Disney+ (ディズニープラス)で配信中の「キャシアン・アンドー」第9話「誰も聞いちゃいない!」レビュー/トリビアチェックポイントです。
この記事では、「キャシアン・アンドー」第9話「誰も聞いちゃいない!」のレビュー(感想・考察)やトリビアの解説といった、このエピソードをより深く知るためのテキストを綴っています。
この記事はネタバレがございますので、「キャシアン・アンドー」第9話「誰も聞いちゃいない!」の本編鑑賞後にご覧ください。
「キャシアン・アンドー」シーズン1の他のエピソードは、以下のカテゴリーからご参照ください。
目次
「キャシアン・アンドー」第9話「誰も聞いちゃいない!」レビュー
ISBで存在感を増すデドラ・ミーロ。帝国における有能さとは、邪悪であること
帝国の非道さは次々と明かされていき、人々は苦しめられていく。希望は薄く、これまでにも増して陰鬱さにあふれたエピソードだ。
フェリックスのISBが拠点としているホテルに囚われたビックス・カリーンは、デドラ・ミーロによる尋問と、新しく登場したドクター・ゴーストからの拷問を受ける。
ここでのデドラ・ミーロにはもはや、組織の中での足の引っ張り合いに苦戦していた様子は伺えず、帝国に敵対する者の自由を奪い、非人道的な扱いをする体制の人間でしかない。
ISB内でのデドラ・ミーロの逆転劇に共感した視聴者も、ここまで来れば気付く。職務に忠実に働いている有能な彼女によって、苦しんでいる人々がどれだけいるのかということに。ひとつの側面から物事を見る危うさが、ここにはある。
その拷問も、帝国が手段を問わず虐殺したダイゾン・フレイという月に住むダイゾナイトの子どもたちによる、聞いた者の精神を蝕む断末魔の叫びをさらに調整した音を聞かせるという、残酷さが際立つ手法だ。
虐殺した種族の断末魔をさらに利用して人々の自白への拷問道具にするとは、帝国の邪悪さを強調させるエピソードが加わった。
有能さを発揮するデドラ・ミーロは、ISB内でもプレゼンスを増していく。
フェリックスに一時戻ったキャシアン・アンドーと会ったビックスへの拷問から、キャシアンがアルダーニを襲撃した犯人である可能性にも迫り、母マーヴァ・アンドーは監視を付けてあえて泳がせておく。
さらには、ビックスからマヤ・ペイの組織へのつながりも見出し、スペルハウスの発電所を狙うアント・クリーガー派の反乱分子のパイロットを捕え、その仲間に気付かれないように事故を装って漂流させ始末することを発案。
スペルハウスの発電所といえば、第8話「ナーキーナ・ファイブ」でアント・クリーガーがスペルハウスの帝国の発電所に弱点を見つけたので、ソウ・ゲレラに会うようルーセン・レイエルが依頼していた場所だ。
スペルハウスの発電所襲撃計画は帝国の知るところとなったが、アント・クリーガーや、この計画を推していたルーセン・レイエルには危険が及ばないのだろうか。
そんな上り調子のデドラ・ミーロに懸念があるとすれば、シリル・カーンの存在だろう。
尋問によって、フェリックスの事件の重要性を認めてくれる者がいたこと、また標準局に帝国に尽くしたとデドラ・ミーロが伝えると言ったことで、デドラ・ミーロに強いシンパシーを覚えたシリル・カーンは、相手が諜報、秘密警察だろうが職場の前で待ち伏せしてしまう。
デドラ・ミーロすら引き気味で、予想の出来ない行動をするシリル・カーン。彼がデドラ・ミーロに、また執着するキャシアン・アンドーを取り巻く銀河の情勢に及ぼす影響はシーズン1の終盤に向けて注目したい。
モン・モスマの憂鬱と、思わぬサプライズ
銀河が悪い状態であることは、ヤジが飛び、次々と退席者が相次ぎ、モン・モスマの演説に聞く耳を持たない荒れ果てた帝国元老院のシーンを見ればわかる。かつての銀河元老院の見る影もなく、モン・モスマの声はむなしく響く。これも「誰も聞いちゃいない!」のだろう。
表の顔である議員活動でも苦しめられる中、モン・モスマの反乱活動も多難だ。
第9話「誰も聞いちゃいない!」でのサプライズとしては、アルダーニを襲撃したヴェル・サーサがモン・モスマの従姉妹であったことだろう。
第8話「ナーキーナ・ファイブ」ではシンタとの会話の中でヴェルが裕福な家の生まれであることは示唆されていたが、モン・モスマの親族だったとは!
