「スター・ウォーズ：ビジョンズ」Volume3の配信開始を翌日に控えた10月28日（火）、本作で各エピソードを手掛けた9名の監督と、オリジナル版声優を務める浪川大輔さん、ファイルーズあいさん、黒沢ともよさんが登壇する配信直前イベントが開催されました。
監督9名と声優陣が各作品について語る
（C）2025 Lucasfilm
「スター・ウォーズ：ビジョンズ」Volume3配信直前イベントには、神風動画の水野貴信監督、Production I.Gの塩谷直義監督、キネマシトラスの垪和等監督、橘正紀監督、TRIGGERの大塚雅彦監督、WIT STUDIOの山元隼一監督、プロジェクトスタジオQの小林浩康監督、ポリゴン・ピクチュアズの吉平”Tady”直弘監督、デイヴィッドプロダクションの大平晋也監督ら、9名の監督が一堂に会しました。
さらに、オリジナル版声優を務めた浪川大輔さん（「The Duel: Payback」／グランド・マスター役）、ファイルーズあいさん（「The Bounty Hunters」／セブン役）、黒沢ともよさん（「極楽鳥の花」／ナキメ役）、そしてストームトルーパーも駆け付け、『スター・ウォーズ』への愛や制作秘話、オマージュなどを語り尽くしました。
神風動画／「The Duel: Payback」
Volume1で第49回アニー賞（一般向けTV／メディア部門）および第74回エミー賞（ショートアニメーション部門）にノミネートされるなど、世界的評価を得た「The Duel」の続編を手掛ける水野貴信監督は、シスのような黒いローブで登場。「前作は初めての『ビジョンズ』シリーズでしたので、『スター・ウォーズ』に影響を与えた黒澤映画の要素を強くしたり、コンセプトを全面に押し出そうと思って作りました。今回は前作を踏襲しつつ『スター・ウォーズ』らしいアクション性やユーモアをボリュームアップさせて作りました」と続編でのチャレンジを明かしました。
本作で復讐に憑りつかれたグランド・マスター役を務めるのは、『クローンの攻撃（エピソード2）』以来アナキン・スカイウォーカーを演じる浪川大輔さん。
「第一弾の時にCMのナレーションをしていて、すごいことが始まるなと思っていました。自分は出ていないな、アナキン演じているからかなと思っていたんですけど、やっと出られて感無量です！」と喜びを語ると、水野監督は「音響監督さんから何名か候補をいただいて、有名な方ももちろんいらっしゃいますけど、そういうのは一旦置いておいて、グランド・マスターの絵をずっと見ながらサンプルボイスを聞いて想像するんです。浪川さんの声を聞いた時に『これだ！』と思って。アナキンをされていることも分かっていたんですけど、この声しかいないと思ってお願いしました」と起用秘話を明かし、浪川さんは「嬉しい…！！！です。今日来てよかったです！声や雰囲気で決めて頂いたなんて、それは本当に声優冥利に尽きます」と感激していました。
そして「バランス感が難しい作品なので指示いただきながら何テイクもやりました。今日完成版を観させていただいたんですが、こんな風になるんだというのは衝撃でした。良い意味でものすごく興奮しました！」と語りました。
そんな本作には日本にまつわる隠しネタがあるそうで、水野監督は「物語の始めに惑星の名前が出てくるんですが、日本海側のどこかの地名のアナグラムになっています。地図を観ながら探してみてください！」と、ファンにアピールしました。
Production I.G／「The Ninth Jedi: Child of Hope」
「スター・ウォーズ：ビジョンズ」Volume1の「九人目のジェダイ」の続編であり、2026年にシリーズ化が決定している「Star Wars Visions Presents -The Ninth Jedi」へと繋がる「The Ninth Jedi: Child of Hope」。
塩谷直義監督は、「九人目のジェダイ」の監督を務め、「The Ninth Jedi: Child of Hope」の総監督である神山健治監督とも話し合ったということで、「僕が作るエピソードは架け橋になる位置づけなんです。時期的に描ける範囲を聞いたうえで、どうすべきかは塩谷に任せるよ、ということでバトンを受け取ったんです」と裏側を明かしました。
石田彰さんが演じるドロイドのテトと主人公カーラの冒険について「泣いてほしい！カーラが石田彰さんが演じている今回初登場するドロイドのテトとタッグを組んで冒険するというお話になっています。泣けるっていうと泣くの難しいですよね。泣けないです！（笑）」と冗談を交えつつも、「この先のシリーズに繋がっていることを考えて作っていますので、長い目で見ると一つになるところもあるんじゃないでしょうか」とアピールしました。
