Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第6話「侵入」レビュー/トリビアチェックポイントです。
この記事では、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第6話「侵入」のストーリーやレビュー(感想・考察・批評)、トリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。
この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第6話「侵入」の本編鑑賞後にご覧ください。
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン1、シーズン2、またファイナル・シーズンの他のエピソードについては、以下のカテゴリーからご参照ください。
目次
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第6話「侵入」レビュー
クローン・トルーパーたちの抵抗活動と、謎の襲撃者再び
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」では、シリーズを通してバッド・バッチ以外のクローン・トルーパーたちの動向も描いてきた。
共和国から帝国へと変貌する中で、ウォー・マントル計画によって集められたTKトルーパーと入れ替えられていくクローン・トルーパー。そんな中で、オーダー66を疑問視する者が出始め、カミーノのティポカ・シティ崩壊を経て帝国軍への疑念を抱いたクローン・トルーパーたちは、帝国に反乱を起こす地下レジスタンス組織を結成。
バッド・バッチのエコーは、レックスが率いるこの組織に加わるようになったわけだ。
主に「バッド・バッチ」シーズン2 第7話「クローン謀議」、第8話「真実と結末」にてレックスらの組織、クローン・アンダーグラウンドの奮闘が語られていたが、このファイナル・シーズン 第6話「侵入」は、その続編的なエピソードとなる。
それは「クローン謀議」と「真実と結末」でストーリーを動かす重要な役割を担っていたリヨ・チューチー(ライヨ・チューチー)議員が、かつての敵であったアヴィ・シン議員とともに、引き続きパルパティーン皇帝の圧政に対抗しようとしているところを、謎のクローンXトルーパーが襲撃する冒頭から印象付けられている。
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第6話「侵入」ストーリー
リヨ・チューチー議員とアヴィ・シン議員の密談の場を襲撃したクローンXトルーパー、CX-1はクローン・アンダーグラウンドにより捕らえられた。
レックスは、CX-1をテスにあるボマーの修道院の跡地を利用した基地に連れ帰り、さらにCX-1が持っていた暗号化されたデータ・パックをファイアボールに調べさせる。
ウェイランドのタンティス山の帝国軍施設では、スコーチが別のクローンXトルーパーを起動し、捕らえられたCX-1を探して「無効化」するよう命じた。
情報を引き出させないようにした自害用のエレクトロ・カプセルを取り出したものの識別番号も消されており、口を開かないCX-1だったが、タンティスの名前が出るとわずかに反応する。
ファイアボールによると、暗号化されたデータ・パックは標的リストがあり、そこには襲撃されたアヴィ・シン議員に加えてオメガも載っていた。
レックスから急用と呼ばれたバッド・バッチもテスに到着。レックスとハウザーに出迎えられる一行だったが、ハウザーはライロスでの出来事からクロスヘアーへの敵意を露わにする。
一方、囚われたCX-1に埋め込まれているビーコンを追ってクローンXトルーパー、CX-2もテスに到着。
レックスは、バッド・バッチの面々に帝国軍の標的リストにオメガが載っていることを伝える。オメガは自身が以前に狙われた理由として、ナラ・セにM値についての実験をさせるためだったと明かす。
さらにクロスヘアーは、タンティスに帝国へ忠誠を誓うクローンの師団があるという情報を話す。ドクター・ヘムロックの極秘潜入プログラムを受け、特殊工作員として鍛えられているというのだ。アイデンティティを消去され、特殊な調整を施され、これを耐え切った者は別人として生まれ変わるというのだ。
クロスヘアーも特殊工作員にされかけたというが、欠陥があったことで上手くいかなかったという。
レックスが、その特殊工作員を1人捕らえていることを明かすと、クロスヘアーは普通のスキャンでは探知出来ない追跡装置が工作員に埋め込まれており、帝国に突き止められると警告する。
テスのボマーの修道院内に侵入したクローンXトルーパー、CX-2はオメガがここにいることを認識。これを報告し、回収班がやって来ることに。
捕らえたCX-1と面会したレックスやバッド・バッチの一行。CX-1は、情報はクロスヘアーが知っていることをほのめかす。
そんな時、CX-2により各所に仕掛けられた破壊工作が始まった…
緊迫感のあるサスペンスを高める演出
かつては敵同士だった議員たちの反乱の密談に迫る襲撃者。これを阻むクローンのレジスタンスたちの攻防。さらに敵の元から帰って来たものの、これまでの行いから高まるクロスヘアーへの疑念。
全編通してスピーディーで緊迫感のある、純度の高いサスペンスが楽しめるエピソードだ。
アクションでのカッティングはスリリングなシーンを鋭く盛り上げ、また歴戦のクローン・トルーパーたちと特殊工作員であるクローンXトルーパーのすばやく、的確な身のこなしアニメーションは現実離れし過ぎない範囲で、彼らがいかに手練れかを上手く表現している。