モン・モスマは勘付いているようだが、ヴェル・サーサはアルダーニの事件に関わっていることは伝えない。危険の中に身を置いているヴェル・サーサへの心配は絶えないことだろう。
モン・モスマとはやり方が異なるが、ヴェル・サーサもまた帝国に苦しめられる人々を見過ごすことが出来なかったのだろう。表向きは金持ちの娘、裏では帝国への反乱活動を行うという、印象的なキャラクターが登場することになった。
また、テイ・コルマは融資を頼む先としてダヴォ・スカルダンの名前を挙げるが、モン・モスマは猛反対する。そのリアクションから、ダヴォ・スカルダンは明らかに黒い人物なのだろうが、モン・モスマの反乱にどのように関わることになるだろうか。
無間地獄となったナーキーナ5
一方、キャシアン・アンドーはナーキーナ5での強制労働に従事するかたわら、密かに少しずつ、破壊工作をして脱出の機会を伺っている。
どんなに過酷な状況でも、体制を欺き、逆らうことをやめない。その姿勢は真の反乱者と言えるだろう。
ユニット52Dの監督係であるキノ・ロイは、その立場と帰る家もあって対照的に体制に迎合した囚人だった。
しかし囚人の間で騒がれていたナーキーナ5の異変の真相が、4階で釈放された者がすぐに2階に戻ってきて、その話が広まったことで皆殺しにされたのだと聞いたことで従順な態度をラストでは変心させる。
命を落としたウラフのように、全シフトが終了してもまた連れ戻され、死ぬまで強制労働させられる無間地獄。
ナーキーナ5をより知る者であり、強制労働者のリーダーであるキノ・ロイが脱走計画に加わることで、ナーキーナ5での脱走は大規模なものになりそうだ。
陰鬱さのあるこのエピソードが、シリーズ終盤への助走となっているのではと予感させられる。
「キャシアン・アンドー」第9話「誰も聞いちゃいない!」トリビアチェックポイント
拷問用ヘッドセット
フェリックスでISBの拠点となったホテルに囚われたビックス・カリーンは、ダイゾン・フレイという月に住むダイゾナイトの断末魔の叫びを加工した音声による拷問をドクター・ゴーストより受ける。
この時にビックス・カリーンに付けられた拷問用ヘッドセットは、『エピソード5/帝国の逆襲』にてクラウド・シティでのランド・カルリジアンの補佐官であるロボトが装着しているサイバネティックス・ヘッドセットを縦にしたようなデザインだ。
『エピソード4/新たなる希望』と同じ監房のカメラワーク
ドクター・ゴーストによる拷問で苦痛の声を上げるビックスがいる部屋の扉が閉められ、カメラが下にティルトした後に廊下を歩く将校を追ってパンするカメラワークは、『エピソード4/新たなる希望』にてレイア・オーガナがダース・ベイダーからのIT-0による拷問が始める際に扉が閉められ、デス・スター兵員がその前を歩いて行くカットと同じだ。
デス・スターの監房の扉は縦に開閉するため、閉じられる扉に合わせたカメラワークだったが、フェリックスのホテルの扉は横に開閉するため、扉の動きと連動したカメラワークとはなっていない。下にパンする理由は、『エピソード4/新たなる希望』のこのシーンへのオマージュということだろう。
ジョンドラ
デドラ・ミーロは、サルマン・パアクは2年前にジョンドラで行われた分離主義派の会合である女性と出会い、フェリックスでの連絡係にならないかと持ち掛けられたと言う。
ジョンドラは、レジェンズのゲーム「Star Wars: Knights of the Old Republic」にて言及された惑星。シス帝国と共和国の冷戦の間、ジョンドラにあるシス帝国の基地から武器が違法に闇市場に売られていた。
ISB本部 外観のロケ地
ISB本部の外観は、イギリスのロンドンにあるカナリー・ワーフのクロスレール・プラザで撮影されている。
ロンドン地下鉄のカナリー・ワーフ駅は、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でスカリフのシタデル・タワー内部のロケ地だ。『ローグ・ワン』とともに、「キャシアン・アンドー」のロケ地巡礼も出来ることになる…
カフリーンの輪
ISBの会議にて、アント・クリーガー派の反乱分子のパイロットを捕らえたという会話の中で、そのパイロットはカフリーンに向かっていたと言及されている。カフリーンといえば、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』に登場したカフリーンの輪を連想させる。
カフリーンの輪は、カフリーン小惑星帯にある2つの小惑星を建造物でつなげた印象的な形状をしている交易所・採鉱コロニーだ。
キャシアン・アンドーはカフリーンの輪で、情報提供者のティヴィックと会ってプラネット・キラーと呼称されているデス・スターと、ゲイレン・アーソが送り出した帝国から脱走したパイロットであるボーディ・ルックの存在を知る。
2人はストームトルーパーに声を掛けられ、やむを得ずキャシアン・アンドーはストームトルーパーたちを射殺。増援から秘密を守るため、逃げられないと見たティヴィックも射殺した上で、キャシアン・アンドーはその場を離れた。
「キャシアン・アンドー」はDisney+ (ディズニープラス)にて独占配信中。
参考:StarWars.com
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2005年より「スター・ウォーズ ウェブログ」を運営。「『スター・ウォーズ』究極のカルトクイズ Wikia Qwizards<ウィキア・クイザード>」世界大会優勝者。ディズニープラス公式アプリ「Disney DX」のオリジナル動画や記事など、様々な出演/執筆も行っています。2010年、『ファンボーイズ』日本公開を目指す会を主宰しました。