなんだと話しているのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場のデロリアンが搭載している次元転移装置のこと。作動させるのに必要な電力が1.21ジゴワットだ。