おそらくアクションの動作については、実写での演技や現実の戦闘での所作に至るまで、研究を重ねているに違いない。
バッド・バッチやレックスだけではなく、「クローン・ウォーズ」や「バッド・バッチ」にこれまで登場したクローン・トルーパーや、謎の強敵であるクローンXトルーパーもその脅威を再び表すなど、様々なクローン・トルーパーの登場も楽しいところだ。
音楽も抑制が効いていて、またこのエピソードに限ったことではないがライティングも絶妙。
暗い屋内のシーンが多く、各キャラクターに陰影を付けたライティングは疑念が渦巻き、危険と隣合わせの状況が表れているようだ。闇の中でうごめく襲撃者や、暗くて表情が見えにくいクローンたちなど、影の使い方が演出効果を上げている。
特に、これまで帝国軍に与してきたクロスヘアーはこのエピソードのキーとなるキャラクターと言え、彼の顔に光と影の面が出来るようにライティングされているカットに注目したい。
転向者へと向けられる疑念
クロスヘアーはハウザーから露骨に敵意を向けられ、CX-1のセリフによってその他のトルーパーや、視聴者にもクロスヘアーは何を、どこまで知っているのかと疑念を持たれることになる。
これは優秀な兵士でありたいと思い、帝国軍に残ることを選び、結果的に多くの人々を苦しめることになったクロスヘアーの罪に対する罰だろう。
『スター・ウォーズ』では、善と悪の間を行き来するキャラクターは多く、彼らのドラマが大きな見どころとなっている。
わかりやすいところではアナキン・スカイウォーカーやベン・ソロがいるし、フォースのライトサイドとダークサイドとは無縁でも、「スター・ウォーズ レジスタンス」のタムことタマラ・リヴォーラは、現状への不満や周囲への不審からファースト・オーダーへ転向し、残虐性に気付いて戻って来るまでがシリーズを通して描かれている。
ただ、いずれも転向したところまでがドラマとなっているので、転向者がその帰還後、敵対勢力に所属していたことや、そこでの行いを責められる描写はなかった。
「バッド・バッチ」は3シーズンにも及ぶということで、転向者であるクロスヘアーがこの疑いの目を受け続けていくところにも時間が設けられ、これまでになかったドラマが見られそうだ。
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第6話「侵入」トリビアチェックポイント
アヴィ・シンとGS-8
レックスに伴われてリヨ・チューチー(ライヨ・チューチー)の元へ案内されているのは、アヴィ・シン元老院議員と彼のドロイドであるRA-7プロトコル・ドロイドのGS-8だ。
アヴィ・シンとGS-8は、「バッド・バッチ」シーズン1 第10話「対等な仲間」に登場。
分離主義元老院議員だったアヴィ・シンは、クローン戦争後に独立星系連合の中心地であったラクサス・セカンダスを治めていたが、帝国軍に占領されて傀儡になることを拒否した。
これにより帝国に連行されたアヴィ・シンを救うべく、GS-8はバッド・バッチにアヴィ・シン元老院議員の救出を依頼。
かつての敵である分離主義者を救うことに躊躇するバッド・バッチだったが、この任務によってアヴィ・シンとGS-8は助け出された。
リヨ・チューチー(ライヨ・チューチー)
アヴィ・シンの密談の相手は、リヨ・チューチーだ。
リヨ・チューチーは「クローン・ウォーズ」シリーズを通じて随所に登場した、パントランを代表する元老院議員。
「クローン・ウォーズ」シーズン1 第15話「侵入者」から始まるストーリーでは、オルトー・プルトニアにて先住していたタルズとパントランの間の和平に貢献。
また、シーズン3 第4話「惑星封鎖を解き放て」から始まるパントラが通商連合によって封鎖されたことに端を発した分離主義者の陰謀の際には、パパノイダやアソーカ・タノとともに立ち向かい、パパノイダの娘であるチー・イクウェイとチェ・アマンウェの誘拐事件も封鎖とともに解決した。
「バッド・バッチ」シーズン2 第7話「クローン謀議」、第8話「真実と結末」ではクローン戦争後のリヨ・チューチーの活動が見られる。
帝国元老院にてクローン・トルーパーたちの権利の保全を主張し、カミーノ崩壊の真相を聞いて防衛徴兵法案の成立を阻止しようとした。
ハウザー
レックスが率いるクローン・トルーパーの地下レジスタンス組織であるクローン・アンダーグラウンドのメンバーの中には、「バッド・バッチ」シーズン1 第11話「悪魔の契約」、第12話「ライロスからのSOS」に登場したクローン・トルーパーのキャプテンであったハウザーがいる。
ハウザーは、帝国軍のランパート中将からチャム・シンドゥーラの信奉者を全員捕らえるよう命令を受けるが、守ると誓ったライロスの人々を標的とする命令には従わないと帝国に背く。
「バッド・バッチ」シーズン2 第14話「転換点」では、これによって帝国に捕らえられていたハウザーがバルモーラの帝国軍施設から移送される際に、エコーらによって救出される。
そのままハウザーは、レックスやエコーの組織に入ったというわけだ。
ネメック
「バッド・バッチ」シーズン2 第14話「転換点」でハウザーを救出した緑色のマーキングが入ったアーマーを着用したクローン・トルーパーのネメックも、このファイナル・シーズン 第6話「侵入」でレックスが率いるクローン・アンダーグラウンドのメンバーとして登場している。
テスのボマー・オーダーの修道院
レックスが率いるクローン・アンダーグラウンドが基地としている場所は、テスのボマー・オーダーの修道院だ!
