Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2 第16話「プラン99」レビュー/トリビアチェックポイントです。
この記事では、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2 第16話「プラン99」のストーリーやレビュー(感想・考察・批評)、トリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。
この記事はネタバレがございますので、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2 第16話「プラン99」の本編鑑賞後にご覧ください。
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2の他のチャプターのエピソード、またシーズン1のエピソードは、以下のカテゴリーからご参照ください。
目次
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2 第16話「プラン99」レビュー
自己犠牲と離別!バッド・バッチ苦難の結末
前編である第15話「サミット」から引き続いて、いきなり絶体絶命のピンチから始まる「バッド・バッチ」シーズン2 第16話「プラン99」は、シーズン2最終話にしてバッド・バッチのメンバーがかつてない窮地に立たされる。
そして主要キャラクターの安否も含めて次のシーズンへと引っ張っていく、これぞクリフハンガーというエピソードだ!
ドクター・ヘムロックを追跡し、クロスヘアーをはじめとしたクローン・トルーパーの収監先をつかむため、ヘムロックが出席するサミットが開かれるエリアドゥのレイヴンズ・ピークへ向かったバッド・バッチ。
だが、そのサミットを狙ってソウ・ゲレラがレイヴンズ・ピークを爆破。追跡装置を取り付けたドクター・ヘムロックの宇宙船も爆炎に包まれ、バッド・バッチは潜入の際に使用したレールカーに乗って脱出を図るも、爆破の影響で動力が消失。レールカーは停止してしまう。
テクはレールカーの上部にある端末を操作して再起動に成功。しかしVウィングの攻撃によってレールカーの後部がレールから外れ、テクはかろうじてぶら下がる状態に。
他の仲間を救うため、テクは「プラン99」を実行してレールカーの連結部を銃撃。自らを犠牲にしてレールカーの後部を切り離すことで、レールカーの前部をレールに戻して仲間たちを脱出させた。
制御を失ったレールカーの衝突で傷ついたオメガを抱え、バッド・バッチは医療ドロイドであるAZI-3がいるオード・マンテルに帰還。オメガは目を覚ますが、テクを失ったことに激しく動揺する。
さらに苦難は続く。シドが帝国と取引したことにより、バッド・バッチはドクター・ヘムロックが率いる帝国軍に包囲される。ハンターとレッカーがクローン・コマンドーに拘束される中、オメガとAZI-3はシドのパーラーを密かに脱出。
オメガはAZI-3にエコーを呼びに向かわせつつ、ハンターとレッカーを連行するドクター・ヘムロックらの前に姿を現すが、クローン・コマンドーの奇襲により捕らえられてしまう。
連行されるハンターとレッカーの前には、味方であるはずの帝国軍を攻撃するAT-ACが現れ、帝国軍のトルーパーたちを一掃。
ハンター、レッカー、エコー、AZI-3はオメガの元へと急ぐも、ドクター・ヘムロックとオメガを乗せたシャトルは離陸してしまう。一行は、なんとかマローダーでオード・マンテルを脱出する…
『エピソード5/帝国の逆襲』と同じ、クリフハンガーエピソード
前編となる第15話「サミット」は大きな前振りとなっており、この第16話「プラン99」で起きる出来事のお膳立てという役割があったことがわかる。
パブーから出発する際にテクとフィー・ゲノアが交わす会話も、ゲーム用語で言うところのいわゆる「フラグ」を立てるシーンだったというわけだ(テクとフィー・ゲノアのロマンスはシーズンを通して見てもやや唐突な印象を感じたが、それはさておき)。
テクは高所から落下して行方不明、「いつかやると思っていました」なシドはついに裏切りを働き、オメガはクロスヘアーとともにドクター・ヘムロックがクローン・トルーパーを実験体として扱っているタンティスの帝国軍施設に収容されるなど、バッド・バッチは離れ離れとなった上に、エメリー・カーから姉妹であるとオメガは衝撃の事実を告げられ、大きな試練の時を迎えるというシーズン2の幕切れとなった。
絶体絶命の状況に陥り、ヒーローたちが手ひどい敗北を喫して仲間は連れ去られ、自らの血縁に関わる事実の暴露を受けて幕を閉じるというエンディングは、『スター・ウォーズ』ファンにとってなじみ深いものだろう。
そう、『エピソード5/帝国の逆襲』と同じ結末だ!