キネマシトラス／「彷徨う者たち」
Volume1「村の花嫁」の続編で、引き続き垪和等監督が手掛けた「彷徨う者たち」。
オーダー66後の正体を隠して旅を続けるエフの物語について、垪和監督は「僕ら日本人も世界もなんだか閉塞感があって戦争があって僕らも一体どこに向かっているんだろうと思うことは、オーダー66の後のジェダイやパダワンたちにも共通する、そして今回の作品の舞台の惑星でも起きていることなんです。未来に繋がるような話になったらいいなと思って作りました」とと作品に込めた想いを語りました。
さらに「以前デイブ・フィローニさんと話をしたんですが、『スター・ウォーズ』は寓話だと言ってたんです。観て楽しいことはもちろんあるんですけど、その向こう側にテーマ性をもたせるということが『スター・ウォーズ』の肝なのかなと。せっかくこういう立場になれたので、きちっと世界平和への想いを恥ずかしげもなく描こうと思ったんです」と話しました。
キネマシトラス／「ユコの宝物」
同じくキネマシトラスからは、『東京マグニチュード8.0』などの橘正紀監督による「ユコの宝物」も登場。
タトゥイーンを舞台に、両親を亡くした甘えん坊の男の子ユコと、そんなユコをどんな時もそばで守るモフモフでかわいいクマさん型のお世話ドロイドのビリーのキュートな冒険を描きます。
橘監督は「（ルーカスフィルムは）すごく懐が深いなと思いました。こんな詰め込んだら怒られるんじゃないかなと思っていたのですが、のびのびすることができました。ドタバタしてみんな家族になるという、子どもが観ても楽しめるような明るい物語になればいいなと思って作っていました」と語ります。
「イースターエッグ的にたくさん登場させていいですか？と聞いたらいいですよとルーカスフィルムに言っていただいたので、メカデザイナーの方にこれまで『スター・ウォーズ』に登場していたいろんな宇宙船が出てきます。大変な思いをして描いたクリーチャーも出てくるので、観てほしいです」と、様々なイースターエッグの存在を明かしました。
TRIGGER／「The Smuggler」
（C）2025 Lucasfilm Ltd.
『スター・ウォーズ』の大ファンでジェダイのローブ姿で登壇したTRIGGERの大塚雅彦監督は、Volume1にも参加。
「前回の『The Elder』の続きも考えたんですが、『スター・ウォーズ』でやりたいことがありすぎて！前回はシリアスな時代劇風のテイストでやったんですけど、絵柄も漫画やアニメっぽく、楽しい活劇的な作品にしようと思い、新しい挑戦をすることにしたんです。僕がエピソード4を最初に見たのは中学生の時なんですけど、その時に感じた『スター・ウォーズ』の印象をこの20分弱に詰め込みたい！と思って作りました」とコメント。
「映画だけじゃないシリーズもあるので、そちらも追っかけている方には、第一声を聞いた時に「あれか！」と思う方もいらっしゃるんじゃないかと思います」と笑顔を見せました。
ポリゴン・ピクチュアズ／「極楽鳥の花」
「クローン・ウォーズ」、「レジスタンス」にも参加したポリゴン・ピクチュアズがVolume3で初参加し制作した光と闇の狭間で揺れるパダワン・ナキメの物語「極楽鳥の花」。
吉平 “Tady” 直弘監督は、光と闇というテーマを選んだ理由について「今回のお話を作る時に他のスタジオさんが作ってない物語にするにはどうすればいいのか、最初考えて、日本の古い話を『スター・ウォーズ』に持ってきたら面白いなと思ったんです。耳なし芳一の話が思い浮かびまして、目をつぶっているんだけど何かが見えているんだろうと思って、そこから着想をえまして『目に見えないものを描こう』『そうすることでビジュアル的にもフォースを描くことができるのでは』と思いました」と発想の原点を明かします。
主人公ナキメを演じる黒沢ともよさんは「ずっと好きなタイトルの新しい試みだったので、参加させていただけてとってもとっても光栄でした。自分がまさかこの立場（パダワン役）で戦える日が来るとは思わなかったです。私も大塚監督みたいにローブ着てくればよかったと思いました！パダワンでいつか…！」と喜びを語りました。
本作はアニメーションの制作よりも先に声の収録をしたそうで、「特徴的なことがひとつありまして、監督が全部演じきってみた、というガイド音声をいただけるんです。監督が落語や講釈のように一人で効果音なども演じたものをいただくんですが、それを受け取って『じゃあここはどうですか？』とか短い録音期間ですがさせていただいたので、一緒に作らせていただいているという感覚がありました」と制作の裏話も披露しました。
プロジェクトスタジオQ／「四枚羽の詩」
（C）2025 Lucasfilm Ltd.