テスのボマー・オーダーの修道院は、劇場版『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』に登場。
ジャバ・ザ・ハットの息子ロッタが、ズィロ・ザ・ハットと独立星系連合によってここに誘拐されており、アナキン・スカイウォーカーとアソーカ・タノら共和国軍との間で戦闘が起きた。
「バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第6話「侵入」では、荒れ果てて放棄されていたテスのボマー・オーダーの修道院をレックスたちが基地として使用しており、「クローン・ウォーズ」がスタートした時から見ているファンにとっては、なつかしさまでも感じさせるだろう。
タトゥイーンのジャバの宮殿もボマー・オーダーの修道院であるため、そのデザインは似通っている。
グレガー
テスへ向かうレモラの船内で、ハンターはエコーにグレガーとの合流が最優先ではなかったのか尋ねている。
グレガーは、「クローン・ウォーズ」シーズン5 第12話「生きていた兵士」にて登場。
搭乗していたシャトルが戦闘により惑星アバファーに流れ着き、自身がクローン・トルーパーである記憶を喪失してしまったグレガーは、サラスタンのボーガスによって食堂で働かされていた。
しかし、共和国軍のガスコン大佐やR2-D2のいるD分隊と遭遇したことで、本来のクローン・トルーパーとしての自己を取り戻し、D分隊と共和国軍を救い出すことに成功するものの、爆発の中に消えていった。
しかし、「反乱者たち」シーズン2 第3話「消えた戦士たち」にてグレガーはレックスとともに引退生活を送っており、アバファーでの出来事を生き延びていたことが判明。
「バッド・バッチ」第14話「ウォー・マントル」では、惑星ダロでグレガーはクローン・コマンドーとしてTKトルーパーたちの指導にあたっていたが帝国に背いて囚われてしまう。レックスに入った救難信号により、バッド・バッチはグレガーを救出。
「バッド・バッチ」シーズン2 第14話「転換点」で、グレガーはエコーらとともにハウザーらを救出している。
「バッド・バッチ」ファイナル・シーズン 第6話「侵入」にグレガーは登場しないものの、食事を用意したファイアボールがグレガーのレシピに自分なりのスパイシーな改良を加えたと言っているなど、随所にその存在が感じられる。
グレガーはアバファーの食堂で働いていたことで、料理が出来るのだろう…
ウォルフ
オメガ回収のため、クローン・コマンドーとTKストームトルーパーを率いているのは、「クローン・ウォーズ」の数々のエピソードに登場したウォルフだ。
プロ・クーンの元でウルフパック分隊を率いたウォルフは、アサージ・ヴェントレスとの交戦の際に右目を失ったことによる、サイバネティックスの義眼が特徴。
グレガーと同様に、ウォルフは「反乱者たち」シーズン2にてレックスとともに引退生活を送っているため、「バッド・バッチ」の時点では帝国軍の元にいるが、いずれは離脱することになるのだろう。
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」はDisney+ (ディズニープラス)で配信中。
2005年より「スター・ウォーズ ウェブログ」を運営。「『スター・ウォーズ』究極のカルトクイズ Wikia Qwizards<ウィキア・クイザード>」世界大会優勝者。ディズニープラス公式アプリ「Disney DX」のオリジナル動画や記事など、様々な出演/執筆も行っています。2010年、『ファンボーイズ』日本公開を目指す会を主宰しました。