この「バッド・バッチ」シーズン2の結末に衝撃は受けても、悲嘆したり、落胆することなどない。続編を前提としたクリフハンガー(シーズンの最終話で、続きが気になる展開で終わらせて次のシーズンへの興味を惹く作劇)であるため、これは「バッド・バッチ」シーズン3の第1話までのタメなのだ。
テクのゴーグルしか見つからなかったということは、まぁそういうことだろう。
実際、このシーズンエンドを見させられると「バッド・バッチ」シーズン3への期待は膨らむ。
「バッド・バッチ」シーズン1が2021年5月に配信開始され、シーズン2はその約1年半後である2023年1月から配信された。『エピソード5/帝国の逆襲』の続きを3年間待つ必要があったことに比べれば、あせらずともその半分程度の時間で続きが見られるかも知れない。
つくづく、劇場長編映画で、しかも他にこうした結末の続編映画の例がなかった時にクリフハンガーを展開した『エピソード5/帝国の逆襲』は偉大だ。
「スター・ウォーズ セレブレーション ヨーロッパ2023」では、現地時間4月10日(月)に「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」のトークパネルが行われる。「バッド・バッチ」シーズン3の告知も、この場で発表になることだろう。
※追記:本稿の公開後、「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン3は2024年に配信されることが発表された。「バッド・バッチ」はシーズン3が最終シーズンとなり、イアン・マクダーミドによるパルパティーンや、フェネック・シャンドが再登場することも明かされている。
シーズン2を経て、シーズン3の見どころは大きく膨らむ
「バッド・バッチ」シーズン2の全16話を振り返ると、バッド・バッチのメンバーそれぞれが生きる道を選んでいくことが軸となったシーズンだと思える。
クローン・トルーパーが排斥されていく彼らにとって過酷な時代となったことがより鮮明となる中で、故郷や帰るべき場所を失ったバッド・バッチやオメガは何のために、どのように生きていくべきかを探していった。
エコーはその中で、レックスとともに帝国軍とより積極的に立ち向かう道を選んだ。
もう1人のバッド・バッチであるクロスヘアーは、帝国軍が支配する時代の流れを読み、一足先に軍人としての生き方を続けると決めたものの、クローン・トルーパーを排斥する情勢となったことで地獄巡りをして間違いに気付く。
バッド・バッチは安住の地となりそうなパブーを見つけ、兵士をやめようと決心しかけたものの、かつての部隊の仲間を見捨てることは出来なかった。どのような道を選ぶのかと逡巡する中で、時代の流れはひとつの道しか選ばさせてくれなかったわけだ。
クロスヘアーが主人公となるエピソードのほか、クローン・トルーパーが斜陽を迎える過程のストーリーは、その暗さが鈍く光っているし、財宝探しやレース、巨大怪獣といったエンタテインメントに振ったエピソードも存在感があり、総じて粒ぞろいのエピソードが揃ったシーズンだと思う。
一方で、シーズン1を通して提示された帝国によるカミーノアンのクローニング技術の利用やオメガに関する謎は大きな進展はなく、かなり引っ張った印象だ。シーズン1からのクローン関連のミステリーへの期待値が高かった方にとっては、肩透かしに感じるかも知れない。
しかしその分、その謎に迫るお膳立ては揃った。ウェイランドのタンティス山の帝国軍施設には、オメガとクロスヘアー、カミーノアンのクローン技術者であるナラ・セ、クローンを実験体として扱うというドクター・ヘムロック、さらにオメガと同じジャンゴ・フェットの遺伝子を用いられた姉妹であるエメリー・カーが集まることに。
「バッド・バッチ」シーズン3では、オメガの出生や、帝国がクローン技術で何をしようとしているのかなどの謎に迫ることになるだろう。
そしてオメガの奪回を誓うハンターら残されたバッド・バッチの執念の追跡、テクの行方と、その見どころはシーズン2を経て大きく膨らんだ。
次のエピソードを待つ時間も、連続シリーズの楽しみ方のひとつである。
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」シーズン2 第16話「プラン99」トリビアチェックポイント
プラン99
Vウィングからの攻撃を受けて、レールから外れて折れ曲がったレールカーの後部にぶら下がるテクは、他の仲間を救うため自ら連結部を銃撃。自らとともにレールカーの後部を落下させることで、レールカーの前部をレールに戻して脱出させた。
その決断をする際にテクが発した言葉は「プラン99」。「バッド・バッチ」シーズン2 第14話「転換点」でクロスへアーが使っていた「プラン88」と同じく、バッド・バッチが使っているコードだと思われるが、「99」という数字からはクローン・フォース99が敬意を込めて部隊名に用いたクローン99を思い起こさせる。
クローン99は、「クローン・ウォーズ」シーズン3 第1話「トルーパーへの道」、第2話「誇り高き兵士たち」に登場し、遺伝子異常がありながらも誇りと勇気を持ち、自己犠牲の精神を示して兄弟であるクローン・トルーパーを支えた。
自らを犠牲にして部隊を救うというテクが下した「プラン99」は、バッド・バッチと同じく遺伝子異常があったこのクローン99の最後の行動をリスペクトして名付けられたのかも知れない。
AT-AC
オード・マンテルの路上に現れたウォーカーは、この「バッド・バッチ」シーズン2 第15話「サミット」で初登場となったAT-ACだ。
二本脚のウォーカーであるAT-ACは、AT-STや「反乱者たち」に登場したAT-DPへ至る過程の機種のようである。
オード・マンテルの看板
オード・マンテルの街中にある看板のオーラベッシュからは、興味深い店名が読める。
まず、「JJダイナー」は「バッド・バッチ」シーズン2 第4話「ライオット・レース」にて、サファ・トーマのライオット・レースのコース内に広告が表示されていた店舗だ。「JJ」は、『フォースの覚醒』、『スカイウォーカーの夜明け』の監督を務めたJ.J.エイブラムスが由来だろうか?
また、「ブッフォのブラーグ・バーガー」という店舗の看板も。
ブラーグは、「バッド・バッチ」シーズン1 第11話「悪魔の契約」や「クローン・ウォーズ」や「反乱者たち」、実写では「マンダロリアン」に登場した騎乗出来る生物(もとももとは『エンドア/魔空の妖精』に登場)。
このブラーグの肉を用いたバーガー店なのだろう。この看板によるとブラーグのバーガーは、「ブラーガー」と呼ぶようだ。
「スター・ウォーズ:バッド・バッチ」はDisney+ (ディズニープラス)で配信中。
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2005年より「スター・ウォーズ ウェブログ」を運営。「『スター・ウォーズ』究極のカルトクイズ Wikia Qwizards<ウィキア・クイザード>」世界大会優勝者。ディズニープラス公式アプリ「Disney DX」のオリジナル動画や記事など、様々な出演/執筆も行っています。2010年、『ファンボーイズ』日本公開を目指す会を主宰しました。