プロジェクトスタジオQ制作の「四枚羽の詩」にて、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』や『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』などにも携わった小林浩康監督は、雪の惑星を舞台に小さな子どもウーパスを守るため、AT-ATと戦うプリンセス・クラネの物語を描きます。
「舞台は日本的なものということで雪国にしたんですが、シンプルに『スター・ウォーズ』っぽい作品を作りたいと思っていました。日本っぽい、和風的なものは他に表現されている監督さんもいらっしゃるので、自分が感じる日本らしいキャラクター、予告編にもあるような変身シーンの要素を入れたりしました」と語り、
「ストーリーの中心には出会いや縁だったり、『スター・ウォーズ』の一作目のような冒険の始まりを描いています」と『新たなる希望』に重ねて描いた物語について明かしました。
デイヴィッドプロダクション／「BLACK」
「BLACK」はVolume3で初参加となるデイヴィッドプロダクション制作。
スタジオジブリの『紅の豚』や『千と千尋の神隠し』、『ハウルの動く城』、『君たちはどう生きるか』など宮崎駿監督作品をはじめ、クエンティン・タランティーノ監督の映画『Kill Bill Vol1』のアニメパート、『AKIRA』など数多くの作品で原画を手掛けるトップアニメーター、大平晋也監督が手掛けるのは、ストームトルーパーの物語。
「最初にお話をいただいたときに、『スター・ウォーズ』のウォーズの部分、戦争をピックアップして描きたいと思いました。フォースやジェダイではなく、モブとして出てきて消えていくものたちの人生や想い、戦争に対する闇みたいなものを表現できればと思って制作しました」と、名もなき兵士に焦点を当てた理由を明かしました。
海外アニメーターも参加したという本作は「今回海外のアニメーターさんにも参加してもらっていて、皆で練り上げていったという感じでした。1シーン1分近く、背景もキャラクターも動き続けるというアニメーターにとってはストレスフルなボリュームですが、仕上がった時のものすごい高揚感があってアニメーターとしての楽しさや嬉しさはある作品になっていたと思います」」と語ります。
WIT STUDIO／「The Bounty Hunters」
Volume3で初参加となるWIT STUDIO制作の「The Bounty Hunters」を手掛けた山元隼一監督は「『スター・ウォーズ』という作品にある光と影をテーマにしたいなと思っていたんです。IV-A4もビジュアルにギミックがありますのでそういう光と影があったり、セブンは自分の中の葛藤も抱えつつどう成長するかという彼女の変化を観て頂けるといいなと思っていますし、そういうふたりの物語を描ければと思っていました」とバディの冒険譚を描いた理由を明かしました。
「スター・ウォーズ：アコライト」でメイとオーシャの日本版声優を担当したファイルーズあいさんが、本作では賞金稼ぎのセブンを演じます。
ファイルーズさんは「『アコライト』ではオーシャとメイをさせていただいて、それが終わった後にオーディションの話をいただいて、『スター・ウォーズ』続きですごくご縁を感じていました。チャンスに恵まれましてセブンを演じられたことに感謝しております。アニメだからこそ描けるような表現で多彩に描かれていて、『スター・ウォーズ』という作品の魅力がより多層的になったんだなと実感しました。可能性は宇宙のごとく無限大にあるんだなと改めて思います！」と語り、さらに、「話し方も粗野でダークヒーローのようなセブンですが、不当に扱われてしまう子どもたちのために立ち上がる正義感の強いところもあるんです。台本を読んで小学生のときエジプトに住んでいた時、自分より小さな子がなにかちょうだいって手を出してきていて、地球の反対側にいったらこんな現実があるんだと思ったことを思い出しました。作品を観て自分もセブンのようになりたいなと思いましたし、セブンのように強くて自立してちょっとお茶目な部分もある魅力的なキャラクターを任せていただいてとても光栄です」と、自身の経験と重ねて明かします。
ジョージ・ルーカスがインスピレーションを受けた日本から、『スター・ウォーズ』のレガシーを受け継ぎながらも日本のアニメ特有のかわいらしさやキャラクター性などを盛り込んだ9つの新たな『スター・ウォーズ』。
日本の9つのアニメスタジオが独自のビジョンで描く「スター・ウォーズ：ビジョンズ」Volume3は、Disney+ (ディズニープラス)にて独占配信中